第16話 武器の作製は何かとワクワクする
「輝人君。私だ」
準備が終わってからどのぐらいたっただろうか?暇なあまりラミアから魔法を教わっているとノックとともに声がかけられた。
この声はたぶんリーダーのものだ。
「どうぞ」
俺の返事から少したって扉が空いた。
いるのは俺の予想通りリーダーだった。リーダーは扉を開けたものの中には入ってこないので立ち話でパパっと終わらせるつもりでいるようだ。
「何か用ですか?」
俺はそんな感じで用件を促した。
「フェイルから聞いてはいるだろうが午後からの見回りは君も来て欲しい。理由としては武器や防具の試し使いというのが主だな。なのでお昼終わったら広場に来てくれ」
「分かりました」
俺が返事を返すとリーダーを扉を閉めた。
どうやら俺の予想は当たってくれたらしい。
これでいよいよ新しい武器が使える!おっといけない。あんまり調子に乗るとこの前みたくドジを踏みかねない。
俺は
お昼はすぐに来た。自分の戦い方を頭の中でシュミレンーションしたら時間はあっという間にたっていた。
シュミレーションとは言っても自分がどう動くかしか考えてないから実戦ではあまり使えないんだけどね。でも、イメージトレーニングは大事…なはずだ。
お昼のよく分からない焼き飯みたいなものをササッと済まして部屋に戻った俺はもう広場で待機していた。
ちなみにお昼の焼き飯はタコライス?いや、チキンライスみたいなやつだった。こっちではフリクスという名前らしい。
こうやって聞くとフリスク?と間違えてしまう。まぁ、こっちにフリスクなんて存在しないから問題ないけど。何より美味しかったのでそんなことは関係ない。
とりあえずやることがなく手持ちぶ
「もう来ていたのか」
そんなどうでもいいこと(どうでも良くないけど)を考えているとリーダーが来た。
リーダーはそんなふうに言っているがそんなリーダーも来るのは結構早いと思う。
後ろに同伴すると見られる2人騎士もいるのでその2人に声をかけてこの時間に来るというのは普通にすごい。
「暇だったので」
「そうか。早いことは悪くは無いからな。それでは行くか!」
そう言って歩き始めたリーダーのあとを追うようにして俺は外に出た。
そして、相変わらずボロボロになっている街を俺達は進む。
無論、俺が見回りをするのは2回目なので道は全く覚えていない。迷ったら……どうにかするつもりだ。それでも極力いや絶対に迷いたくないので俺はリーダーのあとを張り付くようにしてついて行った。
ほら、なんか迷子って恥ずかしいじゃん。
「いたぞ!」
そうして歩く事どのくらいだろうか?
リーダーが小さいがよく響く声でそう言った。
それにつられて周りを見回すと数百メートル先にこの道を横断していると思わしきオーク達がいた。
「3体か。腕試しにはもってこいだな」
俺にはシルエットからオークと判断はできるものの(現状況で人影があれば基本オークだしな)正確に何体いるかまではわからなかったがリーダーは把握していた。
視力いくつなんだろう?まぁ、多分、魔法だな。
その後、気づかれないように距離を詰めて行った。
でも、今回は不意打ちはしないようである程度近づいたところからは普通に歩いていった。
「誰だ!?」
当然直ぐに見つかった。オークも耳はいい方のようで普通に歩いてからすぐこちらに気づいた。
「さぁ、行ってこい」
その声を聞いてリーダーは俺の背中を押した。
俺はそれに伴い数歩前に出る。
「おっと」
なんとか転びはしなかったが急に押すのは辞めてもらいたい。
ちゃんとその事を言おうと思ったらもうリーダー達は路地の方にいた。これが速度重視のスキルなんだろう。
こちらからも見える範囲にいるのはいざという時に援護にまわれるようになんだと思う。
「よし!」
リーダーの考えを
オーク達はリーダーの方に1、2体ほど向かうと思っていたのだが確実性を高めるためか3体全てがこの場に残っている。
でも、リーダー達はすぐ近くで待機しているのでそれはあまり意味が無い。まぁ、俺の腕試しとしての意味はあると言える。
