第5話:幕開け

 資源基地エグゼヴィルに降り立った鷹峰は、のしのしと廊下を歩いていた。

 武装している兵士は同伴していない。代わりにいるのは、隣を歩いている金髪の女性だった。

 絶世の美女――なのだろうが、疲労の残る顔とその眼光は、そういった感情を消し飛ばす効果が充分にあった。


 鷹峰は思った。

 なにより、輝くような白を基調とした軍服がいけない。生物らしさすら消えていく気がする。

 1年前に軍人から受けた暴力は、鷹峰を傷つけはしなかった。だが、嫌悪の念を抱かずにはいられないようになった。


 埒も無いことを考え、鷹峰は苦笑した。

「俺をここに呼んだのは、あんたなのかい」気分を変えようと思い、エステルと名乗った女性に話しかけた。

「いいえ」エステルは軽く首を振った。「貴方をお呼びしたのは、天城ゲンロク博士です。これから会いに行きますので、鷹峰さまにも来ていただこうと思いまして」

「そのアマギとやらは、誰なんだ。軍の偉いさんか」

「元は……そうですね。宇宙工学の権威、とまで呼ばれたお方です。ですが、『宇宙侵略者に対抗する技術開発』に注力するようになってから、連邦は天城博士を更迭しました。そんな事があるはずはないと……」

「宇宙侵略者、ねえ……メタなんとかって奴らか?」

「今にして思えば、きっとそうだったんでしょうね……連邦政府は天城博士を呼び戻し、再び協力を得よう――と思っているようです」

「思っている……?じゃあ、まだそのジジイは味方じゃねぇってことか」

「ええ……とりあえず、会話のテーブルが用意されただけです」

「あぁ……?」鷹峰は疑念を強めた。

 エステルは、どう見ても奥歯に物が挟まったような物言いだった。

「でも待てよ、ここって軍施設だろ。なのに、まだ協力するかどうかわからねえってことは、言ってみりゃ部外者だ。そんな奴がなんだって軍の基地にいるんだよ」

「え……?ああ、なるほど。ここは――軍の基地ではありません。『私設』基地です」

「は?」

「ですから……この基地は軍が建設した施設ではないのです。天城ゲンロク博士が私財を投じて建設された、私的な基地なのです。ただ、イヅモ防衛軍所属とするという条件付きで、防衛部隊の配備や周辺資源の回収任務を一部、防衛軍でまかなっています」

「………………あ?」


 字義的な意味合いは分かったが、理解が追い付かない。

 ここは、まがりなにも『基地』だ。それを建設する?私財で?

 ローンを組んでマイホームを買うのとはわけが違う。

 一体、どれほどの財力カネ人脈コネがあれば可能なんだ?


「それで、天城博士は、軍に協力する見返りとして、『あるもの』を要求しました」

「あるものだぁ?」

 そんな人物が欲しがるものとは一体何か。想像すらつかない。

「ええ。……鷹峰士撃さんと会わせること。それが絶対条件でした」

「――そりゃ一体どういうこった」

「わかりません……天城博士は、昔から謎が多い人物でした。他の者には予想もつかないような行動が多く……今回も、どうして鷹峰さんとお会いしたがるのか、よく分からないままでした」

