2012.10.31 銀河② 04
「正直、興味深いわね。その性格の根底にあるのは、いったいなんなの?」
「ベッドの上で紐解いたら、わかるかもしれないですよ?」
「セックスが根底にある、と。でも死んだら、セックスできなくなるってわかってる?」
「わかってますよ――
でも、あらためて考えたらやだな」
銀河の返答に呆れながら、龍浪は再び机の引き出しを漁る。
「どっかの走り屋よりも、生への執着が強いみたいで安心したわ」
「性への執着?」
「あった、あった。これね」
龍浪が机の引き出しから取り出したのは、デジカメだ。
「十年後もセックスをしたいんだったら、ちょっとだけ協力して。副作用が出てもどうにかしてあげるからさ」
「人探しでしたっけ?」
「そうよ。記憶力はいいみたいね」
画像確認をしながら、龍浪はこれじゃない、これじゃないと繰り返す。その間に、銀河と七海は龍波の横に移動する。横からカメラを覗いても、文句は言われなかった。
人のカメラに興味津々だ。
まだ見ぬ美少女、美人、美熟女の存在確認が画像となって証明される。次々と画像は流れていく。
チンコがはえている奴の写真が少ない。
マンコ、マンコ、銀河が姦通済のマンコ、マンコ、あ――朱美ちゃん。
叔母にあたる桐谷美玲似の美女。
抱きたいけど、無理な相手。
龍波がチラリと銀河の横顔を確認してきた。
どうやら、抱いた女の写真が出てきたよりも、動揺したらしい。実際問題、朱美が登場して以後、流れていく写真を見ても、チンコかマンコの単純な判断もできなくなっていた。
「いた。この子、この子」
「有くんじゃないですか。迷子って、またなんで」
女性陣に遅れて、銀河も写真を確認する。
男の子とギャルっぽい女性のツーショット写真だ。
「この人を探せばいいんですね」
「どっちを探すかわかってるんでしょうね?」
抱けるほうに決まってるだろうが。
銀河が思ったことを口にしなくても、名医なら何かを察する。
「お姉さんではなくて、弟を。男の子のほうを探してね」
「ちなみに、この子の病室ってどこですか? 予備知識のないおれだったら、なにか気づくことがあるかもしれないし、教えてもらえませんか?」
「結構、まともな考えもできるのね。いいわ、教えてあげる」
まともな考えと褒められて、銀河も納得する。
弟のベッドで、姉を抱くのも面白いと思ったので、病室をたずねるのは、実にまともだ。
「弁当食べ終わったら、私も行くから。見つけたら、病室に戻らせといて。223号室の大部屋よ」
言いながら、龍浪は弁当の蓋を開ける。
ゴミ袋代わりにしている袋には、弁当屋の店名が印刷されている。
あつもり食堂。
世界は狭い。
カレンが働いている店が出している弁当のようだ。
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