第5話『“青のお嬢様”は、白き人形に課せられた役目を知る①』【改訂版:Ⅱ】

 

 悪魔の女神は見守っている。愛しいノルンと再生の聖痕を……。



『聖ちゃん、本当にどうするの!?』


 人形の夢の中に隠れていた、“青のお嬢様”ノルンは、“再生の聖痕”に話しかけた。聖痕の少女はひ弱な体を操っている。


 白い人形、白い瞳の少女は、鉄の床に体育座りで座っていて……ひんやりとした鉄の冷たさが伝わってきた。聖痕の少女は大きな声で答える。



『異界の門、使ってよ! 

 もちろん、文字の魔力を消費しないでね?』



 聖痕―白い瞳の少女は何もできない。


 このひ弱な体を操っている間は、スキルも使えない。この体は自分の魔力でさえ受け付けない。『どうしろって言うの?……もう、これなに!? 何かが、沸々とわいてくる。これが……怒り?』白い人形の夢の中にはなかった感覚。感情が込み上げてきた。



 青のお嬢様ノルンも、大きな声で言い返す。



『む、無茶言わないでよ! 


 いきなり言われて……魔力の制御なんて、

 できるわけないでしょう!?』




 青のお嬢様ノルンは、人形の夢の中に浮かんでいた。


 その感覚だけがある。魂だけだから感覚しかない。その感覚も、いつもと比べて何か違う。違和感がすっごくある。


 もしかしたら、感情を体の中に残してきたのかも……こんな状態で、聖ちゃんの魔力を制御するなんて無理。『そもそも、私……魔力を使えないんだよ!?』



 今の状態はとても複雑だ。青い瞳のノルンと白い瞳の聖痕の少女、二つの魂が入れ替わり……二つの魔法の糸―白い糸と青い糸がこんがらがっている様なもの。


 女神でさえ、糸を切らずに解くことはできないかもしれない。聖痕―白い瞳の少女は神聖文字であり、人形の夢の世界の住人。6年間、空中に浮かぶ神生紀の文字と……星間循環システムの魔力を頼りにして生きてきた。


 

 青のお嬢様ノルンは違う。


 12年間で、城の外に出たことがあるのは一度だけ。再生の聖痕の治療・修復は、娘に新たな痛みをもたらす。自分の部屋の天井を眺めるだけの日が続いた……。


 病弱な箱入り娘は、色んな事を経験したかったけど……したくてもできなかった。ノルンが、魔力を制御するには、再生の聖痕の様に夢の住人になるしかない。入れ替わってから……まだ、1日も経っていない。魔法の制御などは、できるはずもなかった。



『さっきも言ったけど、夢の中にある、

 神生紀の文字が無くなったら、


 ……私の夢は消えるんだよ!? 

 夢が消えたら……。


 私と君は混ざりあって……弱い君は、

 夢と一緒に消えることになるからね?』



『私が消えたら、聖ちゃんだって消えるよ? 


 道連れにするからね!? 

 それが嫌だったら、どうにかしてよ!?』



『だから、私がこの弱い体を操っていたら、

 スキルを使えないの! 


 私は、魔力を制御できるけど……

 君の体が、自分の魔力も受けつけないの! 

 

 それで、困っているのに……。』



『入れ替わっているんだから……。

 今は、聖ちゃんの体だからね? 


 そのことも、忘れないでよ!?』



 白い人形、二人の少女は鉄の檻の中で言い合っていた。


 機械の蜘蛛―“きかぐも”は、ドームの中央にある鉄の遺跡―セントラルまで送り届けてくれた。そこまでは良かったが……そのまま、檻の中に入れられてしまった。



 鉄の檻の大きさは2mくらい。3匹のきかぐも(大)は、檻を背中に乗せて……ゴロゴロと鉄の廊下を滑っている。暫くすると、鉄の檻が何個もおいてある倉庫に着いた。


 青のお嬢様ノルンには分からない言葉で何かを言うと、“きかぐも”は遺跡の奥へ行ってしまった。



 

