第2話 君は誰


ここの商店街では毎年ハロウィンになるとお菓子を貰いに近くの学校の生徒が練り歩く。今日も大勢の恐ろしい仮装をした子供たちが集まっている。


 


「今日はどこから回ろかな。」


ケーキや人気の所には大勢の子共の塊が列を作って待ってる。トリックオアトリートということを忘れてしまうほど、人気のお店や家には興奮した子どもたち。


人気のところを避けて少し遠目から出歩くのが僕のスタイル。人気の所はお菓子の数を多く作るため少しだけ形が小さい。出来たら大きくてたくさん食べたいよね。味の保証は無いけれど、時々ある、大きくてとても美味しいお菓子のお家、これを見つけるのがとっても楽しい。何故か毎年のように出会えないのがこの街の謎でもあるんだ。ただハロウィンに参加して無いだけなのかな。


ハロウィンに参加している家は扉の横や取っ手にカボチャの置物などをつける決まりがある。いつからそうなったかは知らないけど、別の街から来る人がやりたくないって言ったのかな、


 歩いてると少し子供たちの集団から離れた家を見つける。


「この家にしよう」


僕は足を止めた。1人でまわってると同情の上お菓子が少しだけたくさん貰える。そんな時もある。これが特権だよね。


コンコンとノックをすると、出てきたのはおばあさん。なんだか優しそうな人だな、沢山お菓子貰えるかもしれない。


「ト、トリックオアトリート!」


どうしよう!ちょっとだけ噛んじゃった...。


 


「はいはい〜可愛い吸血鬼さんお菓子よ〜」


「ありがとうございます!美味しそう〜」


「それと、カボチャのお化けさんにもね」





え?カボチャのお化け?





僕は驚いた。だってさっきまで1人だったし、みんな別のところにいてこの家に目なんて付けてない。


後ろを振り向くとカボチャのマスクの少年?中が誰かなのかが検討もつかない。



「ありがとうオバァチャン」


隣にいたカボチャのお化けはきちんとお礼を言っておばあさんに手を振った。


 


「ねぇ、君は誰なんだ?同じクラス?それとも別かな...あ!下級生とか」


いきなり現れたもんだから僕もちょっと慌ててるみたい。


恐る恐るカボチャのお化けに話しかける。


「僕はネ、ジャック!ジャック・オ・ランタンだよ〜」


少しおどけた様にぴょんぴょんと跳ねるカボチャのお化けジャック。


これが彼との出会いだった。

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