第5話 宝箱

「さてと…」

 私は若干緊張して、義一の家の玄関前に立っていた。トートバッグから携帯取り出し画面を見ると、昼の一時を示していた。

 前に義一さんに会った時、これくらいの時間だったから、迷惑じゃないよね…。あぁ、義一さんに電話番号聞かなきゃだったな。

 前回初めて義一の家に行ってから三日が経っていた。本当は次の日にでもまた来たかったが、宿題を居間のテーブルで見てもらいながら、義一が

「あ、さっきいつでもとは言ったけど、あまり頻繁に来ちゃダメだよ?急に頻繁に外出が増えると、疑われるからね」

なんて言うもんだから、私なりに調整したのだった。まぁ、ピアノの練習に、たまたま出くわしたヒロにチョッカイかけられたりして、それなりに予定はあったけど。

 私は恐る恐るラッパが描いてあるインターフォンを押すと、ピンポンと鳴るかと思えば、ジィィーっと単調で無骨な音が鳴った。しかも押し続ければ、そのまま鳴りっぱなしの仕様のようだ。あまり慣れてなかったので、使い方があってるのか不安に思いながらも反応を待ってると、ブツッと音がした後に義一の声が聞こえた。

「はい?」

「あ、ぎ、義一、さん?あの…琴音、だけど」

と、私は慣れない調子で拙く答えた。

「あぁ、琴音ちゃん、いらっしゃい。ゴメン、悪いけど勝手に入って来てくれるかな?玄関開けて」

「うん、わかった」

私は筆箱の中から鍵を取り出し、開けて中に入った。

「お邪魔しまーす」

と、前に入った居間の方へ行くと誰も居なかった。

「あれ?義一さん、どこ?」

「あ、こっちこっち」

と部屋の外から声が聞こえた。廊下に戻ると、幾つかあるドアの内、一つが半開きになっていて、そこから光が漏れていた。

「ここにいるの?…!」

ゆっくりとドアを開けると、まず匂いが鼻についた。何とも言えないが、敢えて形容するなら薄甘い匂いだ。私の大好きな匂いだ。古本の匂いだった。

 部屋を見渡すと、四面の壁のうち三面に本がギッシリ詰め込まれていた。文庫本サイズから、辞書や図鑑サイズまで、ジャンルを問わず多種多様の本がそこにはあった。

 なるほど、前に来た時、図書館の匂いがすると思ってたけど、コレだったのね。

 一つだけある、そこから外に出られそうな窓は、ドアから入ると正面に位置し、そこだけは本から解放されていた。その窓の手前には重々しい大き目の机が置いてあり、身長が160センチの私が両手広げたくらいの幅があった。そばには革張りの安楽椅子があり、座ると正面にドアが見える配置になっていた。この二つとも、かなり古そうだったけど、それなりの雰囲気が出てた。部屋の広さは、当時は当然詳しく分からなかったけど、10畳以上はあったと思う。部屋の中心あたりの、フローリングの床には焦げ茶色の絨毯が敷いてあった。周囲を圧倒されながらも見渡してると、壁を背にして何か布で覆われてる物に気付いた。気になり、少しズラしてみると、何とそこにあったのはアップライトピアノだった。私は思わず残りの布も取り払い、ガコッと蓋を開けて見ると、若干埃かぶっていたが細長い赤いカバーがあり、それも外して見ると、綺麗な白と黒の鍵盤が現れた。

…音、鳴るのかしら?試しにドレミで言うところの”ラ”を押すと、鍵盤は普通のより重く、抵抗感を感じたが、外れることなくちゃんと”ラ”が鳴った。調律はしてあるようだった。

「お、早速弾いてるね」

いつの間にか義一が、お洒落な喫茶店のテラスに置いてあるような、二人用の丸テーブルを持ってドアの前に立っていた。それを部屋の中央部に置きながら

「ちゃんと鳴るでしょ?そのピアノ」

「う、うん。ぎ、義一さん弾けるの?」

と、前回は勢いで素直に言えたのに、冷静に改めて面と向かって名前を言おうと思うと、今更だけど小恥ずかしかった。義一は私と違う意味で照れながら

「いやぁ、昔少し習ってただけだから。今でもたまに弾くけど、今熱心に練習している琴音ちゃんとは比べ物にならないよ」

「へぇー、そうなんだ…っていや、なんかもう」

と、私は部屋を見渡したり、義一を見たり、運び込まれたテーブルを見たりと慌ただしく視線を動かしながら

「幾ら私でも、こんなに一遍に新しいことが目の前に起こると、何から聞いたらいいのか混乱しちゃうじゃない!」

と、いかにも困ったふりして言うと、義一は子供っぽい笑顔で得意げに

「ビックリした?僕も琴音ちゃんが急に来てビックリしたから、お返しにと思って機転を利かしたんだ」

「もう…じゃあ早速質問するけど、まずここは何なの?」

「ここかい?ここはね…」

義一は大袈裟に部屋をグルッと見渡してから、勿体ぶって話した。

「僕の父さんの宝箱さ。そして今は僕のね」

「え?宝箱?ここが?」

私もグルッと部屋を見渡しながら返した。

「そう、ここには父さんの大好きだった本が全部置いてあるんだ。古今東西、まだ今みたいに情報がなかった時代に、自分の足で探し回ってかき集めたみたいなんだ。まぁ、今は僕の買った本も混ざっているけどね」

