第61話『人形の安息の地から……白い人形のウルズは、女神の知恵と共に動き出す。』
ここは、霧の世界フォールにある人形の安息の地。若葉色に光る透明な根が巻きつく白亜の城……大樹の城の廊下を走る、白い人形がいた。
私は、白い人形のウルズ。銀色の髪に白い手足。魂を惑わす紫の瞳……七つの大罪の一つ、傲慢を保持している。
私は……白い瞳のルーンの体を奪ってから変だ。
傲慢の魔女から、別のものになってしまった。聖神フィリスの白き太陽から、自分を犠牲にして、地獄に落ちた獣人の星を助けてしまった。
自分を犠牲にするなんて……傲慢の保持者にふさわしくない。極界魔術―傲慢の烙印も、上手く効果を発揮できるか分からなくなってきた。
私から遠く離れた場所では、効果を失っているだろう。
地獄に落ちた獣人の星に取り残された、金色の髪と青い瞳の少女のことが心配になった。元徳の節制の保持者―フェル・リィリアのことが……。《たぶん、獣人の星では……傲慢の烙印は効果を失ってる。赤い眼の地獄の悪魔バグが動き出して……テラの大樹が、フェルの傍にいてくれているはずだから、大丈夫だと思うけど……。》
私は、大樹の城の廊下を走っている。
私の意思を無視して……私の霧の体が、勝手に動いている。《今は、フェルの心配している暇はない。霧の体が勝手に動いているし……。》
今、私は白い人形ルーンの体の中にいない。
白い人形ルーンの体は、獣人の星に置いてきた。霧の体……女神の影アシエルの様に、白い霧が、私を形作っている。
再生の聖痕である白い瞳のルーンに、聖神フィリスの炎による火傷を治してもらった。《再生の聖痕……とてもすごい力だけど、母の呪いであることは変わらない。死ぬことができない聖痕は欲しくない……魂に刻まれたノルンが、かわいそう。》
さっきも言ったけど、私の霧の体が、勝手に動いている。
誰かが、勝手に動かしている……私の霧の体を操っている者は、優しい? 私の気持ちを尊重してくれる時もある。
私が振り返りたいと思うと……私の霧の体が背後を見た。
優しい母と目が合った。白い霧の中に母がいて、私に微笑んでいる。
正気を失った悪魔の女神……でも、この母は優しい。女神の影アシエルの様に怖くない。優しい母は女神の記憶として、大樹の城の中庭に留まっていた。
白い霧の中で、優しい母が私を操っている。
背後から優しく抱きしめられているので、嫌な感じはしなかったけど……自分の霧の体を動かせないのは辛い。
白い人形のウルズは、この問いだと……母に質問しても答えてくれない気がしたので、白い霧に聞いてみた。《白い霧……お母さん、なんで私を操っているの?》
白い霧は、この問いには答えてくれた。『青のお嬢様ノルンと……正気を失った悪魔の女神が、人形の安息の地に接近……白い人形のウルズ、青のお嬢様ノルンから逃げる。』
白い人形のウルズは、疑問に思った。《白い霧……正気を失った女神から逃げるのは分かるけど……青のお嬢様? なんで、ノルンから逃げるの?》
白い霧は、その問いには答えなかった。『その問いに答えられない……悪魔の女神が拒否している。』
《そう……ここまできて、まだ何か隠してる。
お母さんは、隠し事が好きだね~。》
私は、悪魔の女神について考えてみた。《今……私を操っている母は、偽者? 白い瞳のルーンは、女神の極界魔術―再生の聖痕であり……女神の分体。
私の後ろにいる優しい母は、女神の記憶で……自分の体がないから、分体でもないし……でも、霧の中に確かに存在している。霧の影アシエルの様に……何かが、母の記憶を確かなものにしている。
女神の影ってなに? 母の力で存在していたのは確か……精霊魔術かなって思っていたけど……女神の影が、母の極界魔術なら?
私を操る優しい母は、ノルンの願い? ルーンの聖痕?……ノルンとルーンの夢が、女神の記憶に影響を与えているけど……これは、女神の影アシエルと同じ状態だと思う。今、私を操っている優しい母も……極界魔術?
