5th
三時間目が終わるチャイムが鳴る。
よし!───────教室を出て全力で屋上に向かって走る。
アニメや漫画やドラマみたいに屋上の鍵なんて開いているわけがないが屋上の鍵を複製したやつなら持っている。
もちろん複製したのは私じゃない。
じゃあ誰かって言われれば──────
屋上の鍵を開けて施錠してから
「雨海~久し振り~」
手を振って声を掛ける。
「摂津先輩……アンタ俺に会いに来るのよく飽きませんね」
呆れた声。
先輩に対して酷い態度だな。
「先輩に対して失礼な態度だな」
「────茶番は置いておいて摂津先輩がここに来たってことは何かありましか?」
コイツはなんでもお見通しか
「ちょっとね」
「聞きますよ」
「徹と転校生の神崎のことなんだけど──────」
徹に対して感じた謎の警戒心、不信感のことは伏せ今日の出来事をありのまま話す。
「あぁなるほど面倒ですね」
雨海は自分には関係なさそうに言う。
「他人事なんだろうけど少しは親身になってくれよ………」
「他人事ですから」
この後輩は何がしたいんだろう?
私を弄って楽しんでいるのだろうか?
「摂津先輩はもう少し人に対して怒ったりすることを学んだ方がいいですよ。今もわざと自分から訊いておいて他人事のように返すのにだって怒りもしない。一言注意したりもしない。言うべきことは言うべきですよ」
どうやら彼なりの励ましのようらしい。
「摂津先輩は美人だから怒ると迫力ありますよ?」
この一言がなければ完璧だったよ………………
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