009  大学生活は現実を壊すⅨ

「先生、私たちは毎日何時ごろに繰ればよろしいのでしょうか。流石に時間を指定していただけないと私にも色々と用事があるので」

「ま、授業が終わればそれから大体、午後の五時くらいまでいてくれればいい。何なら、暇な時間、勉強していてもいいぞ」

 と、同時に五時のチャイムが鳴る。

 先生は先に帰宅の準備をしてさっさと研究室を出て、俺達に戸締りを頼んだ。取り残された俺たちは何も会話をせず、何分間かじっとしていた。

 それから、俺は荷物を整理し始めると、冬月は自分のスマホで何かを検索し始める。俺はそのまま何も言わずに研究室を後にして、駐輪場に向かった。

 研究室を出るとき、彼女は一度たりともこちらを向かず。挨拶も何もなかった。

 明日からあの場所に通うと思うと俺の大学生活は地獄じごくへと下っていきそうだ。そもそも元凶は何だったのだろうか。それすらも考える事も出来ないくらい俺は家までふらふらしながら自転車を漕いで帰った。

 大体、あの女。本当に今まであった女子の中で一番むかつく奴だった。いつか、なんとかノートを使って殺したい。俺は何のために苦労して大学まで入ったのだろう。

 何処に行っても学校と言うのは面倒なことがついて来る。それは運命と呼ぶのには幻滅だ。

 都会にいろうと、田舎にいろうとそれは関係ない。

 大学は中学、高校とは違うところ? そんなのは言い訳だ。現実を見ろ。勉強量は半端ない。人の人数も多ければ、それ相応気遣いも増えてくる。これは世間の狭い社会の一種だ。

 そうだな。最後に一つ言うことがあるのならばこれだけは言っておきたい。

 大学に入るなら、青春、女、夢、希望。そんなのは捨てた方がいい。実際にその屈辱を味わっているんだから。俺には大学と言う場所は似合わなかったかもしれない。

 あえて、言おう。大学生活は現実を壊すところであり、ダメな人間が集う場所だと言うことを……。

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