028 時には夢を見たいと思うことがあるⅫ
「よ、よろしくお願いします……」
「分かったわ。でも、
「は、はい————」
これはたぶんスパルタな練習が待っているんだろうな。
「優しく教えてやれよ。同じ女子とはいえお前と全く別のタイプの女子なんだからな」
「それくらい……分かっているわよ」
冬月は少し頬を赤く染めながら頷く。彼女もそれくらいは分かっていっているのだろう。
「それじゃあ、準備もできたことだし始めましょうか」
そう言いながら腕を組んで立ち上がり、冬月はコートに出てきた。
先に出て、コートで
「サービスコートに置かれた四つのコーンをそれぞれ五球以内で一つずつ当ててもらいましょうか」
冬月は向こう側のコートに置いてあるコーンを指さした。
え、え、と夏目は驚いた様子で冬月の方を見る。
「マジかよ。その条件はプロでも難しいと思うぞ。それにしても一つにつき五球は流石にきつすぎだな」
俺も驚いて正直に言う。
ここからだったら四つすべて当てるのに俺だったら百球以上は余裕で超すな。それに夏目がこれに挑戦するとなればいくら何でも
「ほ、本当にこれに挑戦するんですか?」
そう言うと俺の方をちらちらと見てくる。こっちを向いてもどうすることもできないんだが……。それに冬月が人に協力することは意外と珍しいからちゃんとした理由があると思うぞ。たぶん……。
「何はともあれ、さっさと始めなさい」
冬月に言われながら、夏目はきびきびと行動をしてサーブの練習に入る。
夏目は合計二十球を打つとき、
「どうして、全然当たらないのかしら」
と、額に手を当てながら溜息をつく冬月はがっくりしていた。夏目のサーブはせいぜい一つしか倒すことが出来なかったのだ。
「まだ力んでいるんじゃないのか。夏目、肩の力を抜け。イメージしろ」
「天道君。次はあなたが打ってみて。夏目さんと同じ二十球で……」
「それは俺にやれるもんならやってみろと言っているのか?」
「ええそうよ。お手本を見せてほしいの。出来るわよね」
冬月は微笑みながら首を少し曲げて俺にそう言う。
「分かった。一回だけやってみる」
でも、こうやって見てみると意外と遠いもんだな。それにネットが邪魔で少し醜いがそこは
少し中途半端な高さにトスを上げ、ラケットを外側に向かって投げるようなイメージでスピンサーブを打つ。一球目は少し外れてサービスコートから外れた。
なるほど……。これくらいがベストか。後は体勢を変えてコースを変えればそれなりにいいところまではいくだろう。
俺は次々とサーブを打っていく。二球、三球、四球と球数を増やすたびに的に近づいて行く。
「本当にすごい……天道君って私よりうまい」
当たり前だ。俺は女子よりもうまい自信はあるぞ。
「流石ね。でも惜しかったわね。あと一つだったのに……」
冬月はにっこりと嫌味を感じさせない言い
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