2012.10.31 銀河① 02
かつて銀河は九股をして、全員にふられたことがある。
過去の失敗を未来に活かすべく、自らにルールを課した。
火曜日はカレン(火憐)、金曜日は金本若菜。
つまり、それぞれの曜日に関係する名前を持つ女性と選んで付き合うようにしたのだ。曜日に関係のない名前で魅力的な女性とは、日曜日に遊ぶ都合をつけている。
「水曜日なんだから、ウェンディ先生とこにいくべきでしょ」
「ウェンディ先生は、日本人のただれた性に幻滅して帰国したよ。最後の言葉は『この浮気者を殺すため、日本と戦争だ』だったかな」
「あんたの下半身がだらしないせいで戦争勃発かい」
「すんませんね。下半身が正直すぎるせいで。でも、しょうがないでしょ。いろんな魅力がある女性をひとりに絞るのなんてnonsenseじゃん?」
「ナンセンスの発音をネイティブにしたら、同意すると思ったの」
「いえ、しないでしょうね」
「そこまでバカじゃないのも、またムカつくわね」
「褒め言葉と受け取っときますね」
「でも、珍しいわね。あんたのことだから、ウェンディ先生がいなくなっても、すぐ『水』に関係する新しい女の子をみつけてるもんだと思ったんだけど」
「いや、みつけてたんだけどね。水野っていう幸が薄そうな女性。その子に手を出したせいで、やばい感じになってんだよ」
「ほうほう」
「もしかしたら、来週の火曜日まで生き残れないかもしれない。だったらさ、最後の晩餐としてカレンさんの飯は食っておきたいって考えるじゃん。胃袋を掴まれてる男の悲しい性だね」
「それだったら、先に言えよ。フェラする必要なかったってことでしょ」
「ああ、ごめんごめん。やっぱりカレンさんは魅力的だからさ。つい、ねー」
「あれ? 生き残れないうんぬんってマジな話なんだ」
いつもと同じように会話してたつもりなのに、勘が鋭い。
カレンは、意外と修羅場をくぐっているのかもしれない。さすがは、傷だらけの笑顔を浮かべる女性だ。
「でも、あんたは月美さんにも手を出してるでしょ? それよりもやばい相手なの?」
「あれは、旦那にバレてませんからセーフっすよ」
近藤月美、月曜日の女。
カレンの最大の魅力が胃袋を満たしてくれることならば、月美の最大の魅力は武力だろう。
月美の旦那は、近藤旭日というヤクザだ。
極道の妻のケツ持ちを得てから、銀河はどんな立場の女にも手を出せるようになっていた。なのに、今回の水野を大事にしている男は、極道の肩書きを出しても動じない相手だった。
「カレンさんは、片岡潤之助って知ってますか?」
「なにそれ、食べれるの?」
「古典的なボケを」
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