俺と恵さん (21)という素晴らしい表現

76話 ムキ




「きちんと鍛えられているムキムキの状態でしたら、堂々と見せびらかせると思うんですが」




俺は恵さんの完璧な栄養配分で体調はいいが、座学が多い俺は細身で筋肉質ではない。




夏場は薄着になるし、泳ぐことも考えられる。




「ゆ、優様……。あまり無理はしないほうがいいと思います。無理にやるときつくなる可能性もあります」




恵さんが心配してくれる。




「ですけど、夏は見せる機会が多いと思いますし……」




「な、夏だと見せるんですか?」




「ええ、まぁ」




「優様のは立派だとは思いますが、あまり見せないほうが」




「俺は鍛えてませんし、今は見せるに値しないです」




「そんなことありませんよ。毎日やってるんですから、十分鍛えられているはずです。まだ余地があるだけです」




「恵さん、一応聞きますが、何の話をしているかわかります?」




「優様のペ○スの皮をムキムキする話ですよね。大きいですけどかぶってるのが恥ずかしいのですよね。ただ確かに夏場は汗をかいて汚れやすいと思いますが、見せびらかすのはどうかと思いますよ……」




恵さんにはちゃんと説明しなければならないとわかっているのだが、付き合いが長くて、普段から主語を省いても通じてしまうから、ちょくちょくさぼってしまう。




ただ、こういう話をしているときだけ毎回違う方面に聞き間違えるのはわざとなのか偶然なのか。




















77話 えらい風評被害




「いろんな人の話を同時に聞ける人はすごいですよね」




「何かあったのですか?」




「はい、学校でグループ活動をしてたんですけど、みんなに同時に質問されて対応できなくて、リーダーシップをいずれ発揮するなら、1度にたくさん話を聞けるようにならないと苦労しますよね」




「そうでもないと思います。できるに越したことはないと思いますけど、それですと1人1人の情報が正確に読み取れずに失敗する恐れがあります。まずは正しく情報を得て、1つ1つをこなすのが結果的に早いと思います」




「…………、そうですね。あせることもないですか。急がばまわれです」




「よくこういうときに、聖徳太子の話がでてきますよね。たくさん話が聞ける人を。本当にすごいです」




「ああ、20人くらい同時にできるんでしたっけ」




「きっと20Pでも可能だったでしょう。みんなの要望にきちんと応えて、性得で太い子なのですから、きっといろんな人に望まれて……」




「ずっと昔の偉人を貶めるのはよくないと思いますよ」




やはり俺は1つずつこなせるように頑張ろう。








78話 金曜日の弊害






「ただいま」




「優様、おかえりなさいませ。本日は残念でしたね」




「まぁ別にいいんですけど」




クラスで食事をする予定があったのだが、予定よりも参加者が多くなりすぎて、全員が入れる店がなく、お流れになってしまったのである。




「幹事が悪いとも言えますが、仕方ないですよね」




「感じが悪い? したかったけどない?」




「完全に違います。卓がどこも開いてなくて、満卓だったんです。なのに、特に女子が怒って」




「女子が怒るのは仕方ないと思います。処理が間に合わないのでしょう」




恵さんも女性だから同情するところがあるのか。思考回路が女子の方が諦めが悪いのかな?




「ちゃんと処理をしていない女子が、マン拓なんて言われたら怒るに決まっていますよ」




俺のクラスの女子に1人でも恵さんと同じ理由で怒っていたらちょっと悲しくなる。








79話 男らしい




「恵さん、俺男らしくなりたいです」




「優様はあそこは十分男らしいですよ」




「違います。そこを見せる段階になる前の男らしさです」




「優様身長も小さくありませんし、気にするほどではないと思いますが」




正直言うと、恵さんがそう思ってくれているならいいのだが、やはり男らしさにあこがれる。




「これ以上身長を伸ばすのは難しいですけど、まだ男を磨くことはできると思うんです。俺毛が薄めで、肌もしろいですよね。いかにも男子って感じがいいんです」




クラスの男子を見ると、腕や脛の毛、ひげも結構生えている人がいると、男らしいように思える。




「ゆ、優様は……」




恵さんがワナワナと震えながら、俺を見る。変なことを言ったかな?






「同性愛者ではなかったと思いましたが……、好みの男子がいるのですか?




「なんでそんなことを!」




「だって、イカニモ男子がいいって……」




「すいません、通常の意味のほうです」




俺はホモじゃない。






80話  おかしいな?




「おかえりなさいませ」




「ただい……ま……?」




いつものように帰宅したが、どうも違和感がある。




メイド服を変えているわけでもないし、いつものいい香りがするのだが、何かが違う。




「優様?」




恵さんがその停止した状態の俺に対して首をかしげてみてくる。




間違いなく何かは違うんだ。好きな女性の小さな変化に気づかなければデリカシーがないとも思える。




「そ、そんな見つめないでください」




そして恵さんが胸元を隠す。




ん? 胸? あ、恵さんのそこそこ主張のある胸がない。これが違和感か。




「実はナベシャツを内側に来ております」




「あ、そうですか」




俺が聞いてないのに答えてくれる。俺は恵さんに言われるまで気づいてなかったのだが、偶然胸元を見ていたのか?




「あ、大丈夫ですよ。ちょっと足元が見にくいので試しただけです。決してFtMには悩んでおりません」




俺は恵さんにそんな疑惑を持ったことはないが。




「思ったより胸も苦しいので今日だけにします。優様が私の胸を見るのを楽しみにしていたら申し訳ありませんので」






俺は恵さんにそんな感情を持ったことはある。よかった。

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