四月初旬


卯月(4/4)


 花見行。どこを向いても花々が咲き誇っている。染井吉野は七分から九分咲き。河川敷は花見客でさんざめき、人も花も囀る鳥たちも、みな朗らかに春を寿ぐ。土手に上がると少し冷たい風が吹くが、歩いていれば、ぽかぽかと暖かい。


 谷向こうの雑木林が淡く萌えている。新緑の煌めくような緑、染井吉野の薄紅色、山桜の白。一年で一番、美しい季節。目にも賑やかな林の中では青啄木鳥あおげらがピョーッ、ピョーッと腹の底から鳴いている。


 果樹園の柿の木が小さくて柔らかな新芽を付けている。枝のそこ此処にはまだ昨秋の実のヘタが残っている。あれは次の秋まで残るのだろうか。それともそのうち風で落ちてしまうのだろうか。


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