「へぇー、ちなみに何冊くらいあるの?」

「そうだなぁ…」

と、義一はいつもの、顎に手を当てる、考える時のポーズをしながら

「実際はどうか分からないけど、七千くらいって言ってたかな?」

「な、七千!?ほぇー…」

私は驚きながら、改めてまた見渡した。

「だから、ここが何かと聞かれれば、書庫兼書斎と言うことになるだろうね」

と、義一は今度は窓の前の大きな机に手をかけながら言った。私は目を輝かせて

「へぇ、いいなー。壁一面の本なんて、憧れちゃう」

「ふーん、若いのに随分渋いセンスをしてるね。本好きなんだ」

「うん、大好き」

「あ、そう言えば、こないだ図書館で、絵里と仲良さそうにしていたもんね。よく行くんだ?あそこ」

「うん、よくあそこで借りたりしてるんだ。人も少なくて気に入ってるの。でも凄いね、私のお爺ちゃん、そんなに本が好きだったんだ」

と私が言うと、義一は人差し指を立てて、左右に振りながら

「イヤイヤ、これで驚いちゃいけないよ?他の部屋にも本とは別に色んなものがあるんだから。何せお爺ちゃんは…」

「粋人!…でしょ?」

と私がすかさず横槍を入れると、一瞬間が空いて、それからすぐ二人して笑い合った。

「それで?あの今持って来たテーブルは?」

「あぁ、あれ?あれはね」

と、義一は今度は二人用のテーブルに近づき、二回軽く叩きながら

「ほら、これから琴音ちゃんが来た時、あの居間で毎度宿題とかするのは味気ないと思ってね。この部屋だったら本に囲まれて、いかにもって感じで雰囲気出るでしょ?」

「まぁ、私は本読むのも、この古本の匂いも好きだから歓迎だけど」

「なら良かった。本当は琴音ちゃんがくる前に、物置で眠ってたこのテーブルを出すつもりだったんだけど、思いがけず早く来たもんだから、慌てて出すのにちょっと手間取っちゃった。待たせてごめんね?」

「いやいや、全然構わないよ。むしろ色々考えてくれて嬉しい」

と私は満面の笑みで答えた。同じく微笑み返した義一だったが、急にすまなそうな顔で

「ゴメンねついでになんだけど、テーブルはあったんだけどイスが無かったから、今から一緒に居間に行って、食卓のイスを持ってくるの手伝ってくれないかな?」

と言うので、私はクスクス笑いながら返事した。

「いいよ、行きましょ」

 

 二人で居間からイス二つを運び終えると、私はイスに腰掛けトートバッグから宿題と筆記用具を取り出した。義一はそそくさと居間に戻り、こないだと同じように紅茶を作って、ポットとカップ、それに前にコンビニで買って余ったお菓子をお盆に乗せて持って来た。

「あっ、ありがとうー」

「いえいえ。じゃあまず早速」

義一は私の宿題に目を落としながら

「大義名分を果たすかな?」

「ふふ、そうね」

と、義一は私の向かい側に座りかけたが、躊躇して

「そうだ、僕がそばにいると気になるかな?」

と言うので、私は笑いながら

「大丈夫だよ。たかが宿題くらいで。むしろ見てくれるんでしょ?」

と言うと、義一は頭を掻き言った。

「あぁ、そうだった。そこまでが”大義”だったね」

 

 最初の二十分くらいは、早く宿題終わらせて義一とお喋りしたいが為集中していたが、余りに静かなのでふと顔を上げると、義一は静かに背表紙がボロボロの分厚い本を集中して読んでいた。その姿を見て自然と話しかけた。

「…やっぱり義一さんも本が好きなんだね」

「…ん?うん、そうだね。でもやっぱりって?」

「…うん、いや、その」

と私は持ってたシャーペンを一度置いて、それから続きをゆっくり話した。

「前にほら、義一さん言ってたでしょ?私と自分が似てるって」

「うん」

「もし本当に義一さんと私が似てるとしたら、そうかなって。義一さんも私と同じくらい、小さい頃から本が好きだった?」

「…まぁ、そうだねー」

と義一も手に持ってた本を置くとゆっくり話し始めた。

「読んでたよー。それこそ、ここに置いてある本をね」

「へぇー、ここのを…」

と私は義一から顔を逸らして、またグルッと周りを見渡しながら言った。

「うん。琴音ちゃんのお爺ちゃんに、別に強要された訳じゃなかったけど、僕は、そうだね、初めて僕達が会話した、あの時の琴音ちゃんくらいの時から、自分から進んでこの家に遊びに来てたんだ」

