陸。魔法少女アイドル、はじめます!?
陸。魔法少女アイドル、はじめます!?
前回のキミきせは――
なになに?お便りが来てるって?
ペンネーム、本編一同様から
一話当たり詰め込み過ぎじゃない?
だって。
そうだよね!本編は逆にやることなさ過ぎて短くなっているもんね!
でも、そんなこと知らないから!
キミといた季節、始まります――
2005年 9月 23日 午後3時
ユウは学校からの帰路を行く。
「どうしたドリル?溜息を吐いて」
イスカは下校しながら大きくため息をついたユウにそう尋ねた。
「誰のせいだと思ってるの……」
ユウはまたも溜息を吐く。
同年 同日 午前9時
ユウが授業の用意をしようとランドセルを開いたときである。
「やあ、ユウ」
「イ、イスカ!?」
ランドセルにはもけもけとした黴が生えたようなへちま妖精、イスカが入っていたのだ。
ユウは辺りを見渡す。あまり話すことのないユウが一人で大声をあげたのでクラスメイトはユウのことを異様な目で見ていた。
「ど、どうしてここにイスカが?」
ユウは息を混じらせ小声で尋ねる。
「ユウの傍にいようと思ったドリル」
「そ、そんな……しゃべるぬいぐるみがいるなんてバレたらどうしようもないよ!?というか、今思えば、私、なんで普通に妖精とか魔法少女とかを受け入れているんだろ」
「大丈夫ドリル。イスカたち妖精の姿は見える人間が限られているドリル」
「あ、そっか」
ユウは納得したように手をポンと叩く。
「でも、カバンから出ないでね。色々と集中力が乱れるから」
「分かったドリル!」
イスカが大声で答えるのでユウは急いでランドセルのふたを閉めた。
同日 午後3時
「ということで、誰のせいなのか……」
ユウは大きくため息をついた。
例え普通の人には見えないというものの、気にはなってしまう。イスカは時おり小言で話すので気が気ではなかったのだろう。
「ま、もーまんたいドリル」
「モーマンタイじゃないよ……ほんと」
イスカはランドセルの隙間から顔を出し、ユウの肩に乗る。
「あんまり出てこないでよ。見える人もいるんでしょう?」
「ユウは明日からアイドルになってもらうドリル」
「もう。だからアイドルになるって――って、えぇ?」
ユウはイスカの言った言葉を思い出してさらに叫ぶ。
「って、えぇえぇえぇえぇえぇえぇ!?」
悲鳴の如きユウの声は町中に響き渡った。
同日 午後5時
「ということで」
ユウは食事の支度を終えたイケメン体イスカを椅子に座らせる。
「先ほどのことについての説明をお願いします」
ユウは強張った笑顔をイスカに向けた。イスカはにこりとユウに微笑む。
「やっぱり、カレーは甘口の方がいいかと思って――」
「そうじゃない」
「何故かにこりと打っただけでにこりんぱなが出てきて、どれだけラブライブが――」
「分かってやってるよね?」
ユウは一層笑顔を作る。しかし、眉の痙攣はより一層激しくなっているようだった。
「実は――」
イスカはうつむき、深刻そうな顔をする。
「この家の収入がないドリル」
「なるほどね……」
家に金を入れるような親たちではなかったとユウもまたうつむく。
「そんな時に妖精仲間がいい話があると言ってきたドリル」
「それって、危ない話ではないですよね」
ユウは食卓に並んだ料理を見て、自分しか食べていないがゆえに自分自身のお金は自分で稼がなければならないという思いに駆られている。
「多分、大丈夫ドリル。ユウの身はイスカが守るよ。ぼくが働ければよかったんだけど、少し不安で……」
「そうですね。イスカに働かせるのは私も不安です」
ユウは洗濯ものの件や未だデリカシーなくユウの部屋に入ってくるイスカのことを思い出す。
「……それさえなければ本当にイケメンなんですけど……」
「うん?何か言った?」
「何でもないです!それより、アイドルと急に言われても困るのですが……」
確かにお金は必要ですが、とユウは呟く。
「大丈夫だよ。最初は稼ぎは少ないだろうけれど、なんとかなるよ」
ユウは恐る恐る頷いた。
同年 9月 24日 午前10時
ユウはイスカの運転する車に乗り込む。
「これからどうなるんですか?」
車が滑り始めた頃ユウは尋ねた。イスカは珍しくスーツを着込んでいる。
「ぼくらの仲間にどこで覚えたのか口のうまい奴がいてね。そいつが大手事務所と話し合いをしたんだ。一応、ユウはぼくたちの事務所に所属していることにはなっている」
「なんだかよく訳の分からないことになっていますね……」
「これから事務所の先輩と一緒にアイドルのミッションをこなすことになる。頑張って学んでおいで」
事務所でユウを迎えたのは城ケ崎幼女という女性だった。
「はい。今日からユウちゃんのコーチをすることになった城ケ崎幼女です!」
城ケ崎はアイドルをやる傍ら、ユウのコーチをしてくれるそうだった。
「ユウちゃんも頑張ってレッスンをしていればそのうちお仕事が来ると思うから――早速レッスンを始めようか!」
