8th
結局眠れなくて朝まで自問自答。
その日は六時にベットから起き上がった。
熱は下がりすっかり元気になった私は制服に袖を通す。
叔父さんが本気で五月に雪が降るかもしれないと言い出したので頭に軽くチョップしてやった。
「あーそうそう叶ちゃん。
朝食を食べてると叔父は唐突にそう言う。
「また香織のお母さん遅くなるの?」
「そうみたい」
「ふーん───────叔父さん、今日晩御飯私が作るからオムライスの材料買ってきてくれない?香織はオムライス好きでしょ」
「叶ちゃんは本当に香織ちゃんのことを妹みたいに思ってるんだねぇ」
「違う!!みたいにじゃなくて妹だと思ってんの!!」
「はいはい」
適当にあしらわないで!!私は香織のこと
叔父さんは何時ものことのように(実際何時ものことだけど)高いスルースキルを発動する。
さすがルポライター。慣れている。
「でもそっか……春奈ちゃんが行方不明になってもう二年か……」
「……………春奈がいなくなる前に頼まれたんだから香織の面倒は私は責任持って見るって決めたのよ。約束したんだし」
ずっと前に。
「オムライスの材料、叔父さん今日遅くなるからお金置いておくから自分で買ってきてね」
話題を反らし叔父さんはそう言って仕事の支度をする。
「了解」
いってきますと言って叔父さんは机にお金を置いて家を出る────が直ぐに玄関の扉を開け大きめの声であることを教えてくれた。
「叶ちゃーん!自転車パンクしてるよー!」
「はぁぁ!!徒歩だとあと十分で家でないと学校間に合わないじゃん!!」
「じゃあ今度こそいってくるねー」
「あぁ………くそぉ。なんでパンクしてんだよぉぉ」
一瞬このままショックのあまり頭が真っ白になったけど持ち直し大急ぎで支度する。
全速力で学校に(走ると事故に遭うかもしれないので)早歩きで向かう。
本当にギリギリだが学校に間に合った。
「若干息が上がってますけど普段よりギリギリの登校ですし、どうしました?」
徹が声を掛けてくる。
「自転車がパンクしてやがった」
「あの自転車、パンクしないことで有名な商品ですよ。変ですね……」
「そーなんだよね。パンクしたタイヤなんだけどハッキリ見てないからなんともいえんけど破片が刺さったとかそんな感じなんだよね」
「破片……」
「どっかで刺さったなら私が気付かないのはずないんだけどな」
「そうですよね。後できちんと見てみましょうか」
「そうね」
席つけーと先生の声がしたので私と徹は話すのを止める。
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