肝臓Ⅲ

 ・HBs抗原はオルセイン染色或いはビクトリア青染色でも検出できる。


【臨床との関連】

・経胎盤的或いは経産道的にHBVキャリアの母親から母子感染(垂直感染)することがある。


【C.C型肝炎type C hepatitis】

【概念・成因】

 ・RNAウイルス(フラビウイルスの一種)。

 ・血液感染が主(輸血20~30%、消毒の不完全な注射、覚せい剤や麻薬などの注  射)。


 ・本邦ではHCV抗体陽性の肝細胞癌が最も多い。


【臨床との関係】

 ・A, B型と異なり、高率(70-80%)に急性肝炎から慢性化し、更に慢性肝炎の   50-70%は肝硬変・肝細胞癌へ進展する。


  急性肝炎 → 慢性肝炎 → 肝硬変 → 肝細胞癌


【D.D型肝炎, デルタ肝炎delta hepatitis】

 ・RNAウイルス。

 ・HBV感染宿主に於いてのみ感染・増殖。

 ・表面をHBs抗原で覆われている。

 ・地中海沿岸地方に多く、本邦では稀。


【E.E型肝炎type E hepatitis】

 ・RNAウイルス。

 ・経口的に感染。

 ・インドを中心とした発展途上国に多い。

 ・近年、本邦においてもブタ、シカ、イノシシなどとの人獣共通感染症zoonosisと  して注目されている。



F.その他の炎症性および感染性疾患

C.寄生虫疾患

【a.アメーバ性肝膿瘍amebic liver abscess】

 ・赤痢アメーバの感染による。

 ・腸管から門脈を経て肝臓にいたる経路が多い。


【b.日本充血吸虫症schistosomiasis japonica】

 ・日本充血吸虫の感染による。

 ・中間宿主はミヤイリガイ(宮入貝)。

 ・河川や田において経皮的に感染。

 ・進行すると日本充血吸虫性肝硬変。


G.肝硬変liver cirrhosis

【概念・定義】

 ・組織学的には、肝細胞の壊死、再生の繰り返しによる肝全体にわたる線維化の  進行の結果、種々の大きさの再生結節の形成。


 ・本邦の肝硬変の多くはC型或いはB型肝炎ウイルスによる。


 ・機能的肝細胞の数的減少により肝機能不全が生じる。

 ・門脈圧亢進により肝内外に短絡が形成され、様々な症候(上表)を呈する。


【肝硬変の随伴病変】

1.肝細胞癌の発生

 ・肝細胞癌の約80%は肝硬変を合併。

 ・HBV, HCVに関連した肝硬変は前癌病変といえる。


2.門脈圧亢進症

 ・門脈圧亢進症の原因で最も頻度が高いのは肝硬変。


3.内分泌異常

 ・肝機能低下→ エストロゲン不活化能低下→ 女性化乳房

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