「で、何故カードゲームなんですか?」
「カクヨムで魔法少女はカードゲームするらしいじゃない。そういうの、読んでないけど」
「幼女先輩、強烈ですね」
確か年齢は優に20を超えているはずなのだが、小学生にしか見えない見た目であった。
「さあ、その初心者用のデッキを取って。デュエル・スタート!」
「わたしのターン。ドロー!」
城ケ崎は手札から『エルリザード・ニンジャ』を召喚する。
「エルリザード・ニンジャは召喚時、手札を最大で2枚まで捨てることができる。手札を捨てた数だけフィールド上にエルリザード・トークンを出すことができる」
城ケ崎はフィールド上にエルリザード・トークンを2体召喚した。
「1ターン目の先攻は攻撃できないの。だから、これにてターンエンド」
「くっ。ルール説明もしないで――」
ゲームは相手の10あるライフポイントを削ることができれば勝ちであった。通常の召喚獣であれば相手に直接攻撃することでライフを1つ削ることができる。だが、相手のフィールド上に召喚獣がいると攻撃を防がれるのであった。
「でも、トークンは攻撃も防御もできないはず――」
つまり、城ケ崎のフィールド上には実質一体しか召喚獣は存在していないのだ。
「トークンのパワーは0。エルリザード・ニンジャは1200。でも、私の手札にはそれ以上のモンスターはいない――」
ユウは手札から一体召喚獣を召喚する。
「コスト0、ロリポップ・キャットを召喚!」
召喚時にはコストというものがある。何もコストを消費せず召喚できるのはコスト0。コストの数が上がるにつれ、その数に応じたフィールド上の召喚獣をダストに送る必要がある。
「ロリポップ・キャット召喚時の効果で、山札のカードを上から5枚取る。その中から『ロリポップと書かれた技カードを3枚まで手札に加えることができる。その他のカードはダストに送る』
ユウの引いた5枚カードは3枚が『ロリポップ』と名のついた技カード。その他は召喚獣カードであった。
「手札に技カード『ロリポップ・エンブレム』、『リリース・ロリポップ』『ロリポップの妙薬』を手札に加える」
ユウはそれ以外のカードをダストに送った。
「そして、手札から『ロリポップの妙薬』を発動。この技はフィールド上にある『ロリポップ』とついた召喚獣を選んで発動する。この技を使ったターン、選んだ召喚獣は技を使うことができない」
ユウは技カードをフィールド上に出す。
「手札からコスト0の『ロリポップ』と名のつくモンスターを召喚する。その際、償還時の効果は発動しない」
ユウは手札から2枚の召喚獣を召喚した。
「『名犬ロリポップ』、『ロリポップ・ガール』を召喚」
ユウのフィールドにはすでに3体の召喚獣が召喚された。
ロリポップ・キャットのパワーは1000、名犬ロリポップは300、ロリポップ・ガールは800であった。それもエルリザード・ニンジャに勝てるパワーではない。
「でも――」
ユウは攻撃を開始する。
「ロリポップ・キャットでプレイヤーを攻撃!」
「ライフで受ける」
城ケ崎のライフは9となる。
「名犬ロリポップでプレイヤーを攻撃!」
「ライフで受ける」
「ロリポップ・ガールでプレイヤーを攻撃!」
「エルリザード・ニンジャで防御」
相手の攻撃ターンに召喚獣一体につき一度だけ防御をすることができる。パワーが攻撃召喚獣より上回っていた場合、相手の攻撃は失敗となり、攻撃召喚獣のパワーの方が防御召喚獣に勝っていた時、防御召喚獣はダストに送られる。
「ターンエンド」
攻撃した召喚獣は縦向きから横向きに移動し、防御した召喚獣もまた、縦表示から横表示になる。しかし、ターンが変わるとお互いもとの縦に戻るのだった。
「うふふふふ。トークンを倒さずにライフを削るだなんて。愚かなことだとは思わなかったのかしら」
城ケ崎はカードを一枚ドローする。
「来た!世界を終らせる悪魔の角笛が!」
城ケ崎はフィールド上の召喚獣、トークンをダストに送る。
そして、コスト3の召喚獣を召喚した。
「世界を破滅に導く角笛!今、世界はラグナロクに満ちた!出でよ!最悪最大の奏者!終焉者エルリザード・トランぺッター!」
城ケ崎の背後に巨大な角笛を持った悪魔のトカゲが現れる。
「召喚時の効果!相手と自分の手札を全て捨てる!」
「そんな――!」
ユウは手札を全てダストに送る。
「さあ、世界の終わりの始まりよ!」
次回予告!?
幼女先輩が召喚したのは終焉者エルリザード・トランぺッター。世界を終らせる奏者はロリポップ召喚獣たちを苦しめていく。
そして、エルリザード・トランぺッターが更なる進化を!?
でも、私たちは諦めない!
ロリポップデッキ、希望の切り札。その名は――
次回、『目覚めよ!魔法少女ロリポップ!』
なんでこんなことになったんだろう――
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