義一はその時の情景を思い出すように、遠い目をしながら言った。

「ふーん、私もあの頃からずっと本が好きで読んでたよ。まぁ、お父さんもお母さんも、本を読む分には文句を言わなかったしね」

「へぇー、ところでどんな本を読んでたの?」

と、義一は興味津々といった様子で、身を乗り出すように顔を近づけて聞いて来た。

私もさっきの義一と同じく遠い目をして、思い出しながら言った。

「何だったかなー。色々と読んでたと思うけど、何だか世界文学全集みたいなのを買って貰って、そこに載ってるお話を、片っ端から読んでたような気がする」

「ふーん、兄さんも中々粋なことをしてたんだね。あ、あれか。自分が父さんにしてもらったから、思い出して自分の子供に同じようにしたんだ」

義一は悪戯っぽく笑っていたが、意地悪くじゃなく微笑まし気だった。

「なるほどねー…それで一つ、琴音ちゃんに対する謎が一つ解けたよ」

「え?なになに?」

今度は私が体を乗り出して、食い気味にその先を促した。

「何で琴音ちゃんの話す会話の中身が大人びていて、というより、大人よりも大人びているのか?しかもチョイスが独特で面白いのは何故か」

「えぇー、そうかな?自分じゃ分からないけど」

と予想外のことを言われたので、上手く飲み込めずに返すと、義一は微笑んで

「いやいや、もし気を悪くしたんならごめんよ?むしろ褒めてるんだから。なるほど、やっぱりねぇ」

と一人納得してるらしく、ウンウン頷いていた。だが、ふとバツが悪そうな表情になり、私に向かって苦笑しながら続けた。

「でもどうだろう?さっき僕達同じだと言う前提で話したけど、僕と琴音ちゃんは動機が違う気がするんだ」

「え?どうしてそう思うの?」

今自分でも”なんでちゃん”が起きだしたのがわかった。義一は続けた。

「うん、いや、僕も小学生に上がりたての頃は、さっきも言ったように純粋に本を読むのが好きだったんだ。まぁキッカケはさっき言わなかったけど、やっぱり父さんが読んでいたからなんだ。父さんの事尊敬してたしね。父さんのやることなす事同じくしたくて、真似から入ったんだと思う」

私もこの頃お父さんを尊敬してたけど、そのことは口に出さなかった。義一は続けた。

「で、僕も段々とのめり込んでいったんだけど…いつからなのかな…?キッカケも覚えてないんだけど、急に周りの大人のことが信じられなくなったんだ」

「…え?」

「何だったんだろう?今となっては、自分の事なのに推測するしかないんだけど、父さんに対してではなくて、父さんの周りに集まる大人達、父さんに対して見せる表情、態度が余りに当時の僕にはおぞましく見えたんだ。あ、これがキッカケかな?…続き話していいかい?」

「うん」

「そこからは、なし崩しと言うのかな…丁度今の琴音ちゃんくらいの歳になると、目の前に大人がいたら、色々と観察する癖が付いちゃってたんだ。小学校の先生から始まってね。先生が一番分かりやすかった。教壇の前で僕達生徒に向かって、色々聞こえの良いことをツラツラ澱みなく喋ってるのを聞くたび、僕は思わず『この嘘つき!』と叫びたくなるような衝動に駆られてた。まぁ、結論じみたこと言えば、僕は生意気にも小学生にして、自分のことを棚に上げて大人に対して、また、これから大人になる自分に対して絶望してたんだ」

「…」

ここまで聞いて、私からも話したいことが出来てウズウズしてたけど、今は黙って義一の話に集中した。

「そこで僕が縋ったのが…」

と、義一はさっきみたいに周りを見渡しながら

「父さんが集めたこの本達だった。最初は物語が面白くて読んでいたけれど、段々僕の方が変化していくに連れ、また再び読み返してみると、物語は勿論だけど、軽く読み飛ばしていた、主人公のセリフだとかが目に飛び込んでくるようになって、それが僕の心に沁み渡っていくようだったんだ。僕みたいなちっぽけな子供が、クヨクヨしてるようなことを、物語の主人公、ヒーロー達が果敢に立ち向かっても、結局どうにもならない話が特にね」

