9th

久し振りに発作起こしちゃったな。

「摂津ちゃんごめん、ごめん、ごめんなさい」

震えた声で神崎は謝り続ける。

「あっちょっと!泣かないでよ。別にもう気にしてないから!」

私の胸にすがりつくように神崎はしがみつき『ごめんなさい』を繰り返している。

ポロポロ涙を流しながら『ごめんなさい』を繰り返している。

「摂津ちゃん、なんでもするから許して」

「もう許してるよ」

「なんでもするから嫌わないで!」

「この程度で嫌いになったりしないよ」

神崎は質問を変える。

その姿は幼子のよう。

「本当に?」

「本当だよ」

「本当に?本当?」

「本当だよ」

ホッと安心したような顔をする神崎。

嫌いになれるわけないのにね────なんて口に出して言えるわけがない。

泣き腫した目元とl寝不足で隈が深い目元のせいで酷い神崎の顔。

「布団、客間に用意するから寝なよ」

「うん」

神崎は首を縦に振り頷く。

押し入れから布団を引っ張り出して布団を敷く。

「はいどうぞ」

「摂津ちゃん………おやすみ…………」

彼は客間の布団に沈み込む。

「おやすみ神崎よい夢を」

神崎の頭を撫でる。

さらさらで手触りがいい。


……………

…………………

………………………完全に寝てるな


「Ah, don't stop to love me.」

私を愛するために立ち止まらないで欲しいけど私を愛し続けて欲しい。

──────そんな優柔不断な私の想い。

「It keeps existing in my mind」

いつまでもあなたは私の心の中に。

日本語言わないのは神崎が英語が苦手だから私が今言った意味を例え聞かれてたとしても分からないだろうから。

「──おやすみ」

こんなこと寝ている神崎に言っても意味ないのにね。

神崎のもとを立ち去る。

ちょうどお風呂上がって歯を磨いている香織がいた。

「かにゃうねえ、おやひゅみなしゃいまふぇ」

「歯磨き終わってから言え!!何言ってるか分からねえよ!!」

ちょっと何が言いたいかお姉ちゃん分かりません


「私風呂行ってくるからおやすみ~」

風呂場の方に寝間着を持って向かう。

お風呂のお湯に浸かりながら独り言を呟く。

「言えるわけないんだよな~直接好きだなんて………」

言ってしまえば彼は一生成長しないだろうし、一生私に依存して甘えるだろうから。

「でもいつか言えたらいいな」

好きだって、付き合って下さいって、言えたらいいな。

ふと、顔を上げお風呂に付属されいる鏡に映る私の表情は明るいものではない。


鏡に宣誓するように真剣な表情を作る。

諦めずに彼が気づくまで叫び続けよう前に進め、摂津叶を追い掛けるな、と。

「頭と顔を洗って寝よう」

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