第4話 自業自得
……それから、数日後のことだ。
「フォスター様、大変です!」
朝方、兵士にフォスターは起こされ。それで、辺りが騒がしいことに気付いた。
慌て、窓から外を覗くと、無数の松明がこの砦を取り囲みひしめき合っている。
「これはどういうことだ!? あれは一体、どこの軍の兵士達だッ?!」
この突然の事態に驚きはしたが、動揺だけは何とか隠し、兵士を睨むようにして聞いたのだ。
兵士の方は、緊張からなのか、顔を強張らせ答える。
「そ、それが……ワイゼル将軍の軍のようで……」
「──何だとッ!!?」
直ぐ様、鎧を着込み。フォスターは、砦の踊場へと向かう。そして、砦の下の様子を覗い見た。
そこには、ワイゼル将軍直属の兵士六万が列を並べ、この砦をぐるりと取り囲んでいる。その中に、ワイゼル自らの姿も見て取れた。
「ハァーッハッハッハ! フォスター! 観念せぇえーいッ!!
貴様に、引導を渡してやりに来たわい!」
「ワイゼル! 貴様……なんのつもりだ!!」
「ハン☆ なんのつもりだぁあ~? あの女神から聞いたぞ!
お主。このワシの命を、あの女神にくれてやると言ったそうだなぁ?」
──女神だとッ?
「……ハハ…なるほどな。そういう事か……あの、女狐め――!」
瞬間驚いたが、直ぐに事態が飲み込めた。
(ふふ……そういう事か。大した策士だ、あの女め――!)
つまり我々は、あの女神に嵌められたのだ。これは見事としか言いようがない。
それにしても、相対する相手が悪い。よりにもよって、あの話し合いの通じない、ワイゼル将軍だ。こちらの話しなど、もはや聞く耳も持たないだろう……。
だが、無駄な死者を、これ以上増やす訳にもいかない。
そういう使命感のようなものが、今のフォスターを突き動かした。
「なんの話か、わからんなー!」
「惚けるなッ!!」
(──チッ☆ やはりモノの
「とにかく、話し合いをしたい!」
「ふん! 怖じ気づいのかぁ? この根性無しめ!」
フォスターはそれを聞いて舌打し、顰めた表情をする。
ああ言われてしまっては、部下達の手前、こちらも受けて立つ他に選択のしようがなくなる。これだから、猪突猛進な単細胞は扱いに困るのだ。言った本人自ら、選択肢を狭くしているのにさえ、おそらくは気づいていないのだろう。
ともかく、こうなれば仕方がないな。
現在、フォスター直属の兵士八万の内、三万余りが国境付近のカスタトール将軍に従い。他、四万が副官の下、《聖霊兵器》対策の防壁と新たな砦建設で出払っていた。
つまり、この砦には、わずか五千の兵士しか残って居ない。
(……仕方ない。これでどうにか凌ぐ他ないか……)
「やむを得ない……急ぎ、砦を固めよ!」
「ハッ」
(結果的に……あの男とはこれで、
フォスターは、今更ながらにもそう思い、その気持ちも引き締め。そして同時に、「まあ……自業自得だがね…」と自らに対し、蔑む気持ちを含ませそのように零していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます