第3話 緊張漂う戦い 後編

「はぁー、葉月お前、もしかして怒ってるのか?」


 俺はそう言い後ろ振り替える。

 そこには、茶髪でロングヘアーをしている、顔は笑顔だが彼女から圧を感じる。

 彼女は三日月葉月みかづきはづき色々と俺に厳しくする人だよ。


「えっ、なんのこと?私は全然、全く怒ってないよ、だからシュウとヨウスケは早く敵に突っ込んで死んで」


 わーお、明らかに怒ってらっしゃる。


「な、なあ葉月、まずは一回落ち着こうぜ、そうだろタツヤ」


「あ、ああそうだな、落ち着け葉月、お前の後ろにいるレイが見たこともない青ざめた顔になってるぞ」


 ん?ああたしかに、陽介と竜也がいった通り、まじで葉月を落ち着かせないと葉月の後ろにいるレイが失神してしまうな。


「……(ガクガクブルブル)」


 葉月の後ろで青ざめた顔をして体を震わせている彼女は最上鈴もがみれいだ。まあみての通りめちゃくちゃ怖がりの女だ。


「………はぁー、昨日あれほど言っておいて遅刻するとか、そんなの怒るに決まってるじゃない」


「なっ、おいてめえら俺を騙したのか!?」


「はっ!騙されるほうが悪い!」


「なんだとぉ!?」


「葉月さん、俺は寝坊したんじゃないんです。シュウだけ寝坊して俺は一般人の避難誘導を――」


 俺が竜也に嘘をばらしている時に後ろで陽介が葉月に必死に遅刻した言い訳を言ってるが、諦めろ陽介、もう葉月にばれてしまった以上もうどうすることも出来ないんだぞ。ていうかもうちょつとましな言い訳をしろ陽介。


「あ、あの…みなさんそろそろポップボスが「グォォォォォ!!」……うう」


「ちょおいレイ!回復支援のお前が気を失うな!」


 レイが倒れそうになっているところをなんとか支える。

 くそぅ、ポップボスめ!うちの回復役を潰してくれるとは…許せん!!

 

「タツヤとヨウスケ、俺が前衛につく!葉月は後衛でレイを起こすのと同時に魔法で支援を!」


 俺の言葉に全員応答はしないが、全員俺のいった通りに位置に着いた。これがうちの隊のいつも通りだ。


「さてと、今回のポップボスは、と…オークか、行けるか、タツヤ?」


「おいおい、俺をなめてんのかシュウ?こんなの楽勝に決まってるだろ!」


「だってよ、リーダー」


「ならよしっと……葉月!」


「絶対後で説教だからね!『サラマンダー・ショット』!」


 葉月はそう言いながら腕に着けている腕輪型の出力装置に魔力を注入する。

 そしてオークに向けて術式名を言う、すると腕輪型の出力装置は術の魔方陣を一瞬で作り上げそこから炎の球を射出した。

 

 出力装置、いわば魔法を安定して使うのに必須なアイテムだ。これを使わないで魔法を使う人はこの世で多くはいなく、ほとんどはこれを使う。ちなみに言うと出力装置は種類があり、腕輪型が多いと言っておこう。

 

「グゥアアア!」


 オークは右手に持っている大剣でガードをするが、炎の球は一発ではなく何発も来たため隙ができた。


「タツヤ、ヨウスケ!」


『おう!(よっしゃ!)』


 葉月が魔法で隙を作っている間に竜也と陽介、俺が攻撃に出た。


「一番手は俺が貰うぞ!」


 最初に攻撃に出たのは竜也だ。


「オラァァァァ!!」


 大きな大剣は竜也の力で円を描きながらオークの足に重い刀身をくらわせた。

 

「グゥアアア!!」


 オークは片方の足を竜也の重い刀身によって切られてはいないが立てないぐらいまでえぐられたため膝をつく。


「行くぞヨウスケ!」


「へいよ!」


 俺と陽介はその隙を逃がすわけがなく攻撃を繋げる。


「『三日月』!」


「『スラッシュ』!」


 陽介が刀を地面ギリギリにしてから三日月を描くように高く飛びながら切り上げる。そして飛んだ瞬間に俺は剣による斜め上からの斬撃をオークにくらわせた。


「■■■■■■!!」


 連撃が終わった瞬間、オークは悲痛の叫びと怒りの叫びが混ざったのか耳の鼓膜が破れそうなうるさい咆哮を出しながら手にもつ大剣を着地して隙ができた俺に向かって全力で振るった。


「させるかよっ!」


 そうはさせないと竜也が俺の前に出て重々しい攻撃を大剣の両面に付いている盾でなんなく防いだ。


「今だ!シュウ!」


「『首狩り』!」


 剣を鞘にしまい、集中力と力を溜めた後オークの首を一点に狙い刄を鞘から解き放った。

 解き放たれた刄はオークの首へと当たりそこから透き通るように刄は走り抜けた。


「ーーーーーー」


 オークは叫ばぶこともなく首と体が分かれ、そのまま首はストンッと地面へと落ちた。

 

「……ふぅー、ボス撃破完了っと」


『みなさんにお知らせします。たった今、ポップボスが倒されたことによりポップ反応が消滅しました。生徒のみなさん、お疲れさまでした』


 戦闘の終わりを告げる放送の言葉であちこちから喜びの声が聞こえる。


「さてと、明日から学校かぁーめんどくせ」


 愚痴を言いながら空を見上げた。空はオレンジ色でもう夕方だと分からせてくれる。そしていつも思うことがある。あとどれくらい戦い続ければいいと、一体どこから来たのか分からない奴らと戦い続けて意味はあるのだろうと、今回は死者は出なかったが次は出るかもしれない、そんなことをいつも考えていた。でも、最終的には仕方ないと結論付けるしかないんだ。理由?そんなの簡単だ。


 これがだからだ


 …おっとこんなこと考えてる場合じゃないな、そろそろ帰らなくては。


「よーしみんな!帰るぞー!」


 さっ!今日は早く家に帰って明日の学校のためにも早く帰って寝なければ!

 そうと決まればすぐ行動、疲れた体には頑張ってもらって家へと帰る第一歩を「無事に帰れると思ってるの?」…踏めなかった。


「ま、まて葉月!説教は明日に聞くから今日は帰って休もうぜ、な?」


「だめ、今日ここで説教する」


「ほ、ほらレイはまだ気絶状態だろ?明るいうちに家まで運んであげなくちゃレイの家族が心配するんじゃ」


「あ、あの、私はもう大丈夫なのでご心配なく」


 なんでこんなときに限って起きてんだよレイ!まだ気絶してろ心配させろーー!


「それじゃ選びなさい、素手か魔法どっちがいい?もちろんヨウスケも選んでね」


「お、俺今日は習い事あるから帰んないと」


「奇遇だなヨウスケ、俺も今日習い事があるんだよ、だから一緒に行こうぜ!」


「おうよ!」


「というわけで葉月、俺たちはそろそ……あ」


 俺と陽介は葉月のほうへと振り替えるとそこには魔法の撃つ準備が出来ている葉月の姿とその後ろで合掌をしている竜也とレイの姿がそこに。


「問答無用」


『ぎゃあああぁぁー!!』


 後日、筋肉痛になったことは言うまでもなかった。





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