ドコォという音を立てながら金棒持ちのオークが突っ込んできた。相変わらず単調である。
その後ろからは大剣を持ったオークとノコギリみたいなものを持ったオークが続いている。
攻撃はどれも速度にかけるので俺は3回の全ての攻撃を難なく
その後、すぐに振り返り最後に攻撃にきたオークに向けて一撃加える。あいにく防具にあたり攻撃は通らないがバランスを崩させ転倒までは持ち込めた。
その次は大剣持ちのオークの
それから完全に体制を建て直し終えた金棒持ちのオークのところへ向かった。
敵もこちらが素早いことを考慮してか今度は連続で攻撃をしてくる。
俺はそれを剣で受け流したり、逸らしたりしながら攻撃の機会を
こうして離れて見てみると金棒持ちのオークは少し体格が大きかった。たぶん、ハイオークみたいな感じで普通のオークよりも少し強いのだろう。
これで金棒での連続攻撃にも納得だ。ついでに人間達が攻めあぐねている理由もわかった。
ただのオークならリーダー達でもどうとでもなるがラスボス戦にはこのハイオーク(これからは俺はそう呼ぶ)達も何体かはいるのだろう。ただでさえ数で劣るのにこういう奴がいると消耗戦でやられてしまう。
俺がそう思考をめぐらせている間もオークは攻めてこなかった。たぶん、あのハイオークの指示で間合いを見ているのだろう。
そのおかげでこちらもなかなか攻めに出れない。相手から来てくれるならまだしもオーク3体が攻撃できる体勢で待ち構えている所に行くのは難しいだろう。
あ、そうだ。スキルを使ってみよう。
ふいにそんなことを思った。暇だった午前中に発動方法はラミアから教えて貰ったし、使いこなせるかはさて置き俺はとりあえず使うことにした。
ちなみにスキルの発動の仕方はそのスキル名を言うことだ。スキルは鍛冶師が打ち込むものでなんのスキルかもその時入れれるらしい。
つまり、俺たちの倒したあのモンスターはスキルを打ち込める素材だから倒しに行ったのだ。
加えて本人に合わせてスキルの力も強くなれるらしく俺の身体強化は俺の力が足りなければただの強化。強くなれば最終的には覚醒強化になるそうだ。
まれにもっと上の段階へ進化することもあるがそれは今は関係ないのではしょられた。
でも、結局発動時に言う言葉は変わらないそうだ。
「コルプス・コンフィルマンダス」
そう唱えると俺の周りが淡い光に包まれた。若干ダサいが仕方がないだろう。
「ラミア、これって成功してるのか?」
『成功してますよ。それも身体強化の状態で、ですね』
イマイチ分からなかったのでラミアに確認をとったところどうやら発動には成功したらしい。
バージョンも俺の望んだ身体強化になってるらしいから一安心だ。
「でも、体感的には普段とあんま変わんないんだけど」
『全ての器官が強化されてるので変化は感じ取りずらいと思います。でも、動けばわかりますよ』
どうやらこの身体強化は変化が分かりずらいようだ。
なんにせよ使ってみるのが1番早いらしいので早速戦ってみることにした。
その間もオークは攻めてこなかった。
どうやらスキル発動時の光を警戒しているようだ。正しい判断なんだけど俺的には助かった。
多分あの時攻撃されていたら危なかったと思う。
このままでは依然、硬直状態が続きそうだったので俺は思い切って攻めに出る。
まず、1番めんどくさいハイオークへと1歩、歩みを進めた。
と自分が思っていたよりもハイオークに近づいてしまった。距離としては5mほどあるのだがスキル発動時には1歩で届いてしまう間合いのようだ。
もうハイオークの真ん前まで来てしまっているので俺は剣を上に振りあげるようにして腕を狙いに行った。あいにくハイオークの方も一瞬でこの間合いまで来たことにギリギリで反応しきれていない。
俺的には肩から二の腕らへんを切りつけるつもりではなったのだがスパァンとはいわなかったもののそのぐらいスッパリとハイオークの腕が斬り落ちた。
グおおおおおおおおという叫び声とともにハイオークが数歩下がる。もう片方の手で止血を試みているようだったが依然、血は噴き出し続けている。
