俺と恵さん 風速17メートルの風でめくれる

59話 ラブコメで100回はみた光景3




「優様、優様のものは、なかなか色が濃くて濃厚です……」




「恵さんのやつは、ちょっと色が薄めですけど、味はしっかりしてます」




「ああ、優様、股にこぼしてますよ。皮が薄いからです」




「恵さんも胸元からこぼれてます。胸が大きいからそこにたくさんあるんですね」




「ちょっと立てすぎましたか? 腰がぬけてます」




「すいません、固くなっちゃって」




「ペロッ」




「め、恵さん、いい香りがするからって、舐めないでください」




「ハムッ」




「余ってる部分の皮を食べないでくださいよ。皮が余ってるのは俺のせいなんですから」




「いいえ、優様のものですから、メイドの私が処理をするのは当然ではありませんか?」




「俺が教えてもらってるんですから、俺が自分でやりますよ。棒と、2つ使ったボールも片づけておきますね」




「片づけは私がしますよ。先にいただきましょう」
























恵さんのシュークリームが美味しかったから、休みの日に少し教えてもらった。生クリームをたくさんこぼしてしまって申し訳ない。










60話 言うだけでやらない




「自分でいったことには責任を持つべきです」




「もちろんです。自分でイッたなら、自分で片づけや掃除をしなくてはいけません」




「たぶん俺と恵さんでは思ってることが違います」




「優様はまれに、残り香がありますから、処理をしっかりして下さい」




「…………はい」




なぜかちょっと反省させられた。話を戻すのに苦労する羽目になる。






「なるほど、クラスの女子が意見は言うけど、行動には移さなくて、優様のご友人が苦労なさっていると」




「ええ、口ばかり達者で」




「リップサービスですね」




「まぁ。そうですね」




他意はないよな。意味も間違ってないし。




「実際にその方は、実行能力はないのですか?」




「そうですね。意見はまぁまぁ出しますけど、行動力は0に等しいですね。それならそれで、意見しか出せなくて申し訳ない的な態度をとるならいいんですけど、偉そうなんです。だから、面倒なんです。まさに口だけです」




「全身リップですね」




「この話はやめます」








61話 専用




「恵さんのものって、完全に俺の口に合ってますよね」




「私が寝てる間に、私を舐めたりしゃぶったりしたんですか?」




「すいません、目的語を言わなかった俺が悪かったです。料理です」




体を抱きしめて、ちょっとだけ頬を赤らめているが、棒読みでポーカーフェイスだから冗談かどうかがややわかりにくい。




「それは、私の具などどいう隠語でもないですよね」




「違います! いえ、恵さんは結構いろいろ作ってくれますよね。本当に毎晩楽しみにしています」




「そう言っていただけてありがとうございます」




「なので、友人とご飯を食べることがあっても、同じメニューだと物足りないんですよ」




恵さんの料理は、栄養バランスが完璧で、味付けが俺に合わせてある。




「私はここでしか料理をしませんし、旦那様と奥様も優様とあまり味覚が変わりませんから」




「恵さん、本当にいつもありがとうございます」




「私は……、優様のお口専用になってしまったのですね……」




色っぽく言うのはNGで。緊張しちゃう。






62話 工事




ガガガガガガ!




『こっちに運び込んで』




『水道管を入れ替えてください』




『水圧が下がってる』




「なんだなんだ?」




俺が家に戻ると、作業服姿の男性が何人か出入りしていた。




「あ、優様。おかえりなさい」




その傍らに、恵さんが立って、俺を待っていてくれた。




「何かあったんですか?」




「ええ、実はエアコンと水道が同時に故障してしまいまして、修理を頼んだんです」




「ああ、そうなんですか」




「旦那様に連絡したところ、すぐにでも直してよいとのことで、先ほど来ていただきました」




「大丈夫なんですか?」




「ええ、エアコンは1台壊れただけですし、水道も水道管のつまりだけなので、点検も兼ねて18時までやってもらいます。リビングは普通に使えますので、どうぞ。水だけ一応購入してまいりました」




「しかし、2個同時に故障するなんて、悪いことが起こりましたね」




「な、本当に何もありませんよ!」






「? なんでそんなに強くいうんですか?」




「ボイラーは故障してませんから、大丈夫です。旦那様が営業をできなくなったとかではないです」




「すいません、そのままの意味で受け取ってますので、大丈夫です」






64話 高いスペック




学校の帰り道に、恵さんを見かけた。




(人に道を教えているんだな。でも相手は外人か?)




2人の大きな男性を相手にしていたが、明らかに黒人であり、わずかに聞こえる声は日本語ではない。




『HAHAHAHAHA! Thankyou!』




2人は笑顔でお礼を言って去っていった。




「恵さん」




「あら、優様。今日も学校お疲れ様です」




「さっきの方外国の人ですよね。恵さん英語できたんですか」




一般教養をきちんと学んでいるのは知っていたが、こういうスキルも磨いているんだな。




「いいえ、ほとんどわかりません」




「え? でも、ちゃんと話せてたみたいですけど」




「何を言っているかは、主要な単語さえわかれば、なんとなくわかりますし、私もなんとなく知ってる単語で説明しました。あとは、何とか伝えようとする誠意があれば伝わるものです」




「さすがですね。芸は身を助けるということですね」




恵さんは一般教養については詳しいし、テレビもよく見ている。




俺も英会話の勉強はいずれ必要だが、伝えようとする気持ちが大事というのは、考えなかったな。




「優様もわかりましたか。先ほどのお2人はゲイカップルでした。ゲイは身を助けるは、さすがお上手です」




褒められてもうれしくなーい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る