「おいおい……そんなマッド野郎のもとに連れてかれて、人体実験なんて御免だぜ」

「はい。もしも人道に反するようなことであれば、私が許しません。ですから、確かめたいのです。天城博士の真意がなんなのか」

「真意……」


 そういえば、誰かがなにか言っていなかったか。そう、つい最近どこかで……。

「エステルさん!」

 鷹峰の思考を断ち切ったのは、この場に似つかわしくないほど元気いっぱいな、少年の声だった。

「リアーディス少尉候補生。なにか?」

 それに対するエステルの返答は、氷のように冷たい。

 彼女の眼光に射抜かれた少年は笑顔をさっと隠し、緊張で表情と背筋とをこわばらせた。

「失礼しました、マクスモンド少佐殿!」

「ふふ、呼び方は先ほどのもので構いません。ただ、緊急事態を除いて、廊下を走ることは禁止されています」

「す、すみません」リアーディスというらしい少年は顔を赤らめ、謝罪した。

「なんだ?ここじゃガキも兵士になってんのか?」

「いえ、ガキではなく、フィン・リアーディスです!少尉候補生として、防衛隊のリンケージをさせていただいています!」

 無遠慮な鷹峰の言葉に対し、フィンと名乗る少年は大真面目に返答した。

 軍服を着てはいるが、服の真新しさといい、あどけなさの残る顔といい、新兵のようだった。

 しかし、それよりも気にかかることがある。

「候補生?……お前、ひょっとして学生か?」

「はい!今はVRスクールで学びながら、リンケージとして、基地守備隊として配属されています!」


 鷹峰は言葉を失ってしまった。

 ヴォルフ帝国との戦争がひとまず冷戦状態となり、テロが活発化し、地球外生命体からの侵略によって、最近の連邦軍は手をこまねいているという話は知っていた。

 しかしそれにしても、こうまで露骨に子供を軍人として採用するとは……。


「リンケージは、なにも職業軍人だけとは限りませんよ。リアーディスくんのように、パートタイムでの勤務をされている方も多くおられますから」

「パートタイム……?軍人が?」

 聞いたことのない話だった。

 軍とは、機密のかたまりであるはず。技術や内部事情のみならず、今後の行動計画ひとつとっても軍機となる可能性があるのに……。

「ええ……まあ、少しばかり長い話になってしまいますが……」

「あ、じゃあ、いい。面倒くせえ」

 深刻な表情をしたエステルを見て、鷹峰は急速に興味関心が薄れた。


 確かに長くなりそうな話だ。鷹峰は思った。

 エステルはどう見ても連邦――正式名称を用いるなら、連邦統合軍――の制服を着用しているのに対し、フィンという少年は防衛軍の士官制服を着ている。

 連邦軍は(というより、地球連邦は)第二次大戦から再建された地球上ほとんどの国家、月自治都市によって構成されている。いうなれば、『人類の軍隊』だ。

 防衛軍は各加盟国に所属する軍隊――つまり、ここ、イヅモの国の軍隊なのである。

 部外者にとってはほぼ同じような軍組織だが、有事の際には連邦軍の方が防衛軍に対して優越的指揮権を有している。

 そのため、エリート気質の強い連邦軍と独立心に富んだ防衛軍とで衝突が起こるのはまったくもって日常的であった。


 が、いま目の前にいる連邦軍士官と、防衛軍士官候補生とでは、そういった空気を一切感じない。

 鷹峰が黙りこくっている間にも、あくまでも先輩と新入り、そのようにしか思えないやりとりを彼らは続けていた。


 不意に、脳裏にある光景がフラッシュバックした。

 電磁警棒と権力を振りかざし、強引に自分の両手に手錠をかける軍人たち。

 特級監獄の中、半ば拷問のような課業をやらせ、常に監視の目を置いていた軍人たち。

 それが、鷹峰士撃にとっての『軍人』であった。


 忌むべき存在、消えて然るべきものども。

 そのはずだった。


「鷹峰さん?どうしました?」

 フィンが鷹峰の顔をうかがうように、半歩先を歩いていた。どうも、呆けすぎていたらしい。

「なんでもねえよ」

「そうですか。あの……鷹峰さんとエス――マクスモンド少佐は、これから天城博士のところに行かれるんですよね」

 フィンはそういいながら、エレベーターに乗り込んだ。エステルもそれに続き、最後に鷹峰も乗り込んだ。

