俺と恵さん 20年目の成人に……。
72話 組織に属する人
国会の中継も時々恵さんは見ている。
「恵さんは選挙には行くんですか?」
「はい、基本的には今の政権のところに投票します」
俺もあと少しで選挙権を持つようになるし、学ばないといけないな。なんとなくで投票すると後悔するからな。
「優様は今の政治には不満があるのですか?」
「いえ、よくも悪くも不満はないです。ただ、興味がない人がたくさんいるんなら、民主主義はやめた方がいいんじゃないかと思うだけです」
「なぜです」
「遅いからです。しかも決まらないからです」
「遅漏だからですか……」
「間違ってませんが、違います。もういっそのこと、できる人に任せっぱなしにした方が楽です。民主主義でもみんな文句言うんですから」
「優様は政治に参加はされないのですか?」
「いえいえ、俺は民間人で大丈夫ですよ」
「眠姦人……、寝てるうちに襲うんですね」
「話を急激にそっちに持ってかないでください」
「優様が女子に対して独裁主義で、下半身を過半数で襲って、投票という名の白いものを女子の投票箱に……、独裁主義民主主義並立制で、優様のあれも並立を……」
今日はやばい。恵さん絶好調。
73話 悪いのは誰だ?
「公園で子供がけんかしてたんですけど、お母さんらしき人が来て、上になってた自分の子を注意してました。俺が見てた感じでは、どっちもどっちの感じがしたんですけど、人の家の子で注意しづらいのですかね?」
「そうでしょうか? 最近は自分の子がかわいすぎて、自分の子は絶対に怒らない親もいますから、悪くはないと思いますが」
「でも喧嘩両成敗って言葉があるじゃないですか。なんか納得ができないんですよ。まぁ余計なことをするのはよくないと思って口は出しませんでしたが」
「違うところを出したという遠まわしな言い方ではないですよね」
「はい、なにもしてないです」
さらっとネタは流す。
「優様はどうされるのです?」
「2人から話を聞いたうえで判断するべきです。でも喧嘩になった以上は、両方がお互いに謝らないと、すっきりしないですよ。1%でも悪いことがあるんなら、謝るべきです。片方だけを悪者にするなんて、たちが悪いです。2人とも仲良くするべきです」
「……優様。途中で発言が矛盾しております」
ん? 変なこと言ったかな?
「喧嘩両成敗といいつつも、上に乗った側を悪いとしてるじゃないですか……。その2人が愛し合っているのもしりませんでした」
「俺は同性愛者のタチをいったつもりではないんですが……」
どこからでも拾ってくるな。本当にたちがわるい。
74話A 白雪姫
「誰が1番美しいのかわかる鏡っておとぎ話とはいっても、存在意義がないですよね」
白雪姫を見た後に、真っ先に恵さんが言った一言はそれである。
「まぁそうですね。綺麗かどうかなんて本人の主観でしかないですからね」
人によって美意識は異なる。ランキングが書いてあったりもしたが、1位から100位まで区別がつかない。
それに、俺の1番は真横にいるしな。
「1番は調べなくてもわかります。絶対1人ですよ」
お、恵さんにも目標にする人がいるのかな?
「それは、その鏡を見た時点で、最も若い人です」
「へ?」
「人間、世の中に出された時点で、あとは汚れていくだけですから……」
「そういう話ではないのですが……」
「出された精子もどんどんけがれますしね」
「そういう話でもないです」
「私ももう結構汚れてます」
「恵さんは綺麗ですよ!」
「え…………」
「あ…………」
「ありがとうございます……」
つい口が滑ってしまったが、少しうれしそうな恵さんが見れて幸せだった。
やっぱ俺の鏡には、恵さんが移ってますよ。
75話 雷
「きゃっ!」
恵さんにいきなり抱き着かれた。何だ!?
「恵さん、どうしたんです?」
「いえ、ちょっと雷は苦手でして……、足がすくんじゃうんです……」
「そんな様子は今までなかったじゃないですか……」
「はい……、最近までは大丈夫だったんですけど、ちょうどコンセントのところを触っているときに、雷がなって、少ししびれてから、体が反射的に反応してしまうんです……。それでもうまく隠していたのですが……。ついにばれてしまいました……」
そしてまた雷が光り、恵さんが慌てて俺にしがみついてくる。
「ちょ、ちょっと落ち着いてください」
「お、おお落ち着いてますよ……」
「全然落ち着けてないです! テンパらないでください」
「優様のあそこも、テンパって……ます」
「無理して言わなくていいですから! ああ、もうどうすればいいです?」
「お姫様抱っこして、私の部屋まで運んでください……。そして、布団に隠れますから、手を握っていてください……なんてじょうだ……」
「よいしょっと」
言われるがまま、恵さんをお姫様抱っこで持ち上げる。
170センチの身長があるが、意外と重たくない。やっぱり女の人なんだな。
「ゆ、優様。危ないです……。おろしてください」
「その辺に降ろす方が危ないです。ベッドなら簡単におろせますから、そこまではこのままいきます。だから、バランスとれるように首に手をかけてください」
顔を赤くして俺の言う通りにしてくれる。
そのままベッドまで無言だった。
「手は必要ですか?」
「…………、いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
そして、そのまま布団に隠れてしまった。
ああ、恵さんのいい香り……。抱っこした俺の方が幸せだ。
75話B 恵サイド
恥ずかしい……。でもうれしいです……。
体格が大きい自分にとってお姫様抱っこは夢のまた夢……。それを好きな人にやってもらって、幸せを感じない人がいないわけがない。
首に手をかけたとき、全体重を優様にゆだねた。すべてを任せている気分で幸せだった。
顔も近くて、吐息がかかるくらいで……、雷とかもうどうでもよくなりました……。
ああ、もう雷は怖くないです。雷が来るたびに、今日のことを思い出せますから。
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