消化管の機能と構造Ⅱ

胃腺は部位により噴門腺、固有胃腺、幽門腺の3種類が存在する

噴門腺は食道腺に、幽門腺は十二指腸腺に似ており、主に粘液を分泌する粘液腺。固有胃腺には機能の異なる(4種類)の細胞が存在し、(粘液・塩酸・ペフシノーゲン)などを分泌する。



酸分泌細胞(壁細胞)によって分泌されたH⁺とCl⁻によって胃酸(HCl)が作られる

(H⁺/K⁺ポンプ(H⁺/K⁺ ATPase)がH⁺を分泌し胃酸をつくる)酸分泌細胞は、食事などによって活性化されると、細胞膜にあるH⁺/K⁺ポンプが細胞内のATPをエネルギーとして、細胞外のK⁺と細胞内のH⁺を入れ替えることで細胞外のH⁺濃度を高める。一方、Cl⁻も細胞外に分泌され、(HCl)が作られる。


胃液のpHは刺激時は(1以下の強酸性)で、食間でもpH3以下に保たれている。


胃の役割は、食物に付着した(微生物の殺菌と脂肪・タンパク質の初期消化)である。この目的のために食物を強い酸と消化酵素を含む胃液と混合し、粥状にする。


主細胞から分泌されるペプシノーゲンは、胃酸によって消化能のある(ペプシン)に変えられる。



胃液の分泌は迷走神経と局所ホルモンによって支配される

3.腸相

 G細胞:幽門腺などにあり、ガストリンを分泌する。

 K細胞:十二指腸粘膜にあり、胃抑制ペプチドを分泌する。

 D細胞:胃底腺にあり、ソマトスタチンを分泌し、ガストリンの分泌に抑制的に働く。



十二指腸下行部前壁の中ほどの粘膜が縦に隆起して見える(十二指腸縦ヒダ)。その先端の隆起を(大十二指腸乳頭(ファーター乳頭))といい、合流した(総胆管と主膵管の開口部)である。やや上方に副膵管の開口部である小十二指腸乳頭がある。



小腸は十二指腸、空腸、回腸に区分され、その表面積は極めて広い(約200m²)

(十二指腸)から続く小腸はさらに(空腸、回腸)に区分される。これらは腸間膜で吊り下げられている。小腸は平滑筋の収縮のため全長3mであるが人為的に伸ばすと10m(平均6.5m)となる。また、表面積は粘膜ヒダ絨毛、微絨毛を含めると200m²という途方もない広さになる。


空腸と回腸はおよそ2:3で、その境界は明瞭ではないが、空腸の方が平滑筋が厚く、(粘膜ヒダも緻密)である。



腸管は豊富な壁在神経叢を持ち、自律的に蠕動と分泌を調節する

腹膜の下は疎な結合組織で、漿膜下組織という。その内側に平滑筋層がある。平滑筋は内側は輪走し外側は縦走する。この筋層の並びを(「内輪外縦」)と表現する。2つの筋層の間に(筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢))がある。粘膜下組織には粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)があり、アウエルバッハ神経叢と複雑に連絡している。アウエルバッハ神経叢は(蠕動)を、マイスナー神経叢は(分泌)を支配している。


最内層は粘膜で、絨毛・陰窩(腸腺)・粘膜固有層・粘膜筋板からなる。粘膜固有層には血管、神経、リンパ管、を始めリンパ小節も発達している。(腸関連リンパ組織)としてIgAを産生するなど生体防御の最前線を担っている。



十二指腸腺(ブルンネル腺)は、十二指腸固有の構造である

小腸には絨毛と呼ばれる指状の突起が発達しており、小腸内面を覆う円柱上皮細胞には微絨毛による刷子縁がある。十二指腸粘膜下層には、(十二指腸腺(ブルンネル腺))という粘液腺を認めるが、この構造は小腸の他の部分(空腸、回腸)には見られず、(十二指腸特有)の構造である。

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