15章 きせき

「おまえはかわいいむすめだが、こうなってはしかたがない。そしておまえはりっぱなきしだが、むすめといっしょにせきにんをとってもらう」


 おうさまはかなしそうに、けれどはっきりと、ふたりにいいました。


「せめて、しっかりとみとどけよう。たのむぞ、おまえたち」


 おおきなけんをもってかめんをかぶったふたりのおとこに、おうさまはおねがいしました。


 おとこたちはうなずくと、ふたりのわきにたってけんをふりかぶりました。


「もうしわけ、ありません」


「さようなら、きつねくん」


 そうして、おおきなけんがふりおろされました。




「つまらないことしないでよ、もう」


 そのようすを、めがみさまがとおくでみつめておりました。


「しょうがないや、たすけないとね」


 めがみさまは、てにするつえをふるいました。


「よし。これでもう、だいじょうぶなはずだ」




 ひめさまときつねは、しぬことをかくごしていました。


 そのときです。


 ふりおろされたけんが、ふたりのくびにあたるてまえで、ぽきりとおれたのでした。


「!?」


 これには、ふたりのおとこ、おうさま、そしていあわせたみんながおどろきました。


 そしておどろくことに、なんどやっても、くびにあたるてまえでけんがおれてしまうのでした。


 おうさまは、あたまをかかえました。

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