第13話 武器の作製は何かとワクワクする 2
目を開けるとそこはログアウトした時と同じ部屋だった。
そして、まだ動けない。多分また声をかけなければならないのだろう。
それと俺の体を媒体にした魔法が発動しているせいか体の中を何かが
本物ではなくとも体の中を
「ラミア、動かしてくれ」
『分かりました』
ラミアからの返事はやっぱりすぐに返ってきた。今の状態からするとそれはとてもありがたく思える。
ところで今ふと疑問に思ったがいつもすぐ返事が返ってくるラミアだがいつも起きているのだろうか?
いや、俺がログインをしない夜の時間に寝ているのかもしれない。もしくはそもそも睡眠という行為が必要無いとかだろうか?
なんかそれが一番正しい気がする。理由はだいたいの神は皆チートだからだ。でも、クッキーは食べていたから実際はどうかわからない。もしかすると食事とかは必要ないが単に楽しみたいだけといった可能性もありえる。
「そう言えばラミア、時間って進んでるか?」
結果、真相は本人に聞くのが手っ取り早いというふうになったが俺はその前にもう1つの疑問を投げかけた。
『一応進めました。魔法も上手く作動したようなのでこれからも基本的に行っていけると思います』
「そうか」
どうやらこちらの方は上手くいってくれたようだ。これでより進めやすくなるだろう。
『時間ですが朝6時で止めてあります。魔法の方は再び時間を動かすと同時に解除しますので違和感はそれでなくなるはずです』
「分かった」
ここまでほかの事を考えたりして気を紛らわせていたがラミアにはお見通しだったようだ。
いや、そもそも術者だからそれぐらいは分かっているだけかもしれない。
なんにしてもこれで違和感が消えるのは嬉しかった。
「ちなみになんだけどこの気持ち悪さって消せないのか?」
そして、俺は消えてくれるついでにこの気持ち悪さがどうにかならないか聞いてみた。
『その違和感は私の魔力をその体に通すことによって生じているものですので無理だと思います。一応その体を魔法適性ゼロにすれば行けますけど…』
が、どうやら解決は出来ないらしい。
最後まで言わなかったのは俺にはそれが出来ないからだろう。もしこれを行ったら武器のスキルを使えなくなってしまう。
それならまだ耐えた方がマシだと俺は思った。ラミアも多分そっちの方を進めるだろう。
『あ、準備が出来たようなので数秒後、動けるようになると思います』
最後にそう言い残されてラミはとの会話が終わった。たぶん、終わっているはずだ…。
そんなことを思っているうちに体が動くようになった。今回はベッドで寝ていた事もあってバランスは崩さなかった。
それに伴い体の方の気持ち悪さも消えていったので魔法の解除に成功したことがわかった。
これでこれからも同じような手段が使えるだろう。まぁ、夜寝るタイミングじゃないと使えないと思うけど。
体の調子は元に戻っていた。
部屋から出ても良かったが俺はその前に今日行っておくべきことを確認しておくことにした。
ログインしたのが確か3時頃だったから入れる時間は2時間半ほどだ。
こちらの時間に換算するとざっと7時間半ぐらいだろう。
それだと寝る時間にならないから明日どこかで時間を見つけて1時間ほどログインした方がいい。
これで大まかな予定は決まった。
後は明日に向けて荷物をまとめるだけだ。
そこら辺に関しては俺はよくわからないのでラミアやフランシェスあたりに聞きながらやって行くことにした。
予定確認が意外にもすんなりと終わってしまってまだ6時過ぎではあるがとりあえず俺は広場へ行くことにした。
一応顔ぐらいは洗っておきたいが場所がわからないので広場にいる誰かに聞こう。
そう考えながら俺は部屋を出た。
が、よく考えると俺はここがどこの部屋なのかを知らないことに気づいた。多分、医務室とかそこらへんの類のものではあるんだろうけど場所がわからない。
居住空間だけあって迷路みたいにはなってないと思うけど結構広いと目の前の左右に分かれた道を間違えれば大変なことになりそうだ。
そもそも、敵の侵入に備え複雑な構造にしていてもおかしくないのだ。俺は諦めて部屋に戻ることにした。
そして、部屋に戻ってすぐラミアの存在を思い出した。異世界のことについて聞く時はすぐ頭に浮かんでくるのだが、今回は道を聞きたかったので候補から
確か、最初ラミアが道案内してくれていたはずだ。なら、俺がどこにいるのかも大方見当がつくだろう。
