十月下旬


神無月(10/24)


 林縁にて犬升麻(イヌショウマ)らしき白い花を発見。綿毛のような不思議な風情のある花。林床から一メートル以上もある長い花茎を伸ばして、鈴なりに花を咲かしている。葉は視認できず、帰ってから調べるとしっかりとした鋸歯のある、割合に大きな葉をつけるようである。升麻の仲間は根茎が生薬として利用される。解熱、解毒等、種々の薬効ありとのこと。


 木五倍子(キブシ)の苗を種から育てようと春頃から密かに画策している。散歩道の途中の水路に枝を差し掛けるようにして数株が群生しているのだが、木五倍子は雌雄異株。野生の葡萄のような房状の実を垂らすのは、その数株のうち雌株の一株のみ。更に人目を憚らず、水路にも転落せずに採集できそうな実は三粒ほど。熟しきると黒くなって中から無数の種が出てくるそうだが、ここのものはまだ青い。収穫までせめて一粒でも残ってくれれば、と思う。


 二十三日からは霜降。寒気すこぶる強し。桜は軒並み葉を散らした。秋は何処へ。

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四季折々備忘録 こげら @kogera

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