第4話

 神奈川第三グランドで僕達は野球を練習している。神奈川県で毎年甲子園にいく常連校、西海大学付属湘南高校で!


 天才はいつか凡人になるそのレールを僕は突き進んでいた。


 中学の途中で男子との体力差が出てきた。守備力はあがっても筋力はどれだけ頑張ったとして男子選手より成長しない。女性にしては異常なくらい恵まれてはいるが、同世代のトップ選手から見ればただの野球の上手い女の子。


 野球を早く諦めてなにがしかの道を選べば世界選手になれるのは頭では理解できた。しかし、プロ野球選手になりたいという楔が僕を高校生になるまで縛り続けた。


 名門西海大学付属湘南高校も推薦入学ではなく一般入学で入った口だ。


 在籍人数128名。全国から集められたトップ選手がこの高校に集まってくる。一軍と二軍は高校敷地内の室内練習場つき第一野球場で練習、三軍はその横にある第二球場で練習。四軍は、神奈川第三グランドという高校から数キロ離れた河川敷球場で練習。河川敷球場といっても高校専用の野球グランドだから公立高校から見れば夢のような待遇。しかし、一軍達がやっているグランドからみれば最カーストの条件。


 四軍に入っているからといって物語のように、一軍部員から嘲笑されることはかなり少ない。不満といえば長女が次女にお古の野球道具をあげるという不満だけ。


 だから新品の野球道具は四軍で使われることはなく、他校との練習試合をするとき新しい硬球が数個あてがわれるぐらいだ。


 四軍になると上にあがれることはほぼ無い。四軍の存在価値は弱い高校との練習試合をすること。有名校なので練習試合を申し込まれることはかなり多い、しかし、地元の低レベルとの練習試合に時間を割いても割に合わない、そこで四軍にその役割が回ってくる。いかに最カーストの地位にいても、怪我崩れの選手や僕みたいにある程度野球の上手い選手が数十人いて、専用グランドまで持っているチームが負けることは少ない。


 最初は馬鹿にされていると闘志をむき出しにかかってくるが第三グランドを去る頃には満足して帰って行く。


 四軍の選手も大好きな野球が出来てそれなりの野球道を楽しんでいる。


 ただその中で僕だけが腐っている。

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