義一は今度はまっすぐまた私の顔を見て

「僕はそれらの、ある意味での悲劇を読んだ時、むしろ気が楽になったんだ。今初めてのことじゃなくて、人間昔から全く変わらないんだなぁ…ってね。偉そうに僕は『世の中、僕のことをわかってくれる人はいない、こんなに周りに人がいるのに独りぼっちだ』って塞ぎ込んでいたんだ。でも、僕なんかよりも深く現実を見て、歴史に名を残した偉人達、物語を書いた現実生きてた作者自身も、もがき苦しみ、それでも何か解決策は無いのかと、主人公と一緒に模索していたのに気付いた。で、これは不遜かも知れないけど、本を読むことで、作者と自分を重ね合わせることで孤独が癒されたんだ。それからは、いわゆる小説以外にも手を出して、余計に本読む量が増えて、今度は物理的に引きこもるようになってしまったけれどね」

ここまで話すと、義一は自嘲気味に笑った。

「長々と話しちゃったけど、今の話を聞いて、琴音ちゃんはどうかな?」

と義一が聞いてきたので、少し頭の中を整理するため黙っていたが意を決して

「…うん、義一さんの言う事、よくわかる気がする。…私なりにだけど」

と静かに返した。

「わかる気がするって言ったのはね?今まで何となくでしか感じていなかったことを、今義一さんが言葉にしてまとめてくれたように感じたって意味なの」

とここまで言うと私は、黙って私の言葉を待つ義一をまっすぐ見たが、少し申し訳なさそうに弱々しく

「…うん。多分同じは同じだと思うけど、肝心な所が違うね。私は自他ともに認める”なんでちゃん”でしょ?疑問に思った事をそのままに出来ない。ちゃんと納得いく説明してくれないと我慢出来ない。私は今、義一さんの話を聞いて、私も、周りの大人達が誰一人答えてくれない、一緒に悩んで考えてくれない、それでどうしようもなく追い込まれた先が本だったのかもしれない、と思ったの。でも、私は義一さんとは違う…」

とここまで言うと、少し強い視線を義一に向けながら

「私は昔の義一さんほど絶望していないもの。だって」

私はニッコリ微笑んだ。

「義一さんには義一さんがいなかったけれど、私には義一さんがいるもの」

「琴音ちゃん…」

「…はい、この話はこれでお終い!宿題しなくちゃ!」

私は急に自分が今言った言葉に恥ずかしくなってしまい、誤魔化すようにワザと明るい声出してから、宿題に没頭した。しばらく義一は私に微笑みかけていたが、また読書を再開するのだった。


 持ってきた分の宿題を終えて、時計を見ると丁度三時を指していた。

「んーん、終わったぁ」

「お疲れ様、紅茶を淹れ直したけど飲む?」

「うん、いただきます」

二人でおやつとして、この間買ったお菓子を食べてると、義一が少し物憂いげに

「せっかくのおやつが、これじゃ味気ないねぇ。次から何か用意しとかないと」

と言うので、私は少し考えて

「あ、じゃあこの家でお菓子を作ろうよ、おやつ用の」

「え?でも、僕は当然作れないし…え?まさか琴音ちゃん…」

と義一は心底驚いた様子で

「お菓子作りなんて、女子力高いこと出来るの?」

と言うので、私は少し眉を顰めながら

「何よそれぇ。違う、違うの。私のよく知ってる人で、お菓子作りの名人がいるの。次来る時までに、その人に習っておくから、期待しておいてね」

と言う頭の中には、ピアノの先生の顔が浮かんでいた。

「へぇ。じゃあそれは期待して待ってるよ。…あっ、そういえば」

義一は手に持ったカップを置きながら

「琴音ちゃん、今日来る時鍵開けて来たよね?今更だけど、鍵は普段どこに入れて持ってるの?」

「鍵?いやぁ、悩んだけどねー」

と私はテーブルの上に置いてある筆箱をおもむろに弄り、中から鍵を出して見せながら

「思い付かなかったから、しばらくこの中に入れとくつもり。お父さんもお母さんも、筆箱の中まで見ないとは思うから」

「そうかぁ。いや、僕も渡した後に鍵どうしたか気になってね。一方的に後先考えず渡して、無責任極まりないなぁ、僕は」

と頭を掻きながら言うので

「はぁ、全くもう。だから義一さんに”普通の大人”の対応は期待していないから」

と、ため息混じりに返した。気づけばもう”義一さん”呼びに違和感はなくなっていた。

「いやはや…。でも、”もしも”があるから、僕も考えるけど、琴音ちゃんも、もっといい隠し場所がないか、考えといてね?」

「うん。…あっ!」

私は今の会話に全く関係がない、でも一つ忘れ物をしてるのに気づいた。急に声を上げたので、義一は目をパチクリしてたが、私は落ち着き払って

「そういえば、私達が再開した時、何で土手に、しかも暗くなる時間まで寝っ転がっていたか、まだ答えてもらってなかった!ド忘れするとこだった、危ない危ない。で、何であそこにいたの?」