騎士神オーファンも、霧の体を得て、役目を果たすことができている……どうして? 白い霧が、女神の影アシエルと騎士神オーファンの存在を覚えているから?》
白い人形のウルズは気がついた。
白い霧は、悪魔の女神が創った。やっぱり、女神が全てを形作っていると……。《女神の影アシエルは、母の力のお陰で存在していた……騎士神オーファンの霧の体も……今の私の霧の体も、霧が形作るものは全て、母の力のお陰。
人形の幽体離脱も……白い人形のノルンとルーンが、人形の体から離れて、魂だけで……霧の体を得て動けていたのも、全部、母の力のお陰。》
白い人形のウルズは思い切って、自分を操る優しい母にも聞いてみた。
《お母さんは全部、計算して……。
どこまで、計画したの?
今のお母さんは、悪魔の女神の分体じゃないよね?
たぶん、極界魔術かな……。
極界魔術なら、いったいいつ、魔術を行使したの?
白亜の城の中庭に留まっていたから……。
やっぱり、ノルンを転移させた時に?》
白い霧の中で、優しい女神は答えてくれた。
女神の影アシエルの様な怖い母ではない。同じ姿をしているけど、正気を失った悪魔の女神とも違う。優しい母は質問したら、優しく受け答えしてくれる。答えたくないことはあるみたいだけど……。
優しい母は、困っていたら手を差し伸べてくれた。
『ウルズ、悪魔の女神は……。
ずっと前に、極界魔術を行使したよ。
霧の元徳の知恵を手にした時に……。
私は、極界魔術―知恵の聖痕。
女神の影アシエルと同じ……。
知恵の聖痕によって、霧の中に存在できている。
だから、私も女神の影かな……。
ウルズ、ごめんね。女神の影アシエルに、
操られていたでしょう?
知恵の聖痕は、うまく効果を発揮していなかった。
女神の影アシエルは、女神の願いではなく、
自分の願いを叶えようとしたから……。
時を支配しようとして、アシエルは暴走してしまった。
ウルズ、私は違うよ。私はウルズを操っているけど……。
私は、悪魔の女神の願いだけを叶える。
それが知恵の聖痕によって……。
白い霧で形作られている、私の役目だから。』
《……ねえ、お母さん、優しいお母さんのこと、
なんて呼んだらいい?》
『?……好きに呼んでいいよ。
女神の影でも……知恵の聖痕でも。』
《好きに呼んでいい……そう、分かった。
じゃあ、優しいお母さんは、
知恵のノルフェちゃんで決定~。
だって、優しいお母さんは、
悪魔の女神の願いだけを叶えるんだよね?
娘を守ってくれる、優しいお母さんは、
時の女神の名前で呼ばないと……。》
『ウルズ……ちゃん付けはやめてね。』
悪魔の女神が近づいてきている。
正気を失った悪魔の女神は眠りから覚めて……異界にある緑豊かな星ラスに辿り着いた。愛しいノルンを捜して……。
知恵の聖痕―女神の影ノルフェは、白い人形のウルズを操って……悪魔の女神の強い願いを聞く。悪魔の女神の叫びを……。
悪魔の女神は、正気を失う前から願っていた。愛しいノルンを助ける為に、女神は時を奪った。終焉のsevendaysの4日目に……。
悪魔の女神の声が聞こえてくる。
『私は狂ってしまった。
誰か、私の娘を助けて。
あの子がいなくなったら、
私は世界を壊してしまう。
誰か、あの子を守って。
あの子の中にいる……もう一人の私から。』
知恵の聖痕―女神の影ノルフェは、この願いを受け取った。女神の強い思いが、女神の影を動かす。
『青のお嬢様ノルンを助けて……。
もう一人の私、白い瞳のルーンから。』
女神の影ノルフェは女神の願いを叶えようとする。白い人形のノルンとルーンの同化が進行している。
※テラの大樹、テラ・システム。
希望の聖痕(90) → ノルンの希望(50)、↓減少。
強欲の烙印(10) → ルーンの強欲(50)、↑増加。
このままだと、白い瞳のルーンが、全部食べてしまう。
