第3話

 俺は二年以上暖めてきた人生設計を変えざる終えなかった。それなのにプロ野球選手という夢を捨てることは出来ずにずるずると天才野球少女という間違った道を突き進んだ。


「誠選手、第32回全国小学生硬式野球5連覇お目出とうございます!」


 アナウンサーがマイク片手に笑顔を向ける。


 防御率0.98打率7割という怪物が育っている。これで無理をしているのではない準備運動なのだ。高校野球で燃え尽きてしまう天才球児を星のように見てきた俺に空きはない。


 俺を褒め称えるインタビューは続く


「誠君は本当に天才野球選手ですね、いつかプロ野球史上初めての女性選手になるかもしれませんね!」


 小学校を卒業するまでは日本初の女子プロ野球選手の道が見えていた。学生生活はクラスでカースト上位 。友チョコ本命チョコ獲得率NO1……コクられれば


「野球しか考えられないの友人としてこれからもお願いします」


 顔面偏差値が75以上の日本で撃墜率トップランカーであった。


 女性の陰険ないじめ!? 社会生活を一度送った俺にはそれって美味しいの? 俺の人生は成功というレールの上を――


 性別の違いは年齢を重ねるごとに、俺に厳しい条件を突きつけてきた。選手仲間の第二次成長期を見ながら、練習では追いつかない自分の身体を呪った。


――高校入試前に俺はただの女の子ボクにしか過ぎなかった……。

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