チャット

華蓮『ソフトクリームご馳走さま。今日は楽しかったね!

 夏穂ちゃん、凄いね…

 私には無理だー(>_<)』


 おっ、黒崎さんから夏穂ちゃんに変わってる。親密度が上がったみたい。


タロー『いえいえ、楽しかったね! お宝写真もいっぱいゲットできたから、ソフトクリームくらい何時でも奢るよ!

 あれは僕にも無理だね。普通無理だよ。素人が手を出したらダメなヤツだよ』


華蓮『お、お宝写真って! 水着写真は誰にも見せちゃダメだからね!』


タロー『見せないよ!もったいないもん』


華蓮『も、もったいないって!

 (〃∩ω∩〃)ハズカシイ』




夏穂『ちょっ! 山田! 何見てんのよ!

 …ほんとに田中パパ見てた?』


タロー『見てた』


夏穂『うちの家族は?』


タロー『それは知らん』


夏穂『クラスのグルチャには流さないでよ?』


タロー『分かった、任せろ。ベタなフリだね』


夏穂『違うし! やったらプールであんたに痴漢されたって言うから!』


タロー『馬鹿め、このチャット記録が偽証の証拠になるのだ。それにあんなラブラブ写真撮っておいて痴漢なんて誰も信じないよ』


 黒崎さんとのイチャイチャ風写真送信。


夏穂『山田、コロス』


タロー『お巡りさーん、人殺しがいます!』




健『お前、何夏穂とイチャイチャしてんだよ!』


タロー『してないよ。するわけない。ビンタされたくないし。無理やり撮らされただけだよ』


健『まあ、それは夏穂から聞いたんだけどさ。あの、親父が見てたってマジ?』


タロー『マジ』


健『˚‧º·(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )‧º·˚』


タロー『陰で夏穂って呼んでるの、怒ってたぞ』


健『マジで?』


タロー『マジ』


タロー『裏でだけ夏穂って言うからだぞ。本人にも夏穂って呼んでやれよ』


健『えっ、そっち? 調子に乗んな、じゃないの?』


タロー『黒崎さん、田中のこと大好きみたいだよ。どこが良いのか全く分かんないけど』


健『そっかー! 夏穂のヤツ、ツンデレだからな!』


タロー『デレてるところ見たこと無いぞ』


健『それは二人の時だけに決まってんだろ』


タロー『まあ、幸せにな。浮気したら商店街で吊されるぞ』


健『恐っ!』




華蓮『タロー君、英語の宿題やった?』


タロー『まだ』


華蓮『じゃあ、約束通り一緒にやる?』


タロー『やったー! 勉強会デートだね!』


華蓮『ちちち、違うし! デートじゃないし! 宿題だし!』


タロー『OK! そういう体裁ね!』


華蓮『違うもん! そんなこと言うなら宿題会なし!』


タロー『すいません、調子に乗りましたm(_ _)m』


華蓮『夏穂ちゃんと田中君も誘う?』


タロー『いや、黒崎さんは田中と二人きりの方が良いって。田中が本上さんに目をやったらまたビンタ炸裂しそうだし』


華蓮『そ、そうかな。でも、私達も二人きりだとデートみたいで恥ずかしい』


 みたいじゃなくて、デートだから。


タロー『そう? 図書館とかなら二人で勉強してるのなんか珍しくないよ』


 図書館なんて行ったこと無いけど。


華蓮『図書館かぁ。別にいいけど図書館だと静かにしてないとダメだから、英語の発音とか教えてあげられないよ?』


タロー『それもそうだね。うち来る?』


 そっけなさそうなセリフをかなりドキドキしながら送信した。


華蓮『えっ、タロー君の家? 襲わない?』


タロー『家族も居るのに襲うわけないでしょ!』


華蓮『あっ、そ、そうかぁ。家族もいるもんね! じゃあ、優香ちゃんも一緒に勉強できるね!』


 しまった! 邪魔者が混ざってしまったぞ。


タロー『優香は英語の宿題なかったと思うよ』


華蓮『小学生の宿題なんてどの科目でも教えられるよ』


 確かに! ぐぬぬっ


華蓮『優香ちゃんとも遊びたいし、優香ちゃんも一緒ならタロー君の家でも良いよ』


タロー『仕方ない。優香は邪魔だが仕方ない』


 あっ、正直に打ってしまった。


華蓮『あははっ、タロー君、正直過ぎ!』


タロー『じゃあ、優香に本上さんが遊びに来るって言っておくよ』


華蓮『遊びにじゃなくて、宿題ね! あと、華蓮でも良いよ?』


 マジですか!


タロー『華蓮』


華蓮『よ、呼び捨て! 呼び捨てはまだダメ! 華蓮ちゃんで!』


 調子に乗りすぎたか。まだってことはその内OKになりそうだね。


タロー『分かったよ、華蓮ちゃん。華蓮ちゃんはさっきみたいにタローって呼び捨てでも良いよ』


華蓮『あっ、呼び捨てにしてた? ごめんね。昔飼ってたワンコがタローって名前だったんだよ。だから、ついタローって言いそうになるんだぁ』


タロー『なんだ、仲良くなったからじゃないのか』


華蓮『なんか、ごめんね?』


 ワンコ扱いか。ガッカリだけど、ワンコならじゃれついても良いよね?


華蓮『ワンコの振りしてじゃれついてきたらダメだからね!』


 なんでバレたし!


タロー『僕達離れていても心が通じ合ってるみたい』


華蓮『ちちち、違うし! タロー君、学校じゃ紳士的なのに、休みの時はちょっとSだよね』


 学校で調子に乗ったらコンパスは飛んでくるし、ビンタも炸裂しそうだし、自制心が強く働いてるんだろう。


タロー『華蓮ちゃんと二人きりだとテンションが上がっちゃうんだよ』


華蓮『今日は二人きりじゃなかったよぅ』


タロー『仕方ない。華蓮ちゃんの水着姿が可愛すぎるからテンション上がるのも仕方ない。僕は悪くない。

 裁判長、無罪を主張します!』


華蓮『弁護人の主張は主観に基づき過ぎています。主張を棄却します』


タロー『証拠品を提出します!』


 水着で皆で写っている、華蓮ちゃんが一番可愛い写真


華蓮『証拠品を受理しました。夏穂ちゃんと優香ちゃんもとても可愛く、弁護人の主張の根拠には乏しいと考えられます』


 バーガーショップで引っ付いている、蕩けるくらい可愛い華蓮ちゃんの写真を送付。


タロー『仕方ない、仕方ないんや! こんな可愛い子がおっぱいを押し付けてきたら、男子中学生はおかしくなってしまうんや!』


華蓮『きゃーっ! む、胸当たってた!?』


タロー『めっちゃ柔らかくて気持ち良かったです!』


華蓮『タロー君のバカぁ!』


 その後いくらメッセージを送っても、その日本上さんは返事をしてくれなかった。それでもちゃんと既読になるところが、彼女の生真面目さが表れているようでおかしかった。


「お母さーん! お兄ちゃんがスマホ見ながらニヤニヤしてきもいよー!」


 おい、優香! なんで俺の部屋覗いてんだ。お前、本上さんと遊ばせてやんないぞ!

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