三月中旬


弥生(3/19)


 早朝、微睡んでいると春告鳥の異名通り、うぐいすが囀っていた。冬の厚手の布団は、明け方にはもういらない。


 花壇に、淡く蒼白い花韮はなにらの花が咲いている。花韮は球根性の帰化種である。淑やかで綺麗な花を咲かせるが、間近で見てみると確かに異国風の趣がある。韮というだけあって葉や茎を千切って嗅ぐと、野菜炒めにしたら大変美味そうなにおいがする。この時期から初夏にかけて、葉をぼーぼーと茂らせる。


 金木犀が薄紅色の新芽を吹いている。暫く前に刈り込んだ傷を癒すように、続々と続々と吹く。凄まじい生命力。雑木林の木々の梢もうっすらと赤茶色に。真冬の寒々とした寂しさはもうない。


 尉鶲じょうびたきが落葉した柿の木の枝を渡っている。尾羽をひょこひょこと上下させているのが相変わらず可愛い。もうじきに彼らも繁殖地へ帰って行くだろう。


 季節の変わり目は鳥たちが入れ替わる時期でもある。そう言えば今年はつぐみを見なかった。来年はうちの庭にも来てくれるだろうか。


※3/21追記

ソメイヨシノ、開花宣言、東京、横浜、福岡

 

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