RE:CREATE

近堂 明良

おわり

ボクは建物の下敷きになっていた。

落ちてきた壁に潰されたことでできた傷からは血がドロドロと流れ地面に広がっているのが見え、

きっとボクは長くは持たないだろと強く実感した。

ボクはこんなにもあっけなく死んでしまうんだと思うと怖くなった。

ボクはこのなところで死にたくない。

助けてほしい。

視界が悪くなっていく、

たぶん血が流れ過ぎたせいだ。

意識がどんどんも朦朧としてくる。

最後に外の世界を見たいと思ったけれどこの体では無理そうだと思い笑ってしまった。

「そこのあなた笑っていますが

なにか面白いことでもあったんですか?」

いきなり声が聞こえビックリして顔をあげるとそこには先程までいなかった少女がいた。

この子はボクに話しかけているのだろうか?

「あなた以外に私が話しかけているようにみえますか?」

なぜ、

ボクなのだろう。

確かにここにはボクしかいないが、

大きな角、

毛の生えた巨体それはまるで化け物と呼んでも遜色ない姿明らかに人間ではないものにたいして何を話そうと言うのだろう。

「だから先程言いましたよね。

なぜ笑っているのかと」

なぜこの子にそんなことを話さなければならないのだろう。

第一話すことのできないボクの意思をどうやってこの子は知ることができたのだろう?

「そんなことは簡単です。

私は魔法であなたの心の声聞いているだけです。

そんなどうでもいいことよりも、

あなたはなぜ笑っていたのですか?」

少女は不思議そうに聞いてきた。

当然だろう。

死にかけているのに笑っているのはおかしい。

外に出たかったんだ。

だけど無理だったから無力だと思っておかしくて笑ったんだ。

「あなたが無力?

そんなに大きいのに?

あなたならその乗っているものを

どかせる力を持っているでしょうに。」

確かに、

ボクは力持っているが鎖で繋げられていせいで動けない。

それに、

潰されたことで怪我をから動けない。

「では、もしその鎖を私が壊し、

傷を治したら一緒に外にいきませんか?」

そんなことができるのか、

もしかしてこの鎖を壊したり、

傷を治す魔法でもあるのか?

「はい、あります。

なので一緒に外にでませんか?

早く決めてください。

人が来るかもしれないので。」

少女は本当にいそいでいるらしい。

ボクは外に出たことがない。

もしも、

外に出ればなにかあるのだろうか?

「さあ、

しりませんけど、

でもあなたが一緒に来てくれると言うのなら私は助かります。」

こんなボクでもいいのか?

なら、

外に連れていってくれ。

少女はボクの上に乗った石の壁に触れた。

「すこし動いてくれませんか?」

少女がそういうので動いてみた、

すると固かったか壁がボロボロと崩れだした。

「驚かないでください。

石を劣化させただけですから。

後はその鎖ですね。」

少女は同じように鎖に触れた。

動いてみると鎖もさっきの石と同じように崩れた。

「傷、

予想より酷いですね。

すぐに治します。」

少女は持っているバックからビンをとりだした、

きっと魔法に必要なものなんだろう。

ビンの中の水のようなものを傷口にかけた、

傷口に染みて痛い。

彼女は、それに気づいのだろうか申し訳なさそうな顔をし作業を続ける。

そして、

傷口の前に両手を広げ言葉を紡ぎ始めた。

ボクには何をいっているかわからない言葉をまるで歌のようにきこえる。

きっきかけた液体が傷口のなかでうごめく、傷口が熱い。

「終わりました。」

傷口を見てみると、

綺麗に直っていた。

ありがとう。

「どういたしまして。

傷口が治ったことですし早く此処から移動しましょう。」

そうだね。

ボクは少女の目を見ていった。

こんなに話をしたのはいつぶりだろう。

そう思いながらボクは歩きだした。

「あなたは大きいから、

外に出るのは大変かもしれません。

出来るだけ広いところを通りますけれど、

崩れている場所もあるかも知れませんけど

大丈夫ですか?」

大丈夫。

だから一緒に外に出よう。

「はい、そうですね。」

ボクの住んでいた壁崩れた部屋からでていった。

決まった時間に与えられた食事を食べ、

決まった時間に眠りる。

そんなボクの日常はおわりを告げた。

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RE:CREATE 近堂 明良 @baku01

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