 それから……。

 

 檻の中に閉じ込められてから、60分経過した。待っても待っても、“きかぐも”は来なかった。



【不明な点を確認する必要があります。

 確認作業が終わるまで、ここで待機していて下さい。】



 さっき、大きな機械の蜘蛛は、神生紀の言葉でそう言ったらしい。ノルンは思った。『遅くない? 遅いよね? いつまで待たせるの?』



 ノルンはまだいい。夢の中には感覚しかないからまだ耐えられる。青のお嬢様は思った。『聖ちゃんは1時間くらい、檻の中に閉じ込められている。蜘蛛、早くきて、早くしてあげて……聖ちゃん、今は入れ替わらないから……頑張れ、聖ちゃん。』



 

 さらに……30分経過。


 すると、ようやく……ガチャ、ガチャ。30cm程の機械の蜘蛛が歩いてきた。鉄の檻の前を、ガチャガチャと8本の足で歩いている。



『!? 蜘蛛!』


 聖ちゃんが、鉄格子の隙間に手を入れて伸ばした。小さい手では、蜘蛛には届かなかったけど……きかぐも(小)は、神生紀の言葉で話しかけてくれた。



【異物、脅威度0。

 確認作業中……待機。】



『待てない! お願いだから、

 ここから出して! 私、死ぬよ!』



【……異物、不明。確認作業中……。

 セントラル、治療を要請。


 異物、治療―報告!】



『報告じゃなくて、今すぐ出してよ!』



 機械の蜘蛛(小)は、白い瞳の少女の願いを聞き入れてくれたけど……ガチャ、ガチャと来た道を戻っていってしまった。



 聖痕の少女は困った。『お腹がすいた。喉も乾いてきた……。夢の中にいた時にはなかった感覚。全然、嬉しくない。お嬢様にすぐにでも変わって欲しい。一番きついのはトイレ。無理やりでも、すぐに変われる方法を考えないと……。』



『聖ちゃん、大丈夫? 

 しんどそうだけど……。


 あ、私は絶対に変わらないからね。

 今は、絶対に嫌。』



『このまま出られなかったら……。

 私、魔力を暴走させるから。』



『うん、良いんじゃない?

 聖ちゃん、気絶している方が楽だよ。』



『!?……お嬢様! 

 お願いだから入れ替わって! 


 本当にお願い!』




『……………。

 

 夢の文字を消費すると思うけど、

 “異界の門”を使うよ? 


 もし、上空に出ても怒らないでね? 

 落下して、気絶すると思うけど……。」



『もういい! 

 とにかく使って! 今すぐに!!』


『は―い……。』



 ノルンは、異界の門に手を伸ばす。


 白い瞳の少女は今にも泣きだしそう。可哀そうなので、異界の門を使ってみた。とにかく、この鉄の遺跡の外へ。遺跡の外へ出るくらいなら、できるだろうし……。



 白い人形の少女を覆う様に、回転する銀の輪が現れると……鉄の檻の中から、白い人形の姿が消えた。人形の夢の中に浮かんでいた、神生紀の文字も5文程、ばらばらと崩れて消えていく。