そんな悲しいこと、絶対にだめ……あの子たちが、自ら消えることもだめ。女神の影ノルフェは強く思った。『あの子たちに道を示そう……私は悪魔の女神の願いを叶える。どんな手を使っても……ウルズ、ごめんね。』
人がいない緑豊かな星ラスに……異界にあるこの星に、美しい女神が降臨した。銀色の長い髪に、全てが凍える白い瞳。美しい女神は、白い霧の中を歩いている。
彼女は悪魔の女神。
正気を失った、霧の世界フォールの創造主。
『ノルン…………。』
美しい女神は、自分の娘を捜している。この星で、ノルンの時の魔術が行使されていて……この星で、娘の気配がする。
悪魔の女神は、白い霧の中を彷徨い、娘を捜し続けていた。
美しい女神は立ち止まる。
霧の中に、誰かがいた。銀色の髪に白い手足……霧の人形の様な姿をしているけど、女神の娘ではない。
この少年は、女神が最も殺したいものだった。女神が地獄に落としたのに……また、目の前に現れた。この少年は、堕落神―聖神フィリス。
正気を失った悪魔の女神は、聖神フィリスの嘘を信じている。彼が全ての元凶だと……フィリスは、悪魔の女神に敬意を表して頭を下げた。
彼はもう、何も話さない。
まだ否定されないのなら、役目を果たさないといけない……フィリスは思った。《僕の存在が否定されないのなら、最後まで役目を果たす。そのあとは……全て、ノルフェスティ様のご意思に従うのみ。》
『フィリス……………。
あの子は……………どこ?』
悪魔の女神の問いに、フィリスは答えない。彼は頭を下げて、目を瞑っている……女神が裁きを下すのを待ち続けている。
悪魔の女神は歩き始めた。
フィリスを見ていない……女神は彼を無視した。彼の横を通り過ぎて、愛しいノルンを捜し続けている。娘への強い思いが、女神を突き動かした。
フィリスは頭を上げない。上げられなかった。女神の変わり果てた姿を見ることができなかったから……彼は自分の非力さを痛感して、涙が止まらない。
《驚きです。まだ、悲しむことはできるんですね。
僕はまだ消えない……。
ノルフェスティ様、僕は役目を果たします。
どうか、最後は……悔いのない様に……。
僕の全てを消して下さい。
ノルフェスティ様、またお会いしましょう。》
白い霧が、悪魔の女神と聖神フィリスを包み込んでいく。
悪魔の女神は、元徳の知恵を保有している。白い霧の中で、元徳の知恵が形あるものに変わっている。
知恵の聖痕―女神の影ノルフェ。
知恵の聖痕―女神の影アシエルは、白い人形のノルンが倒してしまった。ノルンの時の魔術―再生の時に否定されて、女神の影アシエルは殆ど力を失い……赤き魔女アメリアに憑依して、何とか生き残っている。
でも、傲慢の魔女ウルズに、
女神の影アシエルは、霧の人形の中に封印された。
悪魔の女神は手を打っている。裏切ったアシエルとは別に……別の女神の影を用意していた。ノルンとルーンの夢の中に、人形の安息の地に……。
白い人形のノルンを転移させた時、悪魔の女神は祈った。『どうか苦しみを乗り越えて幸せを掴んで欲しい。深い眠りに落ちる時まで……貴方を見守っているから。』
女神の祈りは……願いは、白い霧が叶えようとする。極界魔術という力で……白い人形のノルンを、霧の城の中庭から転移させた。
これは覚えやすくする為……ノルンが大好きな霧の城なら、どんな困難なことがあっても、忘れずに覚えていてくれる。
青のお嬢様、幼いノルンにとって、霧の城が自分の生活の全てだった。ノルンが最も好きな場所、母親に会える場所だったから……知恵の聖痕―女神の影ノルフェは、女神の記憶として存在していた。
人形の安息の地にある大樹の城……その中庭で、女神の娘の帰りを待っていた。ノルンの優しい母として……。
転移魔術―異界の門。銀色の輪が、白い人形の上に浮かんで、ゆっくり回転している。白い人形は魂を惑わす紫の瞳で、異界の門を見つめていた。
ここは、人形の安息の地……大樹の城の中庭。
私は、白い人形のウルズ。優しい母―知恵の聖痕と一緒に、大樹の城の中庭にきた。この中庭で待っている。あの子が帰ってくるのを……。