と聞くと、少しいつもの考える時のポーズをしていたが、ふと苦笑を漏らし、言おうか言わないか迷っているようだったが、表情はそのままに答えた。

「あぁ…アレねぇ…本当に大したことじゃないんだけど…知りたい?」

「もったいぶるなぁー。そこまでタメられたら、余計に気になっちゃうよ!男なんだから、こう、スパッと教えて!」

と私があまりに焦れったくて、同級生に言う調子で言ってしまった。

あっ、生意気に言いすぎたかな?と思ったけど義一の反応を待った。男なんだからと言われたのが身にこたえたかどうかは分からないけど、まだ苦笑をしながら義一は答えた。

「そこまで言われたら引き下がれないね。…よし、琴音ちゃん。今から土手に行こう!」

「え?今から?」

ふと時計を見ると三時半を少し過ぎてるくらいだった。その様子を見て義一が聞いた。

「あ、もしかして、そろそろ帰らなきゃいけない時間かい?」

「んーん、まだ時間は大丈夫だけど…」

「よし、じゃあ…」

と義一は勢いよく立ち上がると明るい調子で言った。

「琴音ちゃん、忘れ物しないようにね?早速土手に行こう」


 私はトートバッグに、持って来た宿題と、鍵を仕舞った筆箱を入れて、玄関前で待っている義一に近寄った。

「忘れ物はない?」

「うん、大丈夫」

「よし、じゃあ閉めるよ」

玄関を閉めると、私達二人はゆっくりと歩を進め始めた。空は若干オレンジ掛かった黄色に染まり、夕方に成るのを知らせていたが、暑さは私が義一の家まで来る時と、体感では全く変わってなかった。私は歩いてすぐ大きく溜息を付いたので、義一は空を見上げながら

「しっかし、今日も暑いねぇ。毎年思うけど、去年より今年の方が暑いと思わない?」

「うん…まぁ」

「でも、こうして…」

と義一は、前に土手に持って来てた籐かごバスケットに目をやりながら

「スポーツドリンクに、日傘、あと保冷剤を入れてるから大丈夫だと思うよ?土手に着けば、風も吹いているだろうし」

と得意げに言うので、私が

「ついさっき行くこと決まったのに、随分準備がいいんだね…?」

とツッコんだけど、ニヤニヤ笑ってるだけで何も返さずスルーして言った。

「結局僕が連れ出す形になっちゃったけど、理由を知ってもがっかりしないでね?本当に冗談じゃなく、ツマラナイことなんだから」

「ハイハイ、大丈夫だって。面白いツマラナイじゃなくて、訳さえ知ればそれでいいんだから。いい歳した大人が、平日昼間にあんな所で何故寝っ転がっているのかのね」

「いやいや、中々直球で毒を投げつけてくるね」

と義一はまた苦笑まじりに頭を掻きながら言った。私はしたり顔だ。


 土手に着き、斜面を登りきると、まさに夕陽が一番綺麗に輝く時だった。一瞬目が眩んだが、だんだん慣れてくると、川の向こうの建物が逆光で黒一色になって浮かび上がり、川は太陽を反射して、水面が揺れるたびに光も揺れて、キラキラ輝きを放っていた。土手の下では、今日の練習は終わったのだろう、野球のユニフォームを着た男の子達がグランドの整備、後片付けをしていた。

「おーい、琴音ちゃん。こっちこっち」

と義一はすでに前会った辺りにシートを引いて腰を降ろし、日傘を差して肩と顎で挟みながら、籠から水筒と紙コップを取り出している所だった。

「あ、うん」

私もシートの上に座り、丁度同時に水筒からスポーツドリンクをコップに注いだ義一からそれを受け取った。一口飲んで、日傘を差し、今座っている斜面から、作業をしている野球少年達の姿を黙って見てると、義一も同じように、チビチビ飲みながら静かに目の前の景色を眺めていた。いくら高学年とはいえ、当時の私はまだ小学生だったから流石に沈黙に我慢が出来なくなって声を出した。

