第30話『残すはあと一ヶ月』


     5.


 そのあと、一問も正解できずに、うみかめクイズを終えて戻ってきた風水を連れて、適当に店を回った。

 りりすちゃんと風水にたかられてしまったが、まあ、たまにはいいだろう。

 十一月二十八日木曜日。

 文化祭も、そろそろ終わる時間だ。

 生徒たちによって撤収作業が行われ、翌日には文化祭があったことなんて感じさせないほど、元通りに戻っている。

 文化祭。

 たった一日のために、学校中が盛り上がって――でも、終わった途端、綺麗さっぱり日常に戻る。

 普段の状態になった教室を眺めながら、一体、あの時間は何だったのだろう。夢だったのかなと思う。

 なんてふうに。

 好きな漫画の台詞を一部引用しながら、文化祭の終わりを偲ぶ。あーだこーだ言っていたけど、なんだかんだで、僕なりに僕相応に楽しんでいたのだろう。

 さて、学校行事の文化祭も終わった今、これから先に何も行事は残っていない。

 もう一ヶ月を乗り切って二十四日を迎えれば終業式で冬休みだ。その前にテストがあるので一抹の不安は拭えないが、もう少しで今年も終わる。

 今年も残すところあと一ヶ月。

 十二月。師走とも呼ばれるこの月。

 駆け抜けるように終わるだろう。

 そう、このときはそう思っていた。



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