 突然、白い人形の少女が現れた。


 上空から落下することなく……手をついて、冷たい鉄の床に座っていた。夢の中で、ノルンは驚いている。『!?……なんで!?』


 開けた大きな広間に、聞いたことのない声が響き渡る。ノルンには言葉の意味は分からないけど……人の女性の声だった。きかぐもの声に似ていると思った。



【転移魔術を確認しました。

 の権限において、魔術に介入。


 現在、施設内から出る事はできません。】


 その声で気づいたのか……ケーブルや鉄くずを運んでいた“きかぐも”(大)が、白い人形の少女に近づいてきた。6匹もいる……。



【セントラル、異物を確認。

 現在、確認作業中です……。


 待機していて下さい。】



『もう待てないよ! 私、病気なの……。

 死んじゃうよ!?』



【……治療の要請あり。

 不明な点が多くある為、


 施設の外に出る事はできません。

 施設の医務室にお連れします。】



『医務室よりも……トイレに行きたい。』




 青のお嬢様ノルンは、夢の中にある神生紀の文字を見た。項目ごとに整理されており、果てしなく続いている。神生紀の文字のカーテン……ぽつぽつと穴が開いていた。


 『……………。』


 ややこしいが、夢の中の神生紀の文字は…… “再生の聖痕”ではない。聖痕―白い瞳の少女は夢の中におらず、ひ弱な体を操っているから。



 『これは……いったいなに? どうして、私の中にあるの?』……分からないことが多すぎた。分からないから不安になる。今いる世界のことが分からない。



 聖ちゃんは危ないと言って教えてくれない。聖ちゃんにとって大切な夢の文字―その魔力を消費して、異界の門を発動した。発動したのに、遺跡の外にすら出られなかった。『結局、入れ替わってもなにもできない……私がいる意味ってあるのかな?』



 “異界の門”と“女神の魅了”―スキルで消費された文字は、3文~5文程。字数で言えば、100~200字以内。全体から見れば、大したことのない数。


 しかし、青のお嬢様には、どの文字が消えるか分からない。重要な文字が消えれば……聖痕の少女でも読むことができなくなり、文字の力も失われてしまう。



 夢の文字が消えて、人形の夢の世界が消えれば、弱い魂のノルンも消える。聖痕は、ノルンに教えることができなかった。


 肉体から離れ、魂だけで存在することの危険性を。聖痕の少女は文字であり、今まで……感情もなかった。その危険性を知らないから。肉体は魂の器であり、器がなければ、魂は簡単に傷つく。



 ノルンは、自分の感情をコントロールしなければならない。『消えたら痛みも感じるかな? 痛みのない世界にいきたいな……。』


 夢の中にいると、感情が薄れていく。『このまま薄れたら、聖ちゃんの様に痛みに強くなれるのかな? 聖ちゃんは文字だけど……私は、いったい何になるの? 私は全て忘れたいの? 12年間、誰も本当のことを教えてくれなかった。聖ちゃんも、お母さんも……もう訳が分からないよ。お母さん、どうして……。』



 消える前に、全てを忘れる前に……お母さんに聞きたいことがある。



『どうして……私に聖痕を刻んだの?』




『私の愛しいノルン。

 ノルンを愛しているからよ。

 

 異界に存在する、数千……数万……。

 数えきれない程の世界を壊してでも、

 貴方を守りたいから……。


 ノルンを失いたくない。』



 女神は答えた。でも、ノルンには聞こえていない。

 




『助かった……。』


 聖痕の少女は、鉄の遺跡の医務室に着くと……機械の蜘蛛(小)から、水らしきものを渡された。


 何かが溶けたドロドロの青い液体。変な匂いはしなかったので、少し舐めてみた。とっても美味しかったので、全部飲む。甘くてハチミツ様な感じ。子供が喜びそうなもの。


 きかぐも(小)が、ベッドの上で足をたたんで……8個の眼で、白い人形の少女を見ている。“きかぐも”を撫でてあげた。一番困っていたことも解決済みだったので、ベッドの上で、ふぅ―と一息つく。


 

 それから、きかぐも(大)に乗って遺跡の中を案内してもらった。人や魔物の姿は、どこにもない。“きかぐも”に聞いても、遺跡の中の生命反応は……私たちだけらしい。


 きかぐも(小)たちは忙しそう。


 ベッドのシーツを洗ったり、トイレを掃除したり……役目を果たす為に、動き回っている。誰も住んでいないのに、生活環境が整えられていた。錆びたり、変形したりして壊れている所がある。きかぐも(小)が発見すると報告し、きかぐも(大)が、“管理者”の指示に従って修復している。



『ねえ、蜘蛛さん、ここはどこ?』



【現在、確認作業中です。

 お答えすることはできません。】



『なら、管理者の所に連れて行って? 