「…で?」

「…ん?」

「いやいや、ん?じゃなくて」

私はまた焦らせれてる気がして、急かせるように

「早く、何で土手にいたのかそろそろ教えてよ」

と聞くと、義一は無表情で人差し指を下に向かって指して言った。

「これが答えだよ」

「え?…えぇー」

と語尾を伸ばし、見るからにがっかりして見せて言った。

「これって、何もしてないじゃない」

と言うと、義一はこちらに微笑んで見せてから、正面の川の方へ顔を向けて

「そう、”何もしてない”をしているのさ」

「??」

私は腕を組んで首を傾げ、自分なりに咀嚼してみたが、よく分からなかった。

「”何もしない”をしてる?それってしてるの?してないの?」

と私は自分でも何言ってるかよく分からないまま聞くと、義一は満面の笑みになって

「はははは。いやー、やっぱり期待通りの反応をしてくれるなぁ、琴音ちゃんは」

と言うので、若干ムッとしながら

「こうしているのって何の意味があるの?それとも意味もないの?」

と聞くとまた義一は笑って

「その言い方ね!本当に言葉の使い方が面白い。琴音ちゃんのそう言う所、好きだな」

「そ、そう言うのいいから、早く答えてよ」

と最後のセリフにドギマギしながら先を促した。

「うん。意味があるのかって?勿論意味はあるよ。それはね…」

とここで義一は、両膝を抱えて軽く体育座りをして、私に顔を向けながら、続けた。

「突然質問するようだけど、琴音ちゃんは”逍遥”って言葉知ってるかな?」

「しょ、逍遥?うーん…どこかで聞いたことあるような…あっ!」

と思い出した私は人差し指を上に指しながら、得意げに

「確か大昔の小説家の…坪内…逍遥のこと?」

と答えると、ハトが豆を食らったような表情を一瞬見せたが、すぐ満面の笑みになった。

「はははは、いや違うよ。違うけどでも凄いよ!よく知ってるね、坪内逍遙なんて。学校でも習わないでしょ?」

「い、いやー、図書館でチラッと名前だけ見た気がしたから…」

と、正解を外したのに褒められたことで、どう返したらいいか困っていると、義一はそれには特に気を止めずに

「そうなんだ。いやいや、少し見ただけで覚えているのは大したもんだよ。本当は正解をあげたいんだけど、残念ながら違うんだ。いや、厳密にって意味で、漢字と意味は坪内逍遥と同じだよ」

「へぇ、じゃあどう言う意味?」

「うん、”逍遥”っていうのはね、意味だけ言えば、そこら辺をブラブラ歩くこと。つまり散歩だね。だから話を戻せば、僕はいつもじゃないけど、思い出したらここに逍遥しに来てるんだ」

「へぇ…うん?」

と一瞬納得しかけたが、変な点に気づいて、すかさず突っ込む事にした。

「いや、待って。細かいけど二つばかり納得出来ないんだけれど」

「うん、何だろう?何でも聞いて?」

私は少し強めの言葉で突っ込んでいたつもりだったけど、受けてる義一は今の状況を、心の底から楽しんでいる様子だった。

「一つはすごく細かいけど、今私達はここでジッとしているだけだよね?」

「うん」

「これって散歩とは言わないと思うの。だって歩いてないんだもん」

「なるほど、ごもっともな意見だ。でも…」

とここで義一はニヤっと笑い

「本当に聞きたいのはその事じゃないよね?」

というので、私も少しタメてから聞いた。

「じゃあ聞くけど、今義一さんは『逍遥しに来てる』って言ったよね」

「うん、確かに」

「もし逍遥が散歩って意味なら、『逍遥に来てる』って言うんじゃないかな?しかも、今座ってるこの場を指差して言ったら、座りながら散歩してるって意味になっちゃうでしょ?もしかして…」

とここで少し義一に体を寄せて、まっすぐ目を見ながら

「逍遥にはまた別の意味があって、義一さんはそっちの方を言ってるんじゃないの?」

と言うと、義一はうーんっと唸りながらほっぺを掻いていたが、おもむろに腕を伸ばし私の頭を撫でながら明るい笑顔で答えた。

「…いやー、さすが琴音ちゃん!御名答!大正解!名推理だね。参りました」

「そ、それで結局どう言う意味なの?」

と頭を撫でられるまま答えを待った。義一は手を離すと顔をまた川の方に向けて

「そうだねぇ…何から説明するのがいいのかな?…琴音ちゃん」

と顔をまたこちらに向けて義一は聞いた。

「またしつこいようだけど、聞いて見てもいいかな?」

「う、うん。いいよ」

「じゃあね…逍遥学派って…いや、これはないな…人の名前でアリストテレスって聞いたことある?」

「うーん…何か学校の”倫理”の時間で出て来てたアレ…かな?」

と、急に小難しそうな名前が出て来て、どこに話が行くんだろうと不安になりながら答えた。何かを察したのか、義一も慌てて手を振って

「いやいや、ごめんごめん。何か難しいこと言おうとしているんじゃないんだ。ただここからしか話す術を思いつかなかっただけだから。この、今から大昔も大昔、二千四百年くらい前の、今のギリシャにいた人なんだけれど、この人は言うなれば先生をしていて、生徒達にいろんなことを教えていたんだ。ただその教え方が今からすると変わっていてね」

「どんな風に?」

「普通だったら、どこか教室の中で勉強して教えてもらうと思うでしょ?でもこの人のやり方は違った。生徒達と一緒に散歩をするんだ」

「え?じゃあ何、ぞろぞろみんなで歩き回っているの?」

「そう。って言っても、当然実際見てないから断言できないけれどね。この先生はその日その日に議題を出して、生徒達にそれについて議論をさせたんだ。勿論自分も加わってね。それを一日中していたんだ」