 鷹峰が乗り込んだことを確認してから、フィンは7階のボタンを押した。ドアが閉まり、エレベーターが昇っていく。

「らしいな」

「僕も同行していいでしょうか?」

 あまり予想していなかった問いかけだった。

「あ?俺に聞くな。少佐殿に聞きな」

「マクスモンド少佐からは、『鷹峰さまさえよければ』とのことです。聞いてませんでしたか?ずっと話していたのに」

「聞いてねえよ。――好きにしな。楽しいとは思えねえだろうがよ」

「ありがとうございます!」フィンは、無邪気な笑顔を向ける。

 今まで、鷹峰は修斗屋シューターとして様々な相手と闘ってきた。

 どんな相手にも恐怖を感じたことはない。

 自分より体格に恵まれた者、自分より俊敏さに優れた者、相手の心理を巧みに読む者。そういう相手にいつも通り闘い、いつも通り勝利してきた。血を流し、骨を砕いてきた自負がある。

 何故かはわからないが、鷹峰はフィンを直視できなかった。ただ、昇り続けるエレベーターのドアを眺めるだけだった。


 不意に、また、脳裏に軍人の姿がよみがえる。



『…それにしても本気か?いくら人手不足だからって、奴は特級囚人なんだぞ』

『上の命令だ、是も否もねえよ』

『ふん…天城ゲンロク、か。『賢者の石』だかなんだか知らんが、奴があんなもんを完成させたせいで軍上層部ですら幅を利かせるとはな』

『よせよ、誰かに聞かれたらコトだぞ』



 これは最近の記憶だ。そうだ、最近の――

「なあ、あんた。『賢者の石』って知ってるか?」

 鷹峰はエステルに言った。少し驚きながら、エステルはしばし目を閉じ、口を開く。

「え?……いえ、わかりません。それは、錬金術などで出てくる、『あの』賢者の石でしょうか?」

「いや、わかんねえんならいいんだ」

「なんです?その賢者の石って」フィンが無邪気に問いかける。

「さあな」鷹峰はぶっきらぼうだった。


「まあ、どうでもいい。俺には関係ねえだろうしな……」



 基地最上階は、雑談の出来るような空気ではなかった。

 赤外線センサー、監視カメラ、ガードロボ、近代装備一式で身を固めた兵士。様々で多種多様なセキュリティの施されている。

 あらゆる事象に目を光らせている兵士が多く、しかも彼らは連邦軍でもなく、防衛軍でもない制服と装備を身に着けている。

 おそらくは、天城博士の私設部隊といったところだろう。しかも最上階に配備されているということは、能力もしくは地位がそこらの兵士よりも上である可能性がある。

 あまり彼らを刺激したくないようで、さすがにフィンも大人しくエステルの先導に従っている。

 やがて、奥まった場所にある部屋の前にたどり着いた。

 無機質な上に大きな自動扉がそびえたっている前に鷹峰たちは立っている。

「ここがジジイのいる部屋か?」

「――天城博士、ですよ」フィンはそっと忠告した。

 そこまで強い口調でないのは、鷹峰が民間人だからだろう。基地に配備されている兵士は彼らの指揮下にあるだろうが、鷹峰はそうではない。


 エステルが生体認証装置らしき半カプセル状の機械に向き合うと、いくらかの電子音と無機質な口調のガイダンスが聞こえる。

 自動扉わきにある開閉装置が青く点灯すると、重さをまったく感じないように扉が両側のドアポケットに引っ込んでいく。

「鷹峰さま。……行きましょう」

「ああ」

 エステルも心なしか緊張した面持ちになり、鷹峰はエステルに続いて部屋に入っていく。フィンは明らかに圧倒されながら、一行の最後を歩いていた。




 部屋に入ってすぐ目に飛び込んできた光景は、地平線だった。


 視線の向こうには緑豊かな木々と山々が見え、自分たちのすぐ周囲には、コンソール一体型のテーブルと、オペレーター用のシートがあった。

 コンソールは扇状になっていくつも配置されており、部屋――これを部屋と呼んでいいものかわからないが――の、中央あたりには、中空にひときわ大きな椅子が浮かんでいる。


「――――あ?なんだここは」

 思わず出た鷹峰の言葉に応える者はいない。

 コンソールはどれもこれも点いておらず、オペレーターの一人もここにはいない。

「博士!天城博士!おられますか!」エステルが周囲に呼び掛けた。

 だが、問いかけの声がわずかに反響するのみ。


(反響するってことは、この部屋は……)


