3rd
教室に着いた後に盛大に溜め息を吐いた。
「叶さん、どうかしましたか?」
「……っ!!」
徹に声を掛けられただけなのに背筋がゾワッとした。
「叶さん?」
「あぁうんちょっとね」
「そうですか」
なんだ?───今徹に抱いたこの不信感。
警戒しろと脳が叫んでいる。
「叶さん───首の傷なんですけど、大丈夫ですか?どうしたんですか?」
「引っ掻いたちゃってね」
「そうですか、気を付けて下さいね」
なんで徹と会話するだけなのに─────こんなに心臓の鼓動が嫌な意味で速くなるんだよ!!
冷や汗が額から頬へと伝う。
「席に着け。今日は転校生は紹介する」
と、先生の声。
クラス全体がざわざわとする。
「入れー」
入ってきたのは予想通り
「転校生の神崎勇気です。よろしくお願いしまーす」
神崎勇気だった。
「えーと席は~摂津の隣が空いてるな」
「摂津ちゃんよろしく~」
「よろしく」
そういえばなんでコイツ転校してきたんだ?
視線を感じ神崎から右隣の徹に視線を移すと
「ひっ!?」
思わず小さな悲鳴を上げる。
何故なら徹が神崎を睨み付けるような殺意に満ちた眼差しを向けていたから。
「出席とるぞー」
という先生の言葉も頭に入らなかった。
ただただ大人しく彼に畏怖に念を抱いた。
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