9章 とつぜんのこと
それから、いっしゅうかんのこと。
「はなしがある。きてくれ」
「はい」
おうさまはひめさまをよぶと、なにやらはなしはじめました。
「どうしたのですか、ひめさま?」
きつねがひめさまに、こえをかけました。
ひめさまはかなしそうなようすでした。
いまにもなきだしそうなこえで、こたえました。
「となりのくにのおうじさまと、けっこんすることに……」
そのことばをきいたきつねは、しばらくなにもいえませんでした。
「どう、して……?」
やがて、ゆっくりとことばをかえしました。
「わかり、ません……。けれど、おとうさまがどうしても、と……」
ひめさまは、ふるえながらこたえました。
そのひのよるのこと。
「ひめさま……。ぼくが、たすけます……!」
きつねは、けっしんしました。
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