 それも駄目なの?』



【……………。

 管理者はここにいます。


 セントラル、この施設が我々の管理者です。】



『……………。

 

 オーファン・システム―セントラル。

 この遺跡自体が、管理者……。 

 

 じゃあ、聞こえてる? 

 私は、知りたいことがあるの! 答えてよ!』



 白い瞳の少女が、遺跡の天井部分を見ながら叫んだ。少女の声は響き……無数の蜘蛛が、少女を見つめている。



 沈黙の後……少女の声に答えた。

 蜘蛛の声とは別の声で……


 人間の男性の声。なぜか分からないけど、とても嫌な声だった。



《来訪者よ、何を知りたいのですか?》


『ここは、どこ? 

 確認作業中って言うけど……。


 もう分かっているんじゃないの?』



《………………。

 まず、貴方にお伝えしましょう。

 

 貴方は、我々の人質です。》



 『えっ? 今なんて言った?……人質?』意味が分からない。私たちは、堕落神―騎士神オーファンによって転移させられた。


 気がついたら、このドームの中の花畑にいた。『青のお嬢様が言った様に、ここは、貴族の重要な施設? 騎士神は人の神だから……人が支配している場所に転移させられたってこと?』



 でも、惑星フィリスの星間循環システムには、“システム―セントラル”という項目はなかった。6年間、人形の夢の中で見続けてきたけど……なかったと言い切れる。『……惑星フィリスの中で、フィリス・システムとオーファン・システムが共存している? お互い、干渉しない様になっているのかな……。』



 星間循環システムが、魂や魔力の源である星の水晶を運ぶ時、必ず文字が必要になる。システム自体が、神聖文字だから……。


 星の水晶を識別する為に……システムが、水晶と関係があるものを記憶する。その記憶を文字にして、項目をつけて整理していく。人形の夢の中の文字の様に。


 星間循環システムが運ぶ、星の水晶は膨大。項目ごとに整理しなければ……システムが破綻してしまう。



 人形の夢を創っている、神生紀の文字―“フィリス・システム”。


 フィリス・システム内に、“システム―セントラル”という項目はない。『フィリスとは別の場所?……分からない。でも、まさか……。』



 私たちを転移させたのは、堕落神オーファン。



『あれ?……青のお嬢様?』


 ノルンは、人形の夢の中にいるけど蹲って動いていない。『疲れて眠ってしまったのかな? とりあえず、人質と言われた以上……機械の蜘蛛の上に乗っているのは、危ない。』


 聖痕―白い瞳の少女が、きかぐも(大)から降りて……。



『……意味が分からない。

 私は、蜘蛛の指示に従った。なのに―』



《我は、主の命に従います。

 

 安心して下さい。抵抗しない限り、

 貴方の安全を保障します。


 不自由なく、ここで暮らせるでしょう。》




『……………。

 

 騎士神オーファン様は、

 どうして私を人質に?』



《貴方の為です。貴方は弱い。

 守護する者が必要です。


 ならば、我らの主が相応しい。

 “幼き子らを守護する者”なのですから。》



『私の自由も、守って頂けませんか?』



《貴方は弱いのです。残念ながら、

 この場所でしか生きられません。》



『勝手に決めるな!? 

 私は、城の中でも―。』



《やはり……閉ざされた場所しか、

 知らないのですね。

 

 ならば、ここより良い場所はありません。

 

 人や魔物のいない、

 敵のいない……“機械の星”。


 貴方は、機械の星で生きるのです!》



 最悪だ……本当に最悪。もう、機械の星とか言うな。『もし、ここがフィリスではないのなら……いったいどうやって、帰ればいいの? フィリスに帰れなければ、母の願いを叶えることはできない。お嬢様は痛みから解放されない……永遠に。』




『……どういうこと?』


 聖痕の少女との会話を聞いていた様で……ノルンが、聖痕に尋ねた。二人の少女は夢の中で話し始める。二人だけの秘密の会話。



『!? び、びっくりした……。

 お嬢様、起きてたの?』



『聖ちゃん……ここどこ? 

