20××年 夏休み -6-
「ここへ来たということは、凜王はその気になったということだな。ふっふっふ……」
不気味に笑う眞姫の横で、相変わらず顔色が悪いままのクローバーが尋ねた。
「その回想に出てくる凜王、いつにも増して素っ気なくないか」
「言われてみればそうだな……。機嫌が悪かったのだろうか?」
「俺様が聞いてんだよ」
そう言って、クローバーはまた「気持ち悪い……」と、口元をおさえた。
「そうだ、猫。聞きたいことがあるのだが」
「何だよ……」
「これまで貴様は、凜王が盗んできた品々を喰らうと耳にしている。そこから人々の感情を吸い取って腹を満たす、とな。今回、もしこのランドが標的となったとすると、貴様は何を食する?」
「んん……今この状況で食い物の話は……」
今にも吐き出しそうなクローバーを見て、眞姫は舌打ちをした。
「早く戻ってこないかな……凜王……」
そして、退屈そうに人々の流れを眺めた。
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