ウルズは疑問に思った。《あの子が帰ってくる? ノルンのことだよね? 白い人形のノルンなら、この中庭で会ったのに……お母さん、まだ何かあるの?》
白い人形のウルズが考えていると、誰かの声が聞こえた。
ウルズは考えていただけで、自分の思いを声に出していなかったのに……青い瞳の少女は、ウルズの疑問に答えながら、白い人形にゆっくり近づいてくる。
《お姉ちゃん……最初からだよ。
私とお母さんが、天国にいた時から。
天の創造主と悪魔の女神は争っている。
その争いを起こしたのは、私だけど……。
ウルズお姉ちゃん、私は約束を破る悪い子なんだよ。
だから、お母さんは、あの子を創った。
私が消えてもいい様に……。》
《ノルン?……デュレス君との決闘は終わったの?》
白い手足に銀色の髪。海の様に透き通る青い瞳をもつ妹のノルンが、ゆっくり近づいてくる。白い人形のウルズは思った。《?……やっぱり、ノルンだよね? ノルン昔のことを、どうして知っているの?……それに精霊魔術で、私の魂を見て……私の考えを読んでいる。》
《ノルン……精霊魔術?
上手く行使できる様になったのね。急に……。》
《お姉ちゃん、不思議?
私、なんでもできる様になったよ。
本当に思いのまま……。
でもね、お母さんだけは……。
お母さんだけは、私を許してくれない。》
白い人形のウルズの目の前にいる、青い瞳のノルンは、青い水晶をはめ込んだプラチナ製のネックレスや腕輪を身に着けている。
プラチナ製のジュエリーやゆったりとした長袖シャツとスカートには、母親の神聖文字が刻まれていた。
《?……ノルン、なにを言っているの?
それに、そのジュエリー、どこで見つけたの?
お母さんの神聖文字が刻まれて―。》
《ウルズお姉ちゃん、
お母さん……どこに隠したの?
白亜の城の中庭で待っていてくれたのに……。
お母さん、いないね。
ねえ、お姉ちゃん……どうして、
お姉ちゃんが、知恵の聖痕をもってるの?
知恵の聖痕は、お母さんのだよ?
ウルズお姉ちゃんが奪ったの?
そうか、そうなんだ……ウルズお姉ちゃんが、
優しいお母さんを、独り占めしてるんだ。
ウルズお姉ちゃんは、傲慢の魔女だもんね。
あっ、狂信者と決闘してた時、傲慢の烙印が、
狂信者を助けてた。
負けて欲しかった? 私が負けたら、
優しいお母さんを独り占めできるから……。》
《ま、待って、ノルン……誤解して―。》
《ウルズお姉ちゃん、
優しいお母さんをかえしてよ。
お母さんの知恵の聖痕を……。
お姉ちゃん、かえしてくれないんだ。
独り占めするんだ……許さない。
許さないよ……許さない!
お母さんを、独り占めするな!》
彼女は……青のお嬢様ノルン―天の創造主。
青のお嬢様ノルンは叫びながら、時の魔術を行使した。姉にくっ付いている知恵の聖痕を手にいれる為に……。
《天の創造主の時の魔術―極星極界魔術、
七つの元徳と大罪の
白い霧の中から、女神の影は手を伸ばした。背後から、白い人形のウルズを優しく抱きしめる。
女神の影ノルフェは、極界魔術―知恵の聖痕に、ウルズの傲慢の烙印を重ねて……女神の影は、白い人形のウルズに囁く。
《ウルズ、ごめんね。私はあの子を助けたい。
あの子を否定したくない……。
だから、ウルズ……力を貸して。
あの子の時の魔術を歪めて……。》
霧の体がぼろぼろと崩れていく……ウルズは無我夢中で手を伸ばして、青のお嬢様ノルンの時の魔術に介入しようとした。
ウルズは、目の前にいる青い瞳の少女は……白い人形のノルンではないと気づいた。青い瞳の少女の時の魔術に介入できない。膨大な魔力によって、青い瞳の少女は守られているから……。
《!?……うそ、あり得ない。
この子は、いったいなに?……これは、無理。》
青い瞳の少女は、正気を失った悪魔の女神よりも多く、魔力を保有していた。
《だめ……諦めるな。私はまだ消えたくない!
