シンドローム解説:バロール

【バロール】

できること:白兵、射撃、RC、妨害、ガード


・概要

多彩な妨害エフェクトに、みんな大好き《時間凍結》や《時の棺》を搭載した和マンチ御用達……もといトリッキーな戦闘が可能なシンドローム。

火力もそこそこ出るが、流石にキュマイラやサラマンダーには劣りダイス減少が痛いことが多い。とはいえそれ以外の性能が非常に強力なのであんまり気にならない。


能力値やエフェクトからすれば〈RC〉型に適性があるように見えて実際強いのだが、意外と〈白兵〉や〈射撃〉にも向いている。

また防御力をしこたま盛れる上に小回りをきかせるエフェクトが揃っているので盾役も得意。ただしカバーリングエフェクトだけは何故か無いのが辛い。

火力エフェクトの係数は大きいのが多いが、数はキュマイラやサラマンダーには劣る。ついでにダイスが減るものが多いのが難点である。

一方でデバフ系のエフェクトにはダメージを与えられないもの――例えば《死神の瞳》や《停滞空間》なども多く、取捨選択も必要となってくるだろう。


セットアッププロセスのエフェクトが数多く揃っているところも特徴であり、時間使いらしくとにかく先手を取って悪さをするのが得意。

オートアクションでのダメージ軽減やバフも豊富だが、一方で妨害は代名詞の《時の棺》以外には以外にも少なめ。


・Dロイス

とにかく強力なシンドロームなのだが、Dロイスだけは揃いも揃って微妙。残念ながらそう評を下すしかない。

「邪眼」は一部のエフェクトに敵のダイス減少効果を付与するが、エフェクトの組み合わせの都合上どう頑張っても-3〜4個程度が限度。

一応エフェクト1つ分くらいの効果があるにはあるのだが、PCが扱うとなればどうしても力不足感は否めない。どちらかといえばエネミー向けか。

「時使い」は要するに、よほど運が良くなければ《妖精の手》のほぼ下位互換。フレーバー自体は割と面白いのだが、一度使うたびに侵蝕率が+1D10されるのが辛い。

ただし数少ない旨味に「一度の判定に複数回使える」というものがある。つまり、どうにかしてC値を2まで減らせば……?


・ピュアブリード

順当に組めばRC屋かガード屋になるだろう。しかし《瞬速の刃》《黒星の門》とダイス増強エフェクトが2つもあるので白兵屋や射撃屋も意外とできる。

ガード屋をする場合は高レベルの《虚無の城壁》や《グラビティガード》が活きるが、素でカバーリングエフェクトを持たないことが足を引っ張る。

《孤独の魔眼》や一般エフェクトの《カバーディフェンス》、あるいはDロイス「複製体」で他所から持ってくるなど工夫が必要。

ちなみにデータ面での最適解は、Dロイス「遺産継承者:イフリートの腕」で《炎陣》を持ってくることである。

装甲が欲しければ侵蝕率が1上がるが「蛇王の外套」でも問題ない。フレーバー面は致し方ないが。

ピュア制限エフェクトは《黒星の門》と《コズミックインフレーション》で、両方とも効果は優秀。

《黒星の門》はダイス増加+同エンゲージ不可打ち消し。《黒の鉄槌》《因果歪曲》など同エンゲージ不可のエフェクトが多く、それを打ち消せるのは嬉しい。

おまけに侵蝕2で[Lv+1]個のダイス増加は破格である。《瞬速の刃》が使えないRC型でもきっちり使えるのも大きなポイント。

《コズミックインフレーション》はセットアップでエフェクトの対象を範囲化するという貴重なエフェクト。

そのまま使うもよし、《亜純血》や《複製体》で他のシンドロームからエフェクトを引っ張ってくるもよしの優良さである。

ただし「対象:自身」のエフェクトはルール上範囲化できないことには留意されたし。


・クロスブリード

全体的にやや癖の強いシンドロームだが、癖の強さなりに他とはどこかが何かしらの形で噛み合うので大体のシンドロームと相性がよい。

〈RC〉はもちろんのこと、能力値が低めの〈白兵〉や〈射撃〉も《瞬速の刃》でダイス数をカバーできるので(相方にもよるが)普通にこなせる。

《時間凍結》《時の棺》をはじめとした強力なエフェクト群をつまみ食いするためだけにクロスブリードにする価値も十二分にあるだろう。


×ブラックドッグ

能力値が【精神】寄りだが平たいので、白兵射撃RCとなんでもできる。ドッジもできるしガードもできる。本当になんでもできる。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×ブラム=ストーカー