 見えないが、周囲は何かの壁で覆われているのだろう。

 いま目の前に見えている外の景色は、スクリーンに映されているものだろうか?



「ようやく連れて来たか。エステル・マクスモンド」


 不意に聞こえた声は、上空からだった。ということは。


 中空に浮かんでいる椅子がくるりと回転した。

 そこには白髪と白い髭をたくわえた――覇気あふれる老人が座っていた。




「天城博士……この度は、我々のためにお話の席をご用意下さり――――」

 驚きもそこそこに、エステルは前置きを言おうとした。

「貴様らのためなどではない」ぴしゃりと言い放った天城の言葉に、エステルは口を閉ざした。

「それで、ワシの言ったことは覚えておろうな?」

「……かねてからご要望の通り、鷹峰士撃さまをお連れしました」

「ふん……無能ばかりでもないらしい」

 一方的な物言いに、エステルもフィンも、何も言わない。いや、言えないのだ。

「おいジイさん。上から目線も大概にしな」

 知らず、そんな言葉が口に出た。フィンは驚愕の表情を鷹峰に向けたが、無視することにした。

「度胸はある。だが、それだけの男に用はない」

 天城博士は、まったく動じた様子も見せていなかった。

 むしろ、挑発に挑発で応じていた。

「なんだと?てめえ」


 こうなったらここで暴れるのも悪くは―――――



 その時、どこかからか轟音が聞こえ、床に振動が走った。



「な、なんだ!」

 思わずよろめいたフィンをとっさに支えながら、鷹峰は言った。

「今の、爆発音じゃねえのか!?おい、エステル!」

 エステルは耳元に手を当てて、何かを言っていた。インカムでどこかと連絡をしているらしい。

「基地周辺に所属不明機が多数確認されました!迎撃に出ます!」

 いくらか情報を端折ったらしい物言いだった。フィンも、何事かを察したようにエステルをまっすぐに見つめていた。

「エステルさん、僕も行きます!」

 声色に震えは無かった。あるいは、だからこそ無謀とも受け取れるのだが。

「――――そうね。3番格納庫のファルコンⅡを使用して。許可は事後を以て承諾するわ。私は先に出る!」

 一瞬のうちに判断を下したエステルとフィンは部屋を駆けていく。



 どうしたものか考えあぐねた鷹峰は一人取り残されていた。


「……この場所に気づきおったか……小娘、意外とやる」

 天城は、ぽつりと言った。椅子は、また地平線の向こうに向かっており、こちらからは表情がわからない。

「おい、なんのことだよ!?」

 鷹峰は、異常事態に対して全く物怖じしていない天城博士に半ば憎悪すら抱きかけていた。

「よいか、鷹峰士撃……お前は知らなければならない」

「あぁ!?」


「地球は、死に絶えようとしておる。よいか、心して聞け」






「急げ、急ぐんだ」

 フィンは、ほとんど自分にしか聞こえないようなかすれ声で自分に言い聞かせていた。

 エステルの言った通り、3番格納庫には予備のSt236I-ファルコンⅡが眠っており、整備も完了していた。

 だが、自分が扱ったことのある機体はファルコンⅡの前身――St234I-ファルコンであった。それに不安を覚えないでもない。

 それに、いや――そもそも、実弾の飛んでくる実戦は、これが初めてだ。

 自宅や訓練所でのシミュレーションは毎日のようにやってきた。だが――連戦連勝というわけではなかった。

 シミュレータ上でさえ敗北をしてきているのに、実戦で通用するのか?もし、これに敗北してしまったら――。


「関係、あるかよ」


 重圧に押しつぶされそうになっている自分を罵るように、フィンはうめいた。

 もしここで逃げてしまったら、どうなる?

