俺と恵さん 13時間たったまま

43話 人に生まれたからには




「やはり人間に生まれたからには大きいことを1つして、名前を残したいですね」




今日学校で、将来の夢について話す機会があったので、恵さんと話してみた。




「優様は、旦那様の後を継がれるのですから、何らかの形では名前が残るのではないでしょうか?」




「そうなんですけど。それだけじゃ面白くないじゃないですか」




父さんの後を継ぐことには否定はない。




だが、それは父さんの敷いたレールに乗っかって、俺がおそらくさぼらなければ、成功が約束されていることだから、俺の功績としてはちょっと寂しい。




「本を書いてみるのもいいですし、何か格言を作ってみるのもいいですし、便利グッズを作ってみたり、いろいろありますね」




「ですが、旦那様のお仕事は大変ですから、そこまで頑張られると長生きはできないでしょうね」




「まぁ、人生は太く短くか、細く長く生きるかしかないと思いますから」




「理想は太く長くですよね、人生もぺ○スも。いえ、優様はもう後者は達成できておりますから、人生だけですね」




「真剣な話をしてるんですから、目線は高めでお願いします」




「ですが、ぺ○スが太くて長い人は、人生は細くて長くなることもありえますよね……」




「どうしてですか?」




「細くて長い……、ひも人生というわけです! 大きなあれで女性をメロメロにして!」




ひもになるくらいなら、短い人生を過ごそうと思った。






44話 横着




「学校で手抜きが判明したんですよ」




「学校で手で抜くなんて、相当たまってたんですね」




「違います!」




いきなり話の腰を折られたが、恵さんに事情を話す。




「なるほど、駐輪場の近くの壁が急に崩れて、けが人が出たと」




「そうです。それで、調べてみたら、駐輪場を急に増設したので、適当に壁を作った手抜き工事が原因なんですって。見えるところは一見しっかりしてましたが、地面に埋まってる部分の下が空洞だったらしいです。見えないところだからって、横着するなんて最低ですよね」




「そうですね、見えないところこそ、しっかりするべきです。私もしっかり手入れを心掛けていますよ」




恵さんの言葉はとても力があったが、両手で局部を触りながら言われると、意味合いが大幅に変わる。




恵さんが時々ノースリーブのメイド服を着ているときの脇の手入れは完璧なので、たぶんそういう意味じゃないかと思った。




「エッチな本やDVDでもモザイクがかかるから絶対に手を抜いてますよ。ごまかしてます。横着です。マ○コの横着で瞞着まんちゃくです!」




造語かと思ったら、まんちゃくって言葉本当にあった。






45話  不用意な一言




「ツイッターで余計なことを言って逮捕されるなんて、くだらないですよね」




最近のニュースを見ると、残虐な事件がたまにあるが、くだらない事件も多い。




ツイッターを筆頭にした、気軽にネットで発言できるようになったのが原因である。




卑猥なことを言ったりするのも目立っていて、規制されている。




「そうですね。変なことをいうなら、身近な人に直接いうべきです」




「恵さんはもう少し控えたほうがいいと思いますけど」




とは言っても外では控えているので、俺が止めたらどこかで漏れても困る。




「有名人の人も、仕事先から、強制送還されて、自宅謹慎するくらいまで行く人もいるそうです」




「自宅に謹慎、強制送還? きんしんそうかん? 強制送還されたショックで自宅で近親送還?」




恵さんがツイッターをやってなくてよかった。この人あまり機械に強くないので、電話とメールとラインくらいしか使わないからな。ちなみに、メール、ラインにはちょこちょこ見せたくない文章が乗っているので、学校で携帯を見るときには気を遣う。






46話 剣道




『ぃやぁぁあああああああ!!』




俺の家の近くには剣道場がある。




ちょうど試合をやっている日に通ると、大きな掛け声が聞こえてくる。




その激しい声は元気がもらえるような気がする。




『よし、斜に構えて!』




とある日、聞こえてきた言葉にちょっと耳が反応した。




(斜に構える? 不真面目にやるのか?)




しかしそんな様子はなく、ちょっと覗いたら、剣を斜めにしていただけだった。




「斜に構えるって、剣道用語なんですね。意味も俺の知ってるのと違いましたし」




気になって調べてみると、意味が理解できてすっきりした。




「剣道ですか。私も多少心得があります」




ネットで剣道のページを開いたままにしていたら、恵さんが話しかけてきた。




「へぇ、そういえば多少護身術の心得があるんでしたね。でもなぜ剣道を? 武器がないとやりづらいんですから、柔道や空手のほうがいいんじゃないですか?」




「いえ、そこまで本格的なものは学びたくなかったので。武器さえあれば剣道は強いですし」




「なるほど」




「それに男子が斜に構えているときに、その男子が緊張していたら、きっとその違うところも斜に構えているんじゃないかと思うと、たまらなくて。その斜に構えたあそこをいじって、また斜に構えるんですよ。面白くないですか?」




この人の行動意欲に、下ネタが絡まないパターンはないのか。そんなことをを言われたら、うかつにポジションをいじれない。

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