異界の門は、すでに起動している。
あとは、白い人形ノルンの体の中に帰るだけでいい!
一瞬だけでいいから……時よ、私に力を!》
白い人形のウルズは、無我夢中で白い霧の中に手を伸ばした。
極界魔術―傲慢の烙印と知恵の聖痕が重なり合い……女神の影ノルフェは、ウルズに時の魔術を操る知恵を授けた。
傲慢の魔女ウルズは、惑星フィリスの中に異空間―時空の牢獄を創ったことがある。聖母フレイの極星魔術―天の門を上回ることはできなかったけど……。
傲慢の烙印だけでも、時空を支配できた。
でも、悪魔の女神の時の魔術と比べれば、下位の魔術……今、ウルズが生き残るには、正真正銘の時の魔術を行使するしかない。
ウルズの霧の体が消えていく。目の前にいる青い瞳の少女に、知恵の聖痕を奪われてしまう。女神の影ノルフェ……優しいお母さんを。
ウルズは、白い霧に強く願った。《いや……消えたくない……消えたくない! 優しいお母さんが、傍にいてくれる……ずっと願っていたのに……絶対にいやだ! そんな時、私は認めない!
時の魔術……もっと、強いものを……時の流れを変える。嫌な時が……望まない未来がこない様に、時を逆転させる!》
白い人形のウルズの強い思いが、新しい時の魔術を創り出した。
ウルズの時の魔術は異質……女神の時の魔術の様に時を止めない。時を加速させない。時を否定しない。そして、時を奪わない。
白い人形のノルンの再生の時や、ルーンの再生の聖痕とも違う。ウルズの時の魔術は、時を逆転させる。
青のお嬢様ノルン―天の創造主の様に
《白い人形ウルズの時の魔術―極界魔術、
傲慢な魔女の時の
青のお嬢様ノルン―天の創造主と、白い人形のウルズの時の魔術がぶつかった。保有している魔力の差があり過ぎた為……白い人形のウルズは、人形の安息の地から消えてしまった。
青のお嬢様ノルン―天の創造主は悔しがっている。ウルズの時の魔術が、一瞬だけ、青のお嬢様の時の魔術を変えた。
時の魔術の対象を、白い人形のウルズから、青のお嬢様に変更したのだ。
青のお嬢様ノルンー天の創造主に、
白い人形のウルズの時の魔術は、魔術の対象を……魔術の効果を、全て逆転させてしまう。大罪の傲慢の保持者は、非常に厄介な時の魔術を創り出した。
時の魔術の対象が
その一瞬で、異界の門が効果を発揮して……異界の門も、ばらばらと崩れていく。
青のお嬢様ノルン―天の創造主も、転移魔術でとんだ。このまま逃がすわけにはいかないから……優しい母、知恵の聖痕―女神の影ノルフェを。
希望の魔女と狂信者の決闘が行われた、緑豊かな星ラスが白い霧に包まれていく。星の時が止まって……悪魔の女神は、緑豊かな星ラスを落とした。
白い霧が運んでいく。緑豊かな星ラスは落下星になって……地獄まで、どんどん落ちていく。
異界から、緑豊かな星ラスが消えた。女神の影ノルフェに導かれて、大樹の城の中庭から……白い人形のウルズも動き出す。
悪魔の女神の複製品、ルーン・リプリケート……白い人形に喰われた傲慢の魔女ウルズは、新たな時の魔術―時の
悪魔の女神に選ばれた新しき女神になる為に……。
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