第20話


 唇と舌と歯を使って彼を愛撫しました。


 めらめらと燃えるような樹液の流れる音が彼の中から聞こえてきました。


 私の躰に熱い体液が駆け巡り両足の間からその雫が滴り落ちました。


 準備はできました。


 私は私の下腹に熱く当たっている彼の突起。


 幹からにょっきりと生えたそそり勃つそれにまたがり、静かに腰を沈めていきました。


 躰の中心を稲妻で貫かれたような快感が走ります。


 堪えきれずに大きな声が出ました。


 私の中で彼が膨らみますます大きくなっていくのが分かります。


 彼の温度が全てそこに集まったかのようにその突起は熱を持ち私の愛液と混ざってとろけるようでした。


 私は無我夢中で腰を動かしました。


 彼もそれに応えるように私の中をかき混ぜます。


 私は何度も絶頂に達しました。


 最後に彼が私の中に熱い樹液を放出した時、東の空がほのかに白んできていました。





 それから私と彼の儀式は毎晩のように行われました。


 次第に夜と昼と問わず、私たちは愛し合うようになりました。


 私はまた1日中裸で過ごすようになりました。


 これ以上ないほど私は幸せでした。


 彼も同じだと言ってくれました。





 あの日が来るまでは。




 あの日私は私の躰に重くまとわりつくような眠りをまどろんでいました。


 前日に彼と激しく長く愛し合いひどく消耗していました。


 最初その音は遠くの夢の中から聞こえてくるのだと思いました。


 耳障りな金属音で、私はその音を振り払おうとしましたが、それは消えるばかりかますます大きくなって私の鼓膜を刺激しました。


 とても嫌な音でした。


 まるでノコギリで手足を切り落とされているような痛い音でした。


 ギュンと一段高い音が響いて、眠りから目覚めると、その音が外からしていることに気づきました。


 それは直感とでもいうのでしょうか。


 私は外に走り出ました。

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