三月下旬


弥生(3/22)


 墓参りに出掛けた。参拝者の疎らな墓地の、そこ此処に染井吉野の木が植わっている。まだ数輪しか花を付けていない株もあれば、もう三分ほど咲いている株もある。

桜の樹の下には死体が埋まっている、と言う。お墓なのだからそりゃそうだろうと思った。


 燕が高い空を飛んでいる。遠目ではっきりとは確認出来なかったが、ツバメと一回り小柄なイワツバメも混ざっていたと思う。一昨年の記録を見ると、両種ともこの時期に渡ってきている。


 雑木林の木々が、あっという間に薄白く、薄緑に色づいて、いよいよ春本番といった風情。スギ花粉の猛威も去り、川沿いを自転車で走ると小さな虫が顔にぶつかる。煩わしさも春と思えば。

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