「へぇ。何か、今私がやってるのとは全然違うんだね」

「うん。当然答えが出る時もあるし出ない時もある、でも結論を出すことが必ずしも目的じゃないんだ」

「それじゃあ、一日かけてしても意味ないんじゃないの?」

「と、思うでしょ?でもね、これには何か学ぶ上で一番大事なことが鍛えられるんだ」

「それは何?」

と、聞くと今度は私の肩に手を置いて優しく

「それは琴音ちゃん、君が普段自然とやっていることだよ。自分で疑問点を見つけて、それは何なのか、どういうことなのかを追い求め続ける力だよ」

「あ、あぁー」

「さっき先生がって言ったけど、勿論生徒の方から議題を持ち込んでもいいんだ。普段生活してて、疑問に思ったこと、それについて他のみんなはどう考えてるんだろう?というのを確かめる意味でも、散歩しながら一日中議論をしていたのさ。ちなみに細かいけど、この先生の先生が、そもそも同じことしていて、そのやり方を真似したってことなんだけれどね」

「ふーん、それはよく分かったけれど」

と私は感心しながら聞いてたけれど、肝心の謎が解けていなかった。

「だから、義一さんは独りでここにいるし、しつこいけど散歩もしてないじゃない」

「ごめんごめん、ついつい回りくどくなる、僕の悪い癖が出ちゃったよ。琴音ちゃんが真剣に聞いてくれるから、ついつい僕も、間違いなく、なるべく誤解がないように言おうとしてこうなったんだ。許してね? えーっとつまり、そこからもう一つ、”逍遥”に意味が含まれるようになったんだ。それは」

と義一は一呼吸置いてから

「心を今いる、目に見えるし触れられるような現実の世界の外に遊ばせる。と言う風なね。どう?意味わかるかな?」

と聞いてきたので、

「うーん…分かるような分からないような…つまり、義一さんはたまにここに来て、心をどこかここじゃない、どこかへ飛ばしているってこと?」

とフワフワした自分のあくまで感覚的な感想を答えた。すると義一はまた私の頭を優しく撫でて微笑みながら

「そう、大体そんな感じで合ってるよ。ごめんね、変に難しい話をしちゃって、確か前にも琴音ちゃんに変なことを言ったのを思い出したよ。その時にも言ったかもしれないけど、どうにも琴音ちゃんが僕から見ると、普通の大人なんかよりずっと成熟していて、洗練されてて、とても子供と話している気がなくなっちゃうんだ」

「もう、その妙な褒め方しないでよ、困るから。あ、もっと簡単に言えば、ここに何か考え事をしに来てるってことだね?」

「そう!それが一番分かりやすい正解!よく出来ました」

と義一は小さく拍手をしながら言った。私は呆れながら

「義一さんて一日中ここで考え事しているの?暇なんだね?」

と思わず思ったことが口から滑り出てしまった。

あっ、流石に怒られるかな?っと恐る恐る義一の顔を覗き込んでみると、怒っているどころか、さっきよりも笑顔、知的好奇心に満ち溢れた笑顔だった。

「暇かぁ…うん、暇は暇なんだけれど、逆に琴音ちゃんに聞くけど、暇って悪いことかな?」

想定していなかった質問が飛んできたので、これは遠回しに怒っているのかどうかと、頭の中を堂々巡りしていると、当の義一はあっけらかんとしていて、相変わらず微笑んでいる。

