第3話


《ほぅ、そんな武器で俺に勝てるとでも 》


「まぁ、自分では勝てるかわからないけどね」


双方、準備をする。ほかの竜族もまだかまだかと首を長くして見ている。


《よし、それではこれから、模擬戦を始める。ルールは、相手を気絶させるか、降参させるくらいの度合いでやり合うことだ。それでは、両者名を名乗れ。そして、この試合の仲介人を務めるのはわし、ガルムだ。この試合は、すべての竜族が観戦しているので両者、気を引き締めておこなえ》


と、威厳のあるガルムさんの声が響く。


《俺の名は、トラスト。五色天竜の一角を務めている。》


五色天竜と名乗った刹那、会場がどよめいた。そんなに凄いやつなのか。


「僕の名はコハク。見た目の通り、黒髪黒目であるため、人族からは嫌われている。まぁ生い立ちについては後で説明します」


んまぁーこんな所でいいだろう。


《両者、準備が出来たようだな。それでは、始めっ!》


その刹那、僕は地面を蹴っていた。一直線にトラストへ向かっていく。だが


《ちっ、ちっさいくせによくやるもんだ。ほんとに》


連撃を加えていくが、防がれてしまう。


《終わりか?なら俺から行くぞ》


あちらから来るようだ。僕は筋力的にもトラストには敵わない。なので、身体強化をバリバリ行い、迎撃体制を整える。


相手の武器は長剣だ。ある程度オードソックスではあるが、竜族が使うのだ。そこらの兵士と戦う感覚でやれば一撃で沈められるだろう。


「ほぅ、やるね。でも」


動きに少しのすきが出た。そこに合わせ、手の平を身体につける。その瞬間、トラストの身体が吹き飛んだ。


みんなが呆気に取られている。そして、トラスト本人は目を回して壁に叩きつけられている。


「あれ、終わりましたよね?.......」


《うむ、素晴らしかった。てなわけで、勝者コハク!》


その声で今まで硬直していた竜族みんなが歓声を上げた。



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