002 大学生活は現実を壊すⅡ
次の日の午後、又もや研究室で
「ダメだ。もう一度やり直し」
「はぁ、またですか。どこがいけないんですか?」
「すべてだ。
藤原先生は俺に向かって指をさしてきた。
「ええ、俺には友人とか必要ないんで、そもそも、友人をなんて作ってどうするんですか。ケンカとか面倒だし、関わる事態、俺は好みません」
「お前はどこか、俺の学生の頃と似ているな」
「そうですか。先生ってもしかして、一人ぼっちで寂しいから毎回、レポートとかで俺を呼び出して、話し相手をしてもらおうかと思っているんですか。
一瞬、俺の横を何かが飛んで行った。
シャープペンだ。後ろを振り向くと、壁に突き刺さっていた。顔には
「天道。大人の世界には言ってもいいことと、言ってはならないことがあるから気を付けろよ」
眼鏡で見えないが、目は本気で言っているんだろうな。と、言うことは本人曰く、大体当たっていると言うことなのだろう。
「先生、レポート内容を少し変えてくれませんか。たぶん、このままじゃ、俺、同じものを書いてくるかもしれませんよ」
ふて腐れながらもレポートの内容に対する
その言葉を聞いた藤原先生は、ニヤニヤしながら何かを企んでいるよう。もしかして、単位を不可にするのではなかろうか。俺はごくりと息を飲む。
「今、何でもやるって言ったな……」
うわー、人の言葉を勝手に理解したような言い癖、そういや、高校時代にもそう言うややこしい先生。居たわ——。同級生にもまれにみるあれだ。心の友よ。どこかのガキ大将がやっているやつだよ。
「先生、俺はただ、レポートの内容を変えてほしいとしか言っていないんですけど」
しかし、藤原先生は聞く耳を持とうとはしない。これが長年、鍛えられた独身の影なる努力なのだろう。俺は何回も訴えかけだが、その度にスルーされてしまう。
藤原先生は、机に肘をつけ、
「天道。お前のレポートの内容について、変更してやる。その代わり、俺の研究に協力してくれ」
「はい? 言っている意味が理解できないのですが」
「言葉、通りだよ。俺の研究に協力してくれるなら変更を認めるって言っているんだ。但し、内容はこちらで決めさせてもらう」
それって、つまり、俺にメリットとなる要素がどこにも見渡らないんだが……。
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