「いや、何か含みがある訳じゃないよ?琴音ちゃんがどう思っているかを聞きたいんだ」

と言うので、私はどうにでもなれと素直に答えた。

「だ、だって…私の周りの大人は、自分がどれだけ忙しいかを競うように自慢し合っているよ?自分がいくら暇かを自慢しているのは聞いたことがない…けど…」

と最後は消え入るように言った。義一はウンウン頷いていたが、相変わらず笑みは絶やさず、そのまま答えた。

「うんうん、なるほどねぇ。いや、僕はそれが間違ってるって言うつもりはないんだ。でもね、暇というのは僕は、忙しいよりも遥かに大事なことだと思っているんだ」

「え?どういうこと?」

「じゃあ仮に考えてみよう。今琴音ちゃんが学校から宿題を沢山もらったとする。それを片付けてる時、自分をどう思う?」

と聞いてきたので

「今の話の流れに沿わせるなら、忙しいと感じてると思う」

「うん、それにやらないと怒られるから、必死に次から次へと片付けていくよね?でも、その時やりながら、琴音ちゃんは何か疑問を感じたり、悩んだりするかな?」

「いやいや」

と私は大袈裟に手を振って否定した。

「宿題終わらすのに必死で、そんな暇なんか…あっ!」

と急に思い当たって、思わず声をあげた。その様子に満足したのか、義一は優しく諭すように話した。

「さっきも念を押したけど、僕は忙しいのと暇なのと、どっちが正しいかを言いたいんじゃないんだ。ただ余りに暇なこと、そう、暇を作ることすら嫌悪されてるのはフェアじゃないから、暇なことにも良いことがあると、特に琴音ちゃんには分かって欲しくて言ったんだ。さっき昔のギリシャの話をしたけど、暇じゃないとアレコレ周りをじっくり見れないし、自分がどこに立ってるのかも、分かりづらくなっちゃう。勿論世の中には何も考えたくない、忙しくしてたいという人間がいる、というより、それが大半だと思う。でもそれはそれ、これは余計なことかもしれないから、言うのを躊躇うんだけど…」

とここでまた考えるポーズをしたが、

「構わないよ。話して」

と私が促したので、義一は今度は私の背中に手を当てながら言った。

「今の世の中があるのは、皆んなが嫌っている”暇な”昔の人間達が、その自分の暇な時間を使って、考え抜いて生み出されたもののおかげなんだ。って言うと、お前もなのかと言われると、申し訳なくて小さくならざるを得ないけど…。一つ誤解しないでね?暇してるから何もしなくて良いんじゃないよ?暇だからこそ、アレコレいろんなものが落ち着いて見れて、忙しい人の代わりに、考えて考えて考えぬける。それを飽きなくやるのが暇してる人の勤めだと、僕は考えてるんだ。ってまた話が長くなったなぁ」

「義一さん…」

と私が言い掛けたその時、遠くの区役所の方から大音響で、誰もが知る、懐かしい童謡が流れてきた。五時になった合図だ。周りを見渡すと、いつの間にかグランドには人っ子一人いなくなり、太陽もとっくに沈んで、真夏の夕方とはいえ、東の空には夜の気配が迫っていた。

 鳴り終わると義一は立ち上がり、伸びを一回したかと思えば、顔いっぱいに申し訳なさを出しながら

「ゴメンね、琴音ちゃん。今日は一方的にくだらない話を延々と聞かせちゃって」

「あ、いや、全然私は…」

と、まだ私は言い掛けてたけど、それを遮るように明るい調子で

「もうこんな時間になっちゃった。ここまで付き合ってくれてありがとう。こないだみたいに、家の近くまで送るよ」

「う、うん」


 私の家までの道、さっきとは違って義一は、今日私が持ってきた宿題や、学校のことなどの世間話を振ってきた。それでも私が浮かない顔をしてるのに気付いた義一は、顔を覗き込むように

「…琴音ちゃん、どうしたんだい?そんな浮かない顔をして?」

と聞いてきたので、私は少し気まずそうに答えた。

「いや、本当にそんなつもりじゃなかったのに…今思い出しても、悪口にしか思えないこと、義一さんに言っちゃったから…」

「もう、琴音ちゃんは…」

と義一は苦笑を漏らしながら私の背中をさすって

「感じやすいのも考えものだねぇ。僕の言えた義理はないかもしれないけれど。…あ、そう言えば」

と義一はポケットから何か取り出した。見るとそれは携帯電話だった。しかも、それは今は懐かしい、旧式の折りたたみ式だった。私がその携帯を見つめていると、義一はパカっと開けて

「今日みたいに突然だと、琴音ちゃんにちゃんと色々と準備出来ないまま、迎えることになるから…」

とまで言うと、義一は仰々しく、ダンスを誘うようにお辞儀をしながら

「私めに、連絡先を教えてくれないでしょうか?お嬢さん?」

と、いくら人通りがないとは言え、道の真ん中でそんなポーズをとったので、私はふふっと堪えきれずに吹き出してしまった。私も笑顔で、トートバッグからスマホを取り出すと、それを頭を下げている義一の顔あたりに近づけて言った。

「こちらこそ、喜んで」

「はぁ…有り難き幸せ、光栄の至りに存じます」

とここで胸に手を当てながら、義一が顔をあげたので、私と目があった。ちょっとの間が空いた後、二人して微笑みあったのだった。


「じゃあ、ここで良いから」

前に再会した時、送ってもらった信号の前で止まって、義一の方を向きながら言った。

「うん、じゃあまた、都合のいい日に遊びに来てね」

と言った後、少し意地悪な顔で

「だいたいいつも、”暇”してるから」

と言った。でももう、私の方も何も気にしなくなっていたので

「はいはい、私も暇を作って、遊びに行くわ」

と、軽く去なした。

「ははは、じゃあね」

「うん、じゃあね」

義一はあの時と同じように街灯の少ない路地に消えて行った。でも前と一つ違ったのは、曲がり角に入る前に、後ろを振り返り、私に手を振ってくれたことだった。

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