第2話 緊張漂う戦い 前編

 ポップ反応があった場所を中心として、大量のポップモンスターと生徒たちとの戦いが繰り広げられていた。

 ポップモンスターの叫び声と生徒たちの張り上げた声があちこちから飛んでくるなか、二人の男が戦いに飛び込んだ。


『ハアッ!』


 すぐ目の前にいるポップモンスターを俺と陽介で斬りつける。

 俺は胴体で、陽介は首、それを受けたポップモンスターは声をあげるまもなく首と体が別れ血が吹き出す。


「今日のポップモンスターはゴブリンか!俺ゴブリン苦手なんだよなー」


 ポップモンスターてのはまあ簡単に言うと人類の敵だ。世界中のあらゆる場所に、ポップピラーという奴等が出てくる柱のようなものが出てくる。昔はなんの予告も無しに生えてくるポップピラーに苦労していたらしいが、今は事前にどこに出てくるか調べられるためそこまで脅威じゃなくなった。ちなみに種類はレベルごとに分けられてる、今回はゴブリンだからレベル2だな。


「それは全員同じだよヨウスケ。こいつら、色々と姑息な手ばっかり使うしな、でも経験値がうまいから嫌いにはならないんだよな」


「だよなっと!」


 こんなくだらない話をしているなかでも俺たちはゴブリンを一体一体確実に仕留めている。


「あれ?シュウとヨウスケじゃねーか!寝坊か?」


 ちょうどいいところに別チームの仲間と出会うことができた。これは色々と聞いておかなければ。


「そうだよ!俺とヨウスケは寝坊だ。ということで色々と聞きたいんだが、この戦闘はいつ頃始まった?」


「そうだなーざっと30分前かな」


 30分前か…ということはまだ間に合う分類に入るな。


「よし、行けるぞ!ヨウスケ!このまま奥に行くぞ!」


「分かった!」


「じゃ、教えてくれてありがとな!」


「おう、気お付けていけよー!」


 お互いに別れをしたあと俺とヨウスケは奥へと走り出した。無論、襲いくるゴブリンを倒しながらだが。



「ここが最終地点か」


「くそっ!どこにいるんだあいつらは!」


「焦りながら探すなヨウスケ!余計に見つかりにくくなるぞ!まずは一旦冷静になってから「オラアァァァアア!!」よしあっちだヨウスケ!」


 陽介がおいこらって目でこっちを見てるがそれを無視してその声がした方向に向かった。


「チッ!雑魚共は引っ込んでろ!!」


 張り上げた声を出しながら大剣を振り回す男、石城竜也せきじょうたつやがそこにいた。


「おーいタツヤー、加勢するぞー」


「あぁ?てめえらどこほっつき歩いてたんだよ!!」

 

「ちょっくら後ろのゴブリンどもを倒しにいってたんだよ」


「嘘はついていないんだろうなあ…?」


「嘘じゃねーよ、本当だ。(寝坊したことを騙すために)ゴブリンを倒しながら行ったんだよ」


「…チッ!まあいい、シュウ、ヨウスケ、ちょっくら手伝え」


「ちょっろ(ボソッ)」


「なんかいったか…」


「いやなんでも、とにかくさっきもいった通り、加勢するよ」


 いやーほんと竜也はちょろいわ、高身長で髪は赤色、そして体つきが良くて顔は常に睨んでいるスタイル、完璧にヤンキーだが本当は根が良い奴なんだよなー。


「そういえばタツヤ、先生はどうせ二日酔いだからいいとして他の二人はどこに?」


 確かに陽介のいった通り、ここには竜也一人しか居なかったな、先生はどうせ二日酔いだから分かるけど、残りの女二人はいずこえ?


「あぁ?多分まだ後ろにいるんじゃねーの?俺はあいつらよりも早く奥にいっちまったし」


「そっか、俺たちも合流してないしどっかほっつき歩いてんじゃねーの、あはははは「“サラマンダー・ショット”」……ワッツ?」


 突然後ろから何かが飛んできて俺の顔を掠める、その何かはゴブリンに当たり身体中を炎が包みこむ、ゴブリン悲痛な悲鳴をあげながら抵抗するが、炎は収まることなくそのまま焼き殺した。

 …肉の焼ける匂いをここで嗅ぎたくなかったな。

 ああ…出会いたくなかったなー、俺もこのゴブリンのように死にはしないけど焼かれるんだろうなー……はぁ、覚悟決めていくか。

 俺は意を決して後ろを振り返った。

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