2nd

「摂津ちゃん、大分見てない間に可愛くなったね」

「大分って………たった一週間じゃん」

「胸も更にデカ────」

「それ以上言ったら鳩尾に拳を叩き込むよ?」

「摂津ちゃんコワーイ」

「それと………………………離れろ!」

今現在私は神崎に私の右腕に抱きつくようにして密着している。

暑苦しいから離れろよ。

「嫌だ」

ハッキリと拒絶された。

「だって首の引っ掻き傷が増えちゃうかもしれないじゃん」

「!!?」

「自分でやったんだよね?見ればわかるよ。僕の手首と違って目立つし────何より摂津ちゃんは女子だしね。摂津ちゃんが傷つくのは嫌だな」

少しドスの効いた声。

「痒くて掻きすぎたんだよ───だから心配しないで」

「嘘だよ!────摂津ちゃんは嘘下手だから直ぐ分かるよ。どうして嘘つくの?」

「……………もう引っ掻いたりしないから離れてよ」

尋問されているような感覚から解放されたくて口から自然とその言葉を言う。

「約束してね?」

疑問系の体で言うが口調が命令形だ。

「約束するよ」

「約束だよ摂津ちゃん──────後もう僕に嘘つかないでね」

「うん善処するよ」

「摂津ちゃんのそうやって断言しないであくまでも努力するっていうところ好きだよ。下手に断言したり自信に溢れてる奴より信用できるから」

全然離れてくれない。むしろさらに密着されている気がする。

「闇の深い男」

「そんな男に摂津ちゃんは好かれてるんだよ」

「初めて会った時は、もっと闇が深そうなオーラを身に纏っていたよな」

「うんそうだね。あっもう学校着いたよ」

「ん?話してると時間がたつのが速いね。まだ学校まで距離があると思ってたんだけど………」

私から神崎が離れる。

「僕、職員室行くから」

「じゃっお別れね」

「帰りも一緒に帰ろうね」

「べたべた密着しないならね」

「帰りは密着しないよ────何もなければね」

「神崎の言い方が一々意味深なんだよ」

「言葉通りなんだけどね─────じゃあね」

神崎は手を軽く振って昇降口に向かって走る。



一体何がしたかったんだ?

…………………教室に行こう。

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