《蝕む赤》《ブラッドウェブ》など、RCによるデバフ付与に長けるコンビ。あと大変に厨二臭くてかっこいい。

《ブラッドバーン》などで不足しがちな火力を盛るか、直接的なダメージを投げ捨て《死神の瞳》や《悪魔の影》を押し付けるかは好みでどうぞ。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×キュマイラ

素手メインのシンドロームであるため、優秀な装甲無視エフェクトの《漆黒の拳》の存在が嬉しい。

《完全獣化》でダイス数を稼げるため、メイン火力たる《巨人の斧》や《黒の咆哮》を気兼ねなく扱えるのもポイント。

《イージスの盾》《軍神の守り》など防御エフェクトも充実しており、手軽に攻防を両立させられる。

RC型もできないことはないが、強力なエフェクトである《魔獣の衝撃》が1ラウンドに1回しか使えないので《時間凍結》とやや相性が悪い。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×エグザイル

とにかくガード適性が高い。《崩れずの群れ》《命のカーテン》でカバーリングしつつ《デモンズウェブ》を投げるという芸当が可能。

一方で素手を補強する《骨の剣》《死神の手》なども揃っているため、攻撃も平均程度にはこなせる。平べったい能力値だけがネック。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×ハヌマーン

強い×強い=超強い。《時間凍結》と《ライトスピード》で《サイレンの魔女》が1ラウンドに3回も飛んでくるという世にもおぞましいコンビ。

エフェクト的には〈白兵〉にも向いているが、【肉体】が1しかない上に能力値置換もできないのが大きな難点。経験点が潤沢にあるならばやってみるのも悪くない。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×モルフェウス

バロール/エグザイルと同様、防御力に秀でた組み合わせ。《シールドクリエイト》《アーマークリエイト》や《砂の結界》《砂の祝福》などが揃う。

切り札としては《不壊の城壁》があり、Dロイスの《砂塵の城壁》や嫌悪アージエフェクトの《砂塵の帳》も強烈。攻撃に回るならば射撃かRC向きか。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×ノイマン

高い【精神】を活かせる《コントロールソート》を持つことが強み。ほか《孤独の魔眼》で単体化した攻撃に《カウンター》を叩きつけるコンボがなかなか強力。

もともと能力値の割に白兵や射撃が得意なシンドロームであるため、両者の相性は抜群と言えよう。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×オルクス

《要の陣形》の存在が非常に大きい。起点も《爆鎖の空間》《棘の縛め》《鋼の顎》などが揃っているので攻撃も妨害もできる。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×サラマンダー

火力のサラマンダーと搦手のバロールが合わさることで超強力なRCアタッカーとなりうるGM泣かせの組み合わせ。なお白兵も一応可能。

中でも《時間凍結》で無理矢理先手を取りにいって《インフェルノ》を叩きつけるコンボは強烈そのもの。

ついでと言わんばかりに防御力も異常に高いので、経験点が許すならばそれらを撃った後も味方を守れるだろう。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


×ソラリス

これまたソラリスのクロスの例に漏れず支援型への適性が高い。デバフ型は残念ながらエフェクトの技能の噛み合わせが悪い。

《時間凍結》から問答無用で最速でバフデバフを撒くなど、エンジェルハィロゥ/ソラリスと同様かそれ以上のポテンシャルを秘める。

他に利点を挙げるとすれば、何よりも《時の棺》を積むことが可能なことである。


・トライブリード

Dロイスに頼らなければ《時の棺》を積めないのが痛い。オプショナルに置くと《時間凍結》辺りも取得できなくなる。

また、他のガード屋にも言えた話だが、ガードエフェクトの最大レベルが減少するのもやや向かい風。

特に《グラビティガード》や《魔人の盾》は係数が大きいだけに1レベルの差で軽減量がかなり変わってくるので尚更である。

そもそもトライブリード自体があまりガード型向きでないだけあって、ここは素直にアタッカーとして作るべきだろう。

《縮退機関》や《迎撃する魔眼》は低レベルでも活躍するので、リミットエフェクト狙いも悪い選択肢ではない。


・気になるエフェクトピックアップ


《グラビティガード》

係数1D10のガードエフェクト。他シンドロームのそれと変わらず使いやすいためガード屋で重宝する。《虚無の城壁》辺りと合わせた圧倒的ガード値はGM泣かせ。


《黒の鉄槌》《迎撃する魔眼》

優秀な攻撃力を持つRC攻撃エフェクト。同エンゲージ不可だが、バロールはそれをカバーする手段も多いので大した問題にはならないだろう。

HR掲載のリミットエフェクト《迎撃する魔眼》はRC版の《復讐の刃》と言ってもいい。手数が増えるのは魅力だが、ピュアではキュマイラのように上手く攻撃力を盛りにくいのが欠点。


