四月下旬


卯月(4/27)


 烏瓜の鉢から昨日今日と立て続けに芽が出た。一株目が出て以来とんと音沙汰なく、水の遣りすぎで駄目にしてしまったかとすっかり諦めていたので、腐らずに出てきてくれたと喜んでいたのだが、いざ双葉を広げると、どこからどう見ても朝顔の子葉である。いつかのこぼれ種がここのところの陽気で芽吹いたものだろう。これはこれで夏には涼し気な、風情のあるものだから、もう少し育ったところで別の鉢に移すか地植えにする。唯一芽を出した烏瓜は健やかに成長中。今は本葉の二枚目を開いたところ。しかしこれは本当に烏瓜の子なのだろうかと今更ながらに不安になる。相当早くに芽吹いたからもしかすると別の何かかもしれない。これもまたこれでよし。すっかり情が移っているのでたとえ違っても育ててしまおう。


 散歩中、林縁の暗い斜面に垣通かきどおしの花を見つける。色は薄紫、形状は同じシソ科の金瘡小草きらんそう錦衣にしきごろもに似ている。名の由来はそのまま、垣を突き通って勢力を広げることから。


 蜜柑の木がちらほらと白い蕾をつけている。一昨日、昨日とこの蜜柑の葉の裏に宿っていた蝸牛は、雨の匂いを感じ取ったか、朝には既に姿を消していた。果たして午後二時頃から本降りの雨になる。天気予報いらずだなあと感心する。

 縁先から身を乗り出して雨粒に触れると、少しく冷たい。今は穀雨という季節。


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