9th

二時間目が終わるチャイムが鳴る。

次は体育だな。最悪だ。

あれ?

「体操着がない。持ってきてるはずなのにおかしいな───でも無いものは仕方ない。次の時間体育なくて今日体育あるのは─────かおるだけだな。薫の身長は私より少し小さいしサイズは問題ないから薫の借りよう」

薫。フルネーム汐音しおね薫。男にしては低い身長がコンプレックスで女子にマスコットみたいに可愛がられはするが恋愛対象として見てもらえないことに悩んでいたりもする。見た目が女子より可愛いし仕方ないね。


今いる二年四組の教室から一組の教室に向かう。

「薫、体操着貸して」

「別にいいけど次の時間俺体育だからそれまでに返せよ?」

「わかった、薫ありがとー!」

「ほい」

薫が体操着をこっちに投げるのでキャッチする。

「サイズ私と一緒」

「体格はコンプレックスなんだから言わないで」

「あっゴメン」

しょんぼりと薫は落ち込んでしまった。女子の私より可愛らしい動作だ。

「体操着のお礼もかねて今度ジュース一つ奢るから許して」

「葡萄ジュース買ってきてね」

「明日持ってくるよ」


やべぇ、もうすぐ休み時間終わる!!

急いで更衣室で着替えて体育館に向かって走った。


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