モノクロのっぽの柱時計

一瞬小説・超短編小説家なみのり

第1話

昔から使っていた壁掛け時計が壊れたので、私は街でモノクロ白黒の柱時計を買い込んだ。

柱時計と言ってもニセモノで、ガタイがいいだけで中身は普通の電波時計だ。

それに、モノクロの白と言うよりは薄い灰色なのだけど、私的にはそれがまた白すぎなくていいと思う。



トラックで送ってもらって私はそれを部屋に飾ると、なかなかヘンテコな物が多いわたしの部屋とあっていて、私は素直に自分のヘンテコセンスを褒めた。


と、その時。モノクロ時計から音が聞こえた。ボーン…ボーン…という、本物の柱時計の時報のような荘厳な音だ。

そして、私の部屋から色がさーー…と消えていく。柱時計からモノクロの色が伸びて色を消していったのだ。

そして私の部屋は、すっかりモノクロになっていた。



私が調べたところ、部屋がモノクロになるのは午後9時から午後10時の間のようだ。10時になると色が戻ってくる。

まるで白黒映画に放られたような気分だ。自分の体も、食べ物もなんでもモノクロになる。

どういう原理かは分からないけど、モノクロの世界も楽しいので、私は放っておいている。


私はモノクロ世界の窓から外を眺める。綺麗な白の星が輝く、黒の空だった。

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モノクロのっぽの柱時計 一瞬小説・超短編小説家なみのり @namiutinaminori

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