第2章 時には大罪を犯す
010 時には大罪を犯すⅠ
二時限目の授業がお昼の十二時ごろに終えて教室からカフェテリアに向かい、チキン
パスタをフォークで巻きながら、口の中へするすると入れていき次々と食べていく。しかし、あの場所以外まともなところが無いのが混んでいる証拠だと思う。
ま、場所がないんじゃしょうがないか。どうせ、他の席に座っても男女のイチャイチャ感を見るのもイラつくし、本当にカフェテリアのお昼は地獄だよな。
「
とこちらに呼ばれて、俺は辺りを見渡して逃れることが出来ないと思った。……仕方が無いか。
あの席に座ったら、色々と先生の
藤原先生はこちらに手招きして、ニヤッと笑いながら笑顔でこちらを見てくる。
「早く来い」
そう言って、
「あの、先生はお昼、ここに来ることが多いんですか? 俺は人がいない時間帯に来ることが多いんですけど、この時間に教職の先生がいるのは珍しいですよね」
「ああ、ほら、俺、独身だから家族がいる先生とは違ってここに来ることが多いんだよ。周りに学生がいるのが多少、恥ずかしいんだけどな……」
発言に意外と心に傷を負いそうな単語が……。
フォークを皿にコツコツと音を立てながら接触の音が響き渡り、俺は気まずくカレーを口の中に入れた。
「お前、無防備すぎるぞ。そんなに簡単に肉を取られたら、大事なものもいつかなくすぞ」
「と言うか、何で勝手に人の食べ物を盗んでいるんだよ」
あ—あ、チキン南蛮が三個から二個に減った。
チキン南蛮を口に入れながら藤原先生は無くなるのを待って口を開いた。
「ああ、そうそう。今日、大学の職員会議があるせいで少し遅れるから冬月と二人で仲良く研究室で居てくれ、もし、俺が五時までに帰ってこなかったら帰ってもいいからな。こっそり逃げるなよ。もしかするとどこかで監視をしているかもしれないからな」
この後、一時間しか授業がない俺にとっては不満に思った。
ごくごくとコップに入っている残りの水を飲みほしながら先生はパソコンを開いて、何かを検索し始めた。こんな場所で仕事をするなんてある意味サラリーマンみたいで、俺はその部下みたいな感じに見えるだろう。
それよりも昼休みは残り、ニ十分しかない。授業始まり十五分前になると出席登録開始のチャイムが鳴る。俺はスマホで時間割を確認して、次の授業の教室に向かおうと席を立った。
「あの、次の授業があるんで先に抜けてもいいですかね。もうすぐ十五分前になることですし、先生も忙しいでしょ。早く、教室に行かないと遅刻するので……」
「そうか。なら、俺も理工学部棟まで一緒に行こう」
そう言うと先生はふっと笑って、立ち上がり俺の横を歩く。
「どうせすぐそこだろ。俺は次の授業がないから暇なんだよ。それに気分転換に寄り道するのもいいしな」
「なんか適当ですね」
「いいじゃないか。教え子をいい意味で育てると言うことは俺の教師像が上がるんだぞ。いい教師を持ってお前は幸せ者だぞ」
「いや、それは絶対にない。あんたは俺にとっての
「疫病神か。面白いこと言うな。本当にギャルゲーのスキルで女子を次々と落とす主人公の気分だな。ま、あれは最終的にハッピーエンドなのか分からんけどな」
やっぱ、孤独の奴は意外と暇なのだろうか。それに俺のその作品、家に全館置いているんだけどね……。
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