 基地の人々は死んでしまうだろう。鷹峰さんも、ひょっとしたら、エステルさんまで。

 やってきたのがどんな悪人かは知らないが――この基地が奪取されてしまえば、イヅモ特別区に、悪人たちが地盤を築いてしまうことになる。


 これからイヅモで起こるテロの、手助けとなってしまうかもしれない――。


 それは嫌だ。断固として。

 死すら上回るほどの嫌悪感がフィンを冷徹にしていた。

 手の震えはすっかり収まり、機械じみた正確さでパイロットスーツを着用していき、ひらりとファルコンⅡのコクピットシートに乗り込む。


 HUDでパイロット情報をロードさせてファルコンⅡとリンクさせると、コンソールからシステムを起動させる。

 モニタが格納庫を映し出した。フィンはただちに通信機を立ち上げ、事前に教わっていた司令部に連絡を取る。

「フィン・リアーディス少尉候補生。出撃準備完了。3番格納庫より緊急出動スクランブルします。許可を求む」

 司令部からの返答はない。


 馬鹿野郎、混乱したい気持ちはわかるが早くしてくれ。


 焦れるフィンに応えるように、シャッターが開いていく。

 応答が無いことがひっかかりはするが、今は気にしていられるほどの猶予はない。

 爆発音が大きくなっていっている。敵が近づいてきている。基地の中枢を破壊するための敵の攻撃が、正確になりつつあるのだ。

 とはいえ、無許可のまま黙って出撃するのも気が引けた。もしかしたら、通信機の不調かなにかで、司令部からの応答が受信できていないのかもしれない。


「フィン・リアーディス、出撃します!」


 司令部に伝わっていることを祈りながら、新兵フィン・リアーディスは暗い格納庫から爆音のする外へと駆けて行った。




 モニターに周囲の状況が映り込む。主にカメラアイによる視覚情報と、レーダーの敵味方識別装置IFFである。

 カメラにもレーダーにも、敵だらけであることがわかった。


「味方は……防衛軍の隊員たちは!?」


 うろたえる間もなく、敵機が迫る。

 ヴィクラマと名付けられたその機体は、ずんぐりむっくりした外見とは想像もつかないほどの俊敏さと、外見どおりの力強さがあり、全体的に高水準の性能を誇るミーレス級ガーディアンだった。

 モノアイ型カメラアイと、目が合う。

 真っ向から見返したフィンはその場に留まる愚を犯さず、スラスターを咄嗟に起動。右方向へ移動する。

 予想よりは弱い横Gに耐えながら、ビームライフルのトリガーを引く。

 一条の光がヴィクラマの胴を貫き、轟爆した。


「誰か、他にいないのか?」


 とりあえずの危機を脱してすぐ司令部に問い合わせるも、やはり返答はない。

 IFFにも、ごくわずかな青点があるだけ。

 その青点を飲み込もうとするかのように、赤点が周囲に散らばっている。

「くそっ、どうして防空レーダーに引っかからなかったんだ」

 HUDに赤文字が表示されると同時に、アラームがけたたましく鳴った。

 ミサイルアラームだった。すぐに機体を機動させ、回避する。

 ミサイルは上空から放たれたらしく、咄嗟に回避したターゲットに当たることなく地面に着弾した。

 自分が今さっきいた場所からもうもうと煙が昇り、炎が周囲を赤く照らしている。


 これが戦場か。戦場ということなのか。


 見れば、空は戦闘機がうようよと飛んでいた。どうやら制空権まで握られたらしい。

 だが、その空には、確かに銀色の希望が舞っており、フィンの目に眩しく映った――。

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