残り2体のオーク達はハイオークが数歩下がるのに合わせるかのようにこちらに向かってくる。
ほとんどラグが無く攻撃が双方から来るので俺はノコギリの方の攻撃を避け、大剣の方の攻撃を受けることにした。
実際なら軽く受け流しでもしなければパワーのあるオークからの攻撃は受けれないのだが身体強化のおかげで真正面から受けれた。
それでもまだ余裕があったのでさらに力を加えて押し切るとオークが数m吹っ飛んだ。
そして、そのまま地面に叩きつけられた。
ノコギリの方は一瞬、
俺はそれを楽々と交わしそのまま剣を横に振る。
その剣は見事に鎧のすき間それも顔から首にかけての部分に当たった。そして、そのまま首を切り落とす。
これで一体目。俺はそう思いながら大剣のオークの方を向いた。
向こうもある程度は回復したらしくまだ不安定だが立っていた。
これ以上待つ義理もないので俺は大剣のオークへと向かう。
すぐに剣の届く間合いへと近づいたが向こうもただでやられる気はないらしくこちらへ剣を振り下ろしてくる。
俺はそれを剣で横にいなす。そして、無防備となった所を足を狙って剣で斬った。
その時点で残った方の腕で金棒を持ったハイオークがこちらに来ているのが見えたのできりおとす程の力はいれず、その後の動作を早くする。
2体目のオークは足、しかも神経が集中していると思われる付け根を切られたからかそのまま地面に倒れていく。 特に動きがないので多分気絶しているのだろう。
俺はそこまで確認するとハイオークへと向き直る。
そのタイミングで向こうの間合いに入ったのかハイオークは金棒での攻撃を始める。
2発3発と続けて来る攻撃を比較的余裕に
そのまま4発目を避けた俺はそれと同時にハイオークの後ろへとまわった。
その後、振り返る勢いを活かして剣を降った。
向こうも伊達にハイオークをやっている訳では無いらしく、攻撃直後なのに反応して金棒で受け止めた。
が、身体強化もされている俺の攻撃はとっさの防御を押し返して数m先の建物まで吹っ飛ばした。
それと共に建物も
そう思った俺はハイオークへ追撃を仕掛ける。
近ずくにつれて相手の影が見えたのでそこからは一気に距離を縮めた。
向こうも反応をしてきたがそれよりも速く俺の剣はハイオークの残った方の腕を捉えた。
これは切り落とすとまではいかなかったがハイオークは少しよろめく。それでも手に握った金棒を手放さなかった。
俺はそこに続いて振り上げるようにして剣を振るった。
その軌道は深くはないがハイオークの顔に縦に切り傷をつけた。
そして、その後も攻撃を続けていく。
途中ハイオークが攻撃へ回りそうになったが上手くいなしてそれを防いだ。
攻撃を続けること数発、ついにハイオークは倒れた。
「ふぅ…」
俺はそれを見ると安堵の息をついた。
「レリエイズ」
そして、スキル解除の言葉を唱えた。
すると、俺から放たれていた淡い光が消滅した。それと共に体が重くなる。
たぶん、これが魔力を消費した感覚なんだろう。
「ラミア。今、俺の魔力どれぐらい残ってる?」
『えっとですね……。だいたい7割ほどでしょうか』
「そうか。今のでだいたい5分ぐらいだから15分ぐらいか?」
あくまで単純計算だけどそれなりな時間使えそうだ。
たぶん、これからも練習で魔力量は増えていくから時間はだんだん長くなってくるだろう。
『普通に考えるとそれぐらいですが魔力が尽きると動けなくなってしまいますから実質10分と少しといった感じでしょうね』
ああ、そうなのか。
どうやらこの世界でも魔力が尽きると動けないらしい。
そこまでの長丁場になりそうな敵は今のところいないと思うが上手く使いこなして手早く倒すすべをみにつけた方が良さそうだ。
『でも、輝人さんのアバターは伸びしろがあるので結構直ぐに魔力は増えていくと思いますよ』
「ああ、ありがと」
そんな感じでラミアとの会話を切り終えた俺はその後、リーダーたちと合流して拠点へ戻った。
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