神様をカーナビもしくはGoogleマップみたいに扱うのは少し申し訳ない気もするがそんなのは今更だと割り切った。
「ラミア、俺が今どこにいるかわかるか?」
『輝人さんの現在地ですか?分かりますよ』
「広場までの道わからないから教えてくれない?」
『いいですよ』
ラミアは快く了承してくれた。
声だけだがなんの
その後、
途中何回か曲がったりはしたがそこまで複雑な構造はしてないらしい。
どっちにしろ覚えなければならないので暇な時に適当に散策してみようと決めた。
広場は日中は話し合いの場として多くの人がいるが朝早いとあってか今は誰もいない。
地下空間だけあってそこまで広い空間は無いはずだがそれでもここは各人ごとに寝室が設けられているらしい。
特に行くあてがなかった俺はフランシェスに会えるかもしれないという事で会議室に向かうことにした。
ここでの生活様式を知るためにはそれが一番手っ取り早いだろう。
会議室は広場からさして離れていないので直ぐに着いた。
コンコン
「どなたですか?」
ノックをするとフランシェスからの返事があった。
「輝人です。少しいいですか?」
「構いませんよ」
そう
「おはよう。輝人君」
リーダーは俺が入ってくるなりそう声をかけてくれた。
ちなみにリーダーはもう鎧を着ていた。武器も手元にありいつでも戦闘態勢に入れるようにしている。
もしかしたら見張りをしてそのままここに来たのかもしれない
「おはようございます」
「おはようございます。それで何かご用ですか?」
フランシェスの問いかけとともにリーダーからも視線が向けられた。
「ここに来て日が浅いので生活様式というか習慣みたいなものを知りたくて」
「そうですか。もう少し待ってて貰えますか?」
「全然大丈夫です」
どうやら話し合いの途中だったようだ。
待ってくれれば大丈夫らしいので俺は会議室をあとにした。
と言っても広場に戻るだけだけど。
この後、俺はフランシェスからここの構造を教えてもらった。
これでもう迷うことは無いだろう。
少し複雑ではあるが比較的覚えやすいし地図も貰ったから安心だ。
それに加えて、朝食が何時からなのか?とかどうすれば水を飲めるかとか?とかを聞いた。
水に関しては一定の場所ごとに地下の水脈からポンプ式で汲み上げているらしいのでそれを自由に飲むらしい。
味は地下水だけあって美味しかった。
水ソムリエではないので細かい味の説明は出来ないが素人でもおいしいと思える味ということは言える。
旅に必要なものなど 一通り色々聞き終わったあと、俺はフランシェスと別れ朝食の時間まで先程までいた部屋で荷物の一覧表を作ることにした。
紙とペンはなかったがラミアから物質構成の魔法を習って自分で作った。
当然、俺は魔法初心者なので魔粒子を固めて生成する1番簡単なものだ。魔粒子を凝縮しただけなので紙もペンも光っていた。
正直ちょっと見ずらい。
ラミアいわく極めていけば本物と何ら変わらないものが出来るらしい。ただどこまで行こうと魔法による生成物には代わりがないので短時間で消えるか、壊れやすいかどちらかの欠点がつくらしい。
ちなみに俺に作ってくれたものは耐久性と持続力をあげる代わりに見た目をそのままにしたとラミアは言っていた。
普通は出来ないらしく神のみがなせる技という事だ。つまり、あの剣は俺の使い方が間違っていただけでそう簡単には壊れないものなのだそうだ。
ということで俺はそんな神様に魔法を教えてもらうことにした。
少しずつになるだろうが俺もゆくゆくは魔法を使えるようになりたいから頑張ろうと思う。
ちなみに攻撃魔法を使える人は余りいないらしい。道具を必要とした儀式的なものなら使える人が多いらしいのだが攻撃魔法は高度なものらしく身につけるのが大変なんだそうだ。
それに加えて人間は魔法の適性が高くない。なので、フランシェスみたいな人は貴重らしい。
属性の魔法に関しては人それぞれ変わってくる。火の適性持ちもいれば水の適性持ちもいるらしく無属性のぞいて適性のある属性の魔法しか使えないらしい。
魔法を教えてもらう約束を取りつけた俺はやっとの事で荷物の一覧表を作り始めた。
これもラミアやフランシェスから聞いた話を元に書き出しているのですぐに終わった。
なので、俺はできることをどんどん始めていくことにした。
だって暇なんだもん。
『もうそろそろ朝ごはんだと思いますよ』
「お、そうか」
その甲斐あってか朝ごはんの時間は比較的早く来た。