 お願いだから、教えて!?』



『多分……ここは、オーファン。

 第六惑星オーファン。』



 ノルンは戸惑った。『第六惑星? フィリスは第三惑星……じゃあ、お母さんに会えないってこと? どうしても聞きたいことがあるのに……それも、聞けないの?』



『聖ちゃん、入れ替わって……。

 

 聖ちゃんが夢の中にいれば、

 スキルも、魔力も使えるでしょう?』



『……………。

 この体には、疲労が溜まってる。


 聖痕も発動するかも―』



『お願いだから、入れ替わってよ!? 

 どうしても、お母さんに会わないといけない。


 お母さんに聞きたいことがあるの!』




『……………。

 一つ約束して……。』



 聖痕の少女が言葉を発した。


 二人だけの秘密の会話は終わり、管理者も会話に加わる。



《何ですか? 我らは主の命に従い、

 貴方を守りますよ?》



『絶対に気絶しないって……。』



《?……何を言っているのですか? 

 怖がらなくても―》



 その時、“青のお嬢様”と“再生の聖痕”が入れ替わった。


 白い人形の瞳が、透き通る海の様な青い眼に変わる。ノルンはものすごい疲労に襲われて、呼吸がすぐに乱れた。『聖ちゃん、すごいね……こんなにしんどいのに。』



 蜘蛛の声とは別の声―管理者の声。ノルンが理解できなかった……



《!? 魂が変わった?……何をした!?  

 安全の為です。答えなさい!》



『あなたこそ……誰なの?』



《私は、です。この星の一部……。

 管理する為に知らなければいけない。


 さあ、答えなさい! 何をしたのですか!?》



『管理する為に、生きているの? 

 それだけの為に? 他にしたいことはないの?』



《答えるつもりはないのですね。

 愚かな……なぜ、抵抗するのですか? 



 なぜ、主の命に従わないのですか? 



 それ以上に、重要なことなど……。

 この世には存在しない!》



 ノルンは思った。『ああ、そうなんだ。決められた役目を果たす。それが、この世界では最も重要。私にも……お母さんから与えられた役目がある。それを果たさなければ、いけないんだね。何もかも犠牲にして……。』


 私に刻まれた聖痕によって、6つの災いの地、封印された堕落神は救われる。『可笑しいよ、そんなの……間違ってる!』



『私は……帰りたい。』



《それはできないと言ったはずです。

 貴方は、第六惑星オーファンで―》



『そんなの嫌! 


 私は、お母さんに頼まれた。

 願いを叶えたら、痛みから解放されるって。


 でも、痛みの原因は、

 お母さんが刻んだものだった!


 もう、意味が分からないよ! 

 何で、私に……本当に好きだったから!?



 役目って言うけど……そんなの酷いよ! 


 蜘蛛たちだって、お前に操られる為に……。

 今まで生きてきたわけじゃない!』



《愚かな……機械に魂はない。

 生きてはいないのです。》



『………………。

 分かった、お前は間違っている。


 絶対に認めない!』



《………………。

 貴方は混乱している。


 このままだと、

 自分自身も傷つけてしまうでしょう。


 少女の為です。蜘蛛たちよ……。

 少女を捕まえなさい!》



 無数の蜘蛛の眼が、一斉に赤く光った。


 2m以上ある大きな機械の蜘蛛。8本の足には、長い筒の様な物がついており、奇妙な音を出している。


 その音が聞こえなくなった。長い筒は―旧式の魔導銃。無数の銃に弾が装填され……青い瞳の少女を捉えた。



 ノルンと聖痕の少女が入れ替わると……自分の体に、埋もれていた感情が爆発した。青のお嬢様は、今までこれ程怒ったことはない。『許せない……許せない……殺してやる!』



 青い瞳の少女の魂―星の核が解放された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る