五月下旬


皐月(5/30)



 軽鴨かるがもが木陰に座って休んでいる。あんまりしげしげと見つめでもしない限り、近くを人が通っても微動だにしない。寧ろ人の方が遠慮して、軽鴨の休憩の邪魔をせぬよう道の端に避けて通る。暫くすると自分の柔らかい羽毛に顔を埋めて、昼寝をし始めた。

 木陰を作っている秋楡あきにれの木には、巣箱が懸かっていて、今は四十雀しじゅうからが営巣している。独り身の軽鴨とは違って、巣箱に近づかれるとすぐに『ジジジジッ』という警戒音を発する。


 建物の影に入ってしまうと、風が冷たく半袖では少し肌寒いのだが、木の陰に入ると丁度良い。鳥たちにはその塩梅がよく分かっているらしい。

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