俺と恵さん R-15は最初の基準です

50話  スポーツ




「サッカーは面白いんですけど、学校の授業だとグダグダになっちゃいます」




今日の授業はサッカーだったが、サッカーは結構細かいルールがある。オフサイドが基本的にはしょられるのはあるあるである。




「ああ、1つの球を22人の男が追いかけるスポーツですか」




「言い方が変じゃありませんか?」




「ああ、確かに最近はなでしこジャパンというのも流行ってますから、女が球を追いかけるパターンもありえますね」




「言いたいのはそこじゃないです」




「なで、なで、しこ、しこ、の女が、白い大きな球を、22人で追いかけて……」




「いろんな人に謝罪するべきだと思いますが?」




なぜなでしこを2回言うのか。しかも分けて、悪意ある。




「サッカー嫌いなんですか?」




「いえ、ちょっとじれったいので……、たぶん1番スポーツで点が入りにくいじゃないですか? 見てるとじらしプレイみたいで……。一瞬でも目を離せないくらいのスポーツの方が、ムラムラしないじゃないですか?」




「…………なんで、スポーツでムラムラするんですか?」




「スポーツは球技が多くて、球を追いかけたり、握ったり、打ったりするのももちろんですが、野球のバットとか、サッカーのオウンゴールとか、テニスの、ラブ……デュースとか……、卓球のシェイクハンドとか、誘惑が多いんですよ……」




恵さんはスポーツを見ないほうがいいと思ったが、普通にスポーツそのものも好きらしいので、それは禁止しなかった。




とりあえず、退屈な試合にならなければ一応スポーツそのものに熱中するので、スポーツ選手の皆さま、いい試合をお願いします!






51話 偶然




「今日は和菓子です」




家に戻ると、饅頭が準備されていた。




「またもらいものですか?」




「はい、鹿児島の会社の人から、まんじゅうをいただきました」




「……なぜわざわざ鹿児島というのですか?」




「そんなにおかしいことではないと思いますが?」




「そうですね」




ちょっと考えすぎた。あくまでも貰い物なのだから、偶然に決まっている。




「いただきます」




「はい、こちらもどうぞ、私のそちゃですが」




「ただ単に粗茶を恵さんが作ったんですよね」




「はい、もちろんです」




突っ込まずに、饅頭を食べる。




「これは……、栗饅頭ですよね」




「はい、くりまんじゅうです」




いや、あくまでも恵さんが用意したものじゃない。偶然偶然。




「ちなみに今日わたしがつくったのは、フルーツポンチとチョコバナナです、よろしければ」




「わざとですね!」






52話 つかむ




「旦那様は全く家事ができませんが、優様は多少できますよね」




「ええ、恵さんの方が料理上手ですから。俺がやる意味はないです」




ずっと恵さんのお世話になれるならそれもいいのだが、未来はわからない。




恵さんは俺に料理を含めた家事をさせようとはしなかったが、俺がいて恵さんがいない場合もあることはある。




その隙に学ぶことはできたので、本当に少しだけやった。




「奥様は料理が上手で、母様にも負けてなかったそうです。旦那様の仕事を手伝うキャリアウーマンでありながら、あの家事能力は尊敬に値します。2歳までは優様を世話しながら、家事も完璧だったそうですから」




ある意味では父さんよりも母さんのほうがすごいということだ。


家事と仕事の両立は、高い家事スキルと、仕事ができることによる、時間管理や計画能力の高さによるもの。


仕事のスキルも高いからこそ、家事も結果的にできる。




そんな母さんがベビーシッターを雇わねばならないほど14年前は忙しかったということか。




「旦那様も、奥様の料理に惚れたそうです」




「胃袋をつかむってやつですね」




「そして、旦那様の心をつかんで、旦那様のあれをつかんで、優様が生まれた……と」




「両親のそういう話はなんか聞きたくないです!」








53話 2択




「優様、今日は紅茶を切らしております。コーヒーとココアどちらがよろしいですか?」




「じゃあココアで」




今日はなんとなくココアの気分。




「夕ご飯にさばの塩焼きと、唐揚げどちらをメインにしましょうか?」




「さばの塩焼きで」




青魚は健康にいいしな。唐揚げは好物だが、たまには控えよう。




「トマトサラダとポテトサラダはどちらにします?」




「ポテトサラダで」




マヨネーズにはポテトサラダがあう。トマトも大好きだが。




「オレンジとサクランボのフルーツポンチか、チョコのケーキはどちらがいいですか?」




「…………フルーツポンチがいいです」




下ネタくさいが、今日はさっぱりいきたい。チョコは今日コンビニで食ったし。




パチパチパチ。




「さすがです優様」




なぜか急に恵さんが拍手をしはじめた。




「なんの拍手ですか?」




「今日はちょっと質問が多かったと思いませんか?」




「まぁ、そうですね」




確かに今日はよく質問された気がした。ココアとコーヒーは紅茶切れだから仕方ないにしても。




「優様はきちんと私を見ててくれているということが分かってうれしくて………」




「だから何ですか?」




「私は今生理中です。さきほど聞いた4つの質問は、すべて、生理中の体にいいものと悪いものに分かれておりました。優様は見事すべて生理中の体にいいものを言い当ててくれました。唐揚げとチョコなど優様の好物なのに。私の月経周期を把握されているということですね」




完全なる誤解による偶然であることを説明したが、偶然でもうれしいみたいだった。

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