テンプレート式・超短編小説
鳥亜江図
【葛藤1】その1『時間と告白』
*この小説は『テンプレート式 超ショート小説の書き方』という本を使って書いたものです。【加藤1】はその本の一つの章です*
本当ならあの子に告白したい。しかし、それはできない。
なぜならば僕は臆病者だからだ。
時間は刻々とすぎていく。僕はどうすればいいんだ。
このままだと、彼女は他のやつとくっついてしまう。もう二度と会えなくなってしまう。
周囲が騒ぎはじめた。ある学校イベントに先立つ勢いが沸き始めて、学校の男女が誘い合って、新しい関係が始まっていく。
僕は決めた。やはり彼女に告白する。
昼休みに、僕は彼女の教室の外で待つ。
彼女が出てきた瞬間、僕は「〇〇さん、僕のことは知らないでしょうけど、ずっと前から君が好きでした。僕と付き合ってください。」
振られる覚悟はしてた。赤の他人に告白されても、「はい」と答えるわけがないだろう。実に痛い行動を取ったね。
しかし彼女は引くことなく、しばらくしたらたら「うん。付き合おう」と答えた。
こんな幸せ、人生初めてだ。
僕たちはそこで連絡先を交換した。そして二日間が立つ。
僕は電話を掛ける。「金曜日、どこかに行きませんか?」と聞く。
「ごめんなさい。私は彼氏がいます。」
あまりにもショックだった。彼氏がいるなら、普通は「うん」と答えるんじゃくて断るのは筋だと思う。
ある知り合いに聞いたら、「〇〇さん?彼氏がいるけどそれはどうした?」と言われた。
その知り合いに嘘をつく理由はなかった。告白したときに、確かに彼女はもう彼氏がいた。
ならばどうして「付き合おう」と答えたのだろうか。
彼氏とうまく行っていなかったから心がちょっとだけ揺れたのだろうか。
僕が怖かったからとりあえず何か言って祓いたかったのだろうか。
実は前から彼女も僕のことを思っていて、そのときは心が揺れて、思わず「うん」と答えて、それから罪悪感で拒否することに決めたのだろうか。
いや、最後のは無理だ。言葉にするだけで恥ずかしい。そんなわけがないと思ってはいないけど、自分の気持ちを守ろうとしているだけだということに気づく。
一つの事実があるとしたら、それは僕がもっと早く告白したら結果が違ったかもしれない。
しかし、それもただの自己満足だと、僕は思っている。
テンプレート式・超短編小説 鳥亜江図 @toriaezuaonisiy
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