時間を確認すると朝食の取れる8時を回るところだからほんとにもうすぐのようだ。
一部の騎士達は見張りなどのことを考慮して早く食べたりもするらしいが基本8時から9時が朝ごはんと決まっているとフランシェスは言っていた。
理由は多分、地下で過ごしていることが大きいのだろう。
そんなことを考えながらも俺は足早に広場へ向かっていった。
暇だった事もあるがどちらかと言うとこのアバターのお腹がすいているといった面が大きい。
今思うとこれから俺は毎日3食以上食べることになるのだろう。
まぁ、こっちの料理は独特でも美味しいから全然いいんだけどね。
そんなこんなで俺は朝食にありつけた。
この状況からか量は少なくても腹に溜まるメニューだった。正確にはとても食べごたえがあるパンみたいなものだった。
パンといえばご飯とかと比べてどうしてもあまり腹持ちが良くないイメージがあるが全然そんなことは無かった。
食感もモサモサしていて非常食のパンみたいな感じだ。味はそれよりも多分上だ(基本となる味付けが違うから比較しずらいけど)。
朝食を済ませた後は準備に戻った。
その後もラミアに色々と聞きながらテキパキやっていったのでお昼前には準備が終わってしまった。
まだ、食料とかは準備していないがそういった重要なことはリーダーが行ってくれるらしいので俺のやることはもうない。。
ということは俺はすっかり手持ち無沙汰になってしまったという事である。このご時世この世界に
だが、俺はまだこの世界について色々聞かなくてはならないことがある。ようはラミアに話し相手を務めてもらい情報収集に努めようということだ。。
「ラミア〜、明日から行く所ってどんな所なんだ?」
かと言って早急に聞くべきことなどなにもないので話は自然と明日のことになった。
『現在の状況でもモンスターが比較的多い地域ですね。そういった場所はいくつかありますが今回行くのはホーミルムから比較的近い場所だと思います』
2日ほどかかるにも関わらず近い方ということは遠いところだと1週間はかかるのだろう。
まぁ、移動手段によって変わってしまうのだろうが…。
とりあえず俺は現環境でなぜモンスターが残っているのかを聞いてみる事にした。
「何でそこにはモンスターが多いんだ?」
『スキル付きの武器など比較的強い武器の材料になれるぐらいの強いモンスターが多いからですかね。後はそこら辺場所が私たちからの恩恵と加護を1番受けやすい位置だからですよ』
どうやら立地がいいらしい。
加えてモンスターも強いと来た。
俺はリーダーが同行してくれることに納得した。
多分、敵もそのことを考慮に入れて侵略を後回しにしているのだろう。どのようなかごと恩恵なのかは全く想像はつかないけどね。
まぁ、それはのちのち聞くことにしよう。
「なんにせよ。明日から数日はログインしても移動だけになりそうだな」
『そうですね。野宿をするにしてもテントに人避けの魔法をかけるのは少し難しいですしね』
と、言うことで明日からは多分暇になるのだろう。
いくら人避けの魔法がこちらで使えたからと言って流石にあの少人数で使うのは無理だと思うから夜も過ごさなければならないと思う。
見張りとかもあるから完全に暇とは言えないけどどう暇つぶしするかを考えないといけなそうだ。
「そん時は話し相手頼む」
『いいですよ。こちらも基本傍観で暇なので』
そして、今暇つぶしのひとつとしてラミアとのお喋りが追加された。
嫌な声ひとつしないラミアはやっぱりいい子だと思います。
まぁ、この世界に干渉することができないラミアにとっても気が紛れるのだろうが。
この後は暇の潰し方をラミアと話していった。
結果、この世界にもあるらしい本を読んだり、魔法を教わったりである程度暇を潰すことになった。
本に関しては文字が読めるようになるらしい。本が残っているかもフランシェスに聞いたところそれなりにあるらしいので壊さない条件で貸してもらえることになった。
そんなこんなしているうちに現実での夕食が近づいてきた。
俺は昨日の今日なので5時半といつもより早めにログアウトすることを決めていた。
この世界はまだ夕方で時間を進めることは出来ないが仕方ないだろう。
「それじゃあ、俺、ログアウトするよ」
『分かりました。準備しますね』
ラミアから返事が返ってきて数分後、俺は現実へとログアウトした。
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