16章 そして
おうさまはなやんだすえに、ふたりをとおくのまちへおいやることにしました。
ふたりはかつてにげたまちで、こんどこそ、しあわせにくらしました。
おなかのこどももぶじにうまれました。
ひめさまとおなじぎんのかみをもった、かわいいおんなのこでした。
やがてそのこは、かつてひめさまがけっこんさせられそうになったおうじさまのむすこと、おたがいをすきになってけっこんしました。
ふたりはさらに、なんにんものこどもをさずかりました。
どのこどもも、おとこのこならつよくかっこよく、おんなのこならうつくしく、そだちました。
そして、なんじゅうねんもさきのこと。
こうしてふたりはしあわせにくらし、いっしょにいきをひきとりました。
そんなふたりをみていためがみさまは、たのしそうにわらいました。
「たのしかったよ、ふたりとも。けれど、まだたりないなあ。そうだ、せっかくだから、ずっとしあわせにくらしなよ。みまもってるからさ」
そうして、めがみさまはつえをふるいました。
それからなんねんもさきのこと。
まちなかのしろに、いっぴきのきつねのこどもがまよってました。
「あら? いま、たすけます!」
そのきつねをたすけるために、ぎんのかみのひめさまがかけよりました。
ひめさまはきつねのこどもをだきかかえます。
すると、きつねのこどももまた、ひめさまをだきしめたのでした。
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