《孤独の魔眼》《特異点定理》

範囲攻撃を吸うエフェクト。《ミスディレクション》とは似ているようで相違点が多いので差別化することはできるはず。

リミットエフェクトの《特異点定理》は《孤独の魔眼》発動時にガード値を強化するものだが、大抵は《グラビティガード》辺りで事足りるので取得は稀だろうか。


《漆黒の拳》《縮退機関》

素手限定だが走行無視を付与でき、おまけに火力も多少盛れる優良エフェクト。

リミットエフェクトの《縮退機関》はHP消費こそ重いが、バロールの貴重な火力源になりうる。最大Lv5なのでトライブリードでも使えるだろう。


《死神の瞳》

超強力なダメージ増加デバフ。実質ガードも装甲も無視するので下手に殴る場合より強いということも割とよくある。

せっかくなので《停滞空間》や《悪魔の影》など他のデバフも同時に叩き込んでやればいい。


《セットバック》

オートアクションで使えるバステ解除エフェクト。特にバロールはオートアクションのエフェクトが多く、重圧への保険として持つのも悪くはない。


《灰色の庭》

セットアップで撒ける行動値低下デバフ。係数もそこそこ大きいので速いエネミーにうまく突き刺されば強力。


《魔人の盾》

シーン1回とはいえ、驚きの係数10を持つガードエフェクト。高威力の攻撃が飛んできた時のためにお守りとして持つのも悪くない。


《時間凍結》(制限:80%)

環境によってはPCが手軽に使える貴重なイニシアチブ行動手段。行動済みにならないのもポイント。

HP消費はあるが雑魚を一掃しても良し、《死神の瞳》《停滞空間》《魔神の心臓》辺りを撒いて良しとやりたい放題出来る。


《時の棺》(制限:100%)

もはや説明不要な自動失敗エフェクト。バロールならとりあえずで積んでいい。GMに「バロールか……」と嫌な顔をされる元凶。

逆にGMとしては、《破滅の天使》や《オールマイティ》などで必殺技を補強して対策しても良いだろう。


《魔神の心臓》(制限:100%)

使い所をやや選ぶ故に《時の棺》の影に隠れているが、こちらもこちらで非常に凶悪なエフェクト。なんと係数3のダイスデバフである。

一応マイナーアクションで解除できるのだが、それでもアクション1つを潰せるので強い。ついでに《停滞空間》辺りも押し付けてやればいい。


《黒星の門》(制限:ピュアブリード)

ダイス増加に同エンゲージ不可打ち消しを持つ優秀なピュア制限エフェクト。バロールは同エンゲージ不可のエフェクトが多いので何かと便利。


《コズミックインフレーション》(制限:ピュアブリード)

セットアッププロセスのエフェクトを範囲(選択)化するという珍しい効果のエフェクト。

擬似的な《ファンアウト》をしつつ行動値を盛る、複数の敵にデバフを押し付けるなど、使い方は色々とある。


《黒の咆哮》(RW掲載/制限:80%)

《クロスバースト》と同等の効果を持った係数4の火力源。ダイスが多少減るが、それにしても貴重な高火力である。


《解放の宴》(RW掲載/制限:100%)

ラウンド中ダイス+5個に飛行状態のおまけがついてくる。ダイス増強はもちろん、《イオノクラフト》などで逃げ回るような敵に対して有効になることがある。


《崩壊のスフィア》(RW掲載/制限:120%)

シナリオ1回だが[Lv×2]Dという圧倒的な火力係数を持つバロールの真の必殺技。侵蝕率も2D10と低くはないが現実的な値。

何気に同じ120%エフェクトの《ヘルズブラッド》の完全上位互換である。


とりあえず今回はここまで。次回は器用万能